救世主(2)
私はカイお兄様に自分の前世や、前世ではこの世界が小説だった事、小説の物語を全て話した。
「あの、カイお兄様には信じられない話かもしれないですけど…」
「いや、スーの話を信じるよ。」
「本当ですか!?良かった…」
「それで、アロイスは小説の話によると罪に問われてしまうんだよね?」
「はい。なので私はここを回避したいと思っています。アロイス様はルル様を助けようとした、誤って私が前に出てしまった事で怪我をした。そうすればきっと罪に問われない筈です。」
「そうだな…。ただ、アロイスが何故ルルを裏切ってシリウス側にいったのか…それが問題だ。一度アロイスに聞いてみる必要があるが…その後無事に回避できたとして、半年後の秋にまた何かあるかもしれない。とスーは考えてるんだな?」
私はコクンと頷いた。
「そうなんです。シリウス様は私がアロイス様を庇っている事を知っていました。そして私が邪魔をしている事に苛立ち、本・来・の・性・格・を見せてきました。その時も俺の計画の邪魔をするなと…。何かまだ計画している事があるのかもしれません。」
「なるほど…。」
カイお兄様は少し考え込み、沈黙が続いた。
「分かった。アロイスの件は俺に任せて。少しドウェインにも協力してもらって何とかしてみせるから心配しないで。」
「お兄様…!ありがとうございます。」
私はホッとした。
また1つ回避できそう!!
「それと…僕はスーとシリウス殿下に何があったのか気になるんだけど。彼に何を言われたの?」
私はどこまで説明していいか分からず一瞬固まってしまった。
「スー…?」
カイお兄様が笑顔で圧をかけてくる。
冷や汗が出そう…。でも全部話したらシスコンのお兄様が鬼と化してしまいそう。
「あ、あの…教室に行った後別の部屋に呼ばれて…私がアロイス様を庇った事に対して邪魔をするなと言ってきました。もし邪魔をするなら…」
「するなら?」
カイお兄様の表情が何かを睨むように怖くなる。
「処分するか…自分の計画が終わるまで何処かに閉じ込めると…」
「ほぅ?なるほど…。スーを1人にするのは危険だ。これから俺のクラスで授業受けようか。」
え゛… お兄様の科は騎士科だし学年もそもそも違うから無理でしょ…。
「いや、それはちょっと…。」
「なら、学園を辞めるしかないな。」
「えっっっ!!でも半年後…」
「僕は誰よりも何よりもスーが大事だ!半年後のことより、スーが危ない目に遭うのは嫌なんだ…。」
「お兄様…」
そうよね…。私も死んでしまっては元も子もない。
殺されないように学園を辞めるのが懸命な判断だろうと思う。
仕方ないけど…ここはお兄様の言うことを聞いた方が良いのかもしれない。後はお兄様に任せてしまえば…。
「分かりましたわ。カイお兄様の言う通りに学園を辞…」
「辞めさせない…。」
聞き慣れた声が私の後ろから聞こえた。
私とカイお兄様はビクッとなり目を丸くした。
後ろを振り返るとソファーの後ろに、にょきっと顔だけ出しているルル様がいた。