救世主(1)
ーーーーー放課後ーーーーー
結局、ランチも午後の授業もずっとシリウス様は隣にいた。
ランチの時、サーシャも一緒に居たけれど話したい事はシリウス様が隣にいたら何も話せない。何が地雷になるか分からないし…
小説のシリウス王子はこんな感じじゃなかったような…これじゃ最恐じゃなくて、メンヘラヤンデレ王子じゃない。
そろそろお兄様が来るはずだからやっとシリウス様から解放される。
私はお兄様が来るのを待ち侘びていた。
「スレイちゃん。」
私はビクッと肩を震わせた。シリウス様の声が恐怖でしかない。
なんなの…まだ何か用なの?
私は振り返った。
「何してるの?早く一緒に帰ろう?」
「え?あの…私お兄様と会う約束してあるので一緒には…それに寮も違いますし。」
「俺と一緒に帰りたくないんだ…スレイちゃん。」
ニコッと笑っているけれど完全に悪魔モード…。
「シリウス様…本当に今日は」
私が言いかけた時、シリウス様は私のお腹に手を伸ばそうとした。
またさっきみたいにお腹を抉られる…!怖いっ…!
私は思わずギュッと目を瞑った。
「何しようとしてるの?」
カイお兄様がシリウス様の後ろから手を掴んだ。
「あ、カイルさん。今日スレイちゃんと帰ろうと思ってたんだけどお腹が痛いって言うから心配で…。」
「そうか、心配してくれてありがとう。ただ女の子にむやみやたらに触れるものじゃないよ第二王子殿下?今日はスーと約束あるから連れて帰るよ。」
カイお兄様…!!救世主!私にとっての王子様的存在はカイお兄様だわ!
「そっか…残念だな。また明日ねスレイちゃん。」
「………ええ。また…」
心から安堵した私を見て、カイお兄様は私の手を引っ張りそのまま教室を出た。
「どこにでも邪魔者はいるんだな。どこにも逃さないんからね…。」
教室に残されたシリウスはボソッと言いながらスレイの背中をずっと見ていた。
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「スー…顔色悪けど大丈夫か?今日はゆっくり休んでまた今度にでもするか?」
「いえ!…大丈夫です。私、どうすれば良いか分からなくて…お兄様の力を借りたいんです。」
「そうか、じゃあ…誰にも聞かれないように防音魔法がかかってる部屋に行こうか。」
「ありがとうございます…。」
私は防音魔法がかかっている生徒会室へと案内された。
「生徒会室…?お兄様、生徒会に入ってるんですか?!」
「まぁ、ルルが入ってるから必然的に僕も入る事になるんだよね。」
「ルル様が生徒会??」
「ははっ。似合わないだろ?でも一応ルルは会長してるよ。」
し、、知らなかった…。小説にそんな設定あったかしら?知らない事ばかりだわ。
「さぁ、どうぞ。ここに腰掛けて。」
「ありがとうございますカイお兄様。」
私はフーっと深呼吸をして話し始めた。
「お兄様、これから話す事は今まで聞いた事もない珍しいお話かもしれません。」
カイお兄様は真剣な眼差しで私を見て聞いていた。




