王城からの招待状(1)
ーーーーーウィンザー学園ーーーーーー
ルル様から加護をもらって10日間程経った。
私もクラスに慣れ、勉強も遅れを取り戻しだんだんと学ぶ事が楽しくなり充実した日々を過ごしていた。
あの日からシリウス様は学校を休んでいる。
体調不良だとの事だったが、正直今はシリウス様が居なくてホッとしている。
加護魔法もあるし何かされる事はないだろうけど、やっぱりまだ悪魔のようなシリウス様は怖い。
そんな私の不安をよそに学園中の女子生徒は浮き足立っている。何故なら王城からお茶会の招待状が届いたからだ。
なんでも王妃様からの特別招待との事で、身分関係無く学園の女子生徒が招待されているらしい。皆嬉しそうにドレスの話で持ちきりになっていた。
第二王子ともっと接点を持ちたい、王妃様に気に入られたい令嬢は沢山いるのでこのお茶会はまたとないチャンスだ。
王妃様かぁ…。私は少し苦手なのよね…前世の小説で読んだだけで実際は会ってないけど…あの笑顔なのに何考えているか分からない所、シリウス様を溺愛してるように見えて実は溺愛ではなく支配している所に恐怖を感じたんだよね。実際にも同じような人だとしたら出来ればお近づきになりたくない。
それに人見知りの私はお茶会という物が苦手でほとんど参加した事がない。
はぁ…出来れば参加したくない…。
けど王妃様からの招待は拒否する事が出来ない。
「スレイ様〜!ランチ一緒にいきましょ!」
「サーシャさん!」
私は相変わらず毎日のようにサーシャさんとランチ食べている。
「そういえば…王城からの招待状、スレイ様も届きましたよね?参加されますか?」
「ええ。私にも届きました。王妃様からの招待なので断る事は出来ませんが、実は私ああいう場はとても苦手なのです。サーシャさんは行かれますよね?」
「私も勿論行きますが…豪華なドレスなんて買えないし…制服で行ってもいいとかいてありましたがあまりにも質素過ぎると逆に失礼なんじゃないかとか心配で…。」
「あら、それなら私と一緒にこの制服まで行きませんか?私は少しだけ顔を出したら帰ろうと思ってますの。だから着飾るより制服が楽ですし。」
というより、前世思い出してからドレス苦手なのよね…。コルセットキツイし。トレーナーとパンツスタイルが恋しい…。
「え…!?いいんですか?一緒に制服で行ってくれるの心強いです!次のお休みの日でしたよね?スレイ様一緒に行きませんか?」
「ええ。勿論!一緒に行きましょう。」
出来れば王妃様から遠〜〜く離れた場所で存在感消して居たいわ。
サーシャは物語のヒロインだし…王妃様に気に入られたりして。もしや一緒にいたら目立つのでは…?いや、サーシャは誰とも恋愛のフラグが立ってないし。
私はそこら辺にいるモブも同然!
今回のお茶会だって小説にはなかった事だしきっと何事もなく帰って来れるはず!
私はそう呑気に考えていた。




