久しぶりの学園(2)
「あの…そろそろ離してください。周りの人達に見られて恥ずかしいです。」
「んー。もうちょっと…。」
なかなか離れてくれないルル様。
ルル様といいシリウス様といい…2人とも抱きつき癖があるのかしら…流石兄弟。
周りにいる生徒たちは一瞬目を丸くして私達を見るけど、しっかり空気を読み見なかった事にして歩いてくれている。
ありがとう…皆…。
「ところで…スーの家にシリウスがお見舞いに来たんだって?大丈夫か?アイツに何かされなかったか?」
「え……まぁ…」
私はその言葉に固まってしまった。
そんな私を見た瞬間鬼のような形相になるルル様。
「何か…あったんだな…?何をされた?全部洗いざらい教えてもらう。」
怖い怖い!!これは言葉間違えたらダメなやつ…。
「いや、何あったわけではなく、ちょっと言い合いになったといいますか…何と言いますか…意見の食い違い?」
「正直に言ってみろ」
私の両肩をガシッと掴み顔も近づけてくる。
ルル様の顔が近いっ…それよりも表情より圧が怖いっ
「えっと…ほ、、、」
「ほ…?」
「頰にキスをされました…」
その瞬間ルル様の周りにバリバリと音を立てて氷が出来始める。
「ほぅ…?スーにキスを…?」
周囲にいた人達が騒ぎながら逃げていく。
「ルル様!待って落ち着いてください!その事はもう解決しました!私が物凄く怒ったので謝ってくれました!」
「いや…それじゃ甘い。アイツを消しに行く…」
「け、消す!?」
ルル様は研究科の教室に向かおうとする。
「ま、待って!!ルル様!ルル様にはそんな事して欲しくないのです!」
私はルル様の腕を引っ張り止めようとした。
くるっと振り返り私の顔をじっと見るルル様。
「シリウス様には本当にやめるように話しましたから…」
まぁ、全然話聞いてくれなかったし伝わらなかったけどね…。
「どっちだ?」
「え?」
「どっちの頬だと聞いている」
「…左の頬です…」
ルル様は私の頰に手を当て思いっきりゴシゴシと拭き始めた。
「いだだだっ…い゛っ…痛いです!!」
「スー…頰が赤くなったな。消毒して直さなきゃ…」
そう言って私の頰にキスをした。
「!?」
私は顔を真っ赤にして頬を手で隠した。
「シリウスにされた時もそんな顔したのか?その顔は誰にも見せてはいけない。絶対にだ。」
何故か怒られた。怒りたいのは私なのに!
皆の前でやめて欲しい…。
「あーーーー!!!ちょっと2人とも何やってんの!?」
突然大きな声と共に氷だけを溶かす様に火が燃える。
声がする方に顔を向けると、走りながらシリウス様がこちらへ向かってきていた。




