アロイスの裏切り(2)
ーーー救護室ーーー
「失礼します。先生すみません診て欲しいんですが…」
カイお兄様が私をお姫様抱っこして両手が塞がっていて風魔法でガラッと扉を開けた。
いつ見ても便利な魔法だわ…。
「あら、貴方…また怪我をしたの?入学してからよく来るわね」
見た目は優しそうな先生だけどかなりハキハキしたものの言い方をするギャップのある女性の先生だ。
一通り説明し終えた後診察をする為にカイお兄様には少し出てもらう事になった。
「ちょっと痛むかもしれないけど少し触るわよ。」
「痛っっ……」
衝撃が強すぎたのか軽く青あざができていた。
「そうね…骨に異常はないみたいだから打撲ね。まぁ痕にはならない程度だから心配ないわ。まったく本当に…風魔法にそのまま突っ込むなんて貴方何やってんのよ。心配そうにしてる周りの人達のこと考えてあげなさい。」
「はい…申し訳ありません…」
「それは貴方のお兄さんに言いなさいね。私少し出なきゃいけないから、お兄さん呼んでくるわ。早退するのか、このまま授業受けるのかはお任せするわ。」
そういって先生は部屋から出て行った。
復帰して早々、早退は流石にしたくないし、もう授業が始まっちゃてるから次の授業まで居させてもらおうかな。
「スー、入っていいかい?」
「カイお兄様!どうぞ」
カイお兄様はベッドの近くにあった椅子に腰掛けた。
「スー大丈夫だったか?」
カイお兄様は心配そうに私を見ていた。
「はい。心配ないそうです。カイお兄様本当に心配かけてしまってごめんなさい。それと…助けてくれてありがとうございます。」
「スー…、何であんな無茶をしたんだ?何か事情があるなら説明して欲しい。」
「カイお兄様には正直に全てを話したいと思っています。放課後に話したいのですが…私に時間をいただけませんか?」
カイお兄様は優しく笑った。
「いいよ。スーの為ならいくらでも時間を作るよ。今日授業が終わったら迎えに行くから教室で待っていてくれるかい?」
「ありがとう…カイお兄様!」
「僕はもう教室戻るね。また後で、大切なお姫様。」
頭をポンポンと触りそのまま救護室を出た。
カイお兄様…
お兄様が頼もしくてカッコよくて優しくて…本当に理想の人過ぎる…。
きっと周りの女性は放っておかないんだろうな。こんな素敵な人がなんで小説に全く出てこなかったんだろう…。