一緒についてくるルルド
それからというものカイお兄様と居る時間と同じ位ルルド様と私は一緒にいることが多かった。
一緒にいるというよりひっついて来るというのが正しいというか…。
何故かルルド様に気に入られたようだ。私何もしてないけど…。寧ろ自然体が良かったとかかしら?
ルルド様とは魔獣や動物と触れ合ったり、他愛もない話をしたり一緒にお茶したり、ほのぼのとした日常を過ごしていた。私もカイお兄様と同じ感覚で接しているから特に居心地が悪いわけでもなく。
ルルド様が来てから1週間が過ぎようとしていた。
何事もなく穏やかな時間を過ごしていた。
何か話すわけでもなくただ一緒に居るだけの時間も増えてきたが、最初は気まずさがあったけれど次第に慣れてきてもう今となっては当たり前の空間になった。
「スー、来年から同じ学園に来るんだろう?」
ルルド様はいつも気配を隠して急に現れるから一瞬ビクッとなってしまう。突然何処からともなく現れるルルドお兄様。本当に気配を感じないから怖い。急すぎて心臓に悪いし。
これって私が鈍いだけなのかしら…?
「ルルドお兄様…。もうちょっと自然な現れ方をして欲しいです。寿命縮みそう…」
「ははっ スーが可愛くてつい脅かしてしまう。」
ルルド様は楽しそうに笑う。
ある日からルルド様は私の事を愛称で呼ぶ様になった。私も今では本当の兄の様な感覚で全く違和感はなかった。
それに合わせて私もお兄様呼びをする事にした。
最初は笑っていたけど少しすると何か思い詰めているような雰囲気だったルルド様はぽつりと話しかけ始めた。表情はいつもと同じで分かりにくいけど、これはきっと落ち込んでる。
「俺とカイルはもうすぐしたら学園へ戻る事になる。スーと一緒に過ごせなくなる…」
あら…カイお兄様みたいな事言って…シスコンが2人に増えてしまったわ…。
「そうなんですね。もうすぐ2人とも戻られてしまうのは寂しいです。ルルドお兄様、またお休みが出来たらここに戻って来られますの?」
「いや…俺はもうここには来る事はない。だからスーが来年学園に来るんだったらまた一緒に居られるかなと思ったんだ。またスーと一緒に居たいから…。」
うーん。これは恋愛の意味で言ったわけじゃ無い…よね?
私はルルド様の表情をジーッと見つめた。
相変わらず表情は読めないけれどきっと家族の様に慕ってるから寂しくなったんだろうなと解釈をした。
「ルルドお兄様の言う通り、来年学園へ通う予定ですわ。もうお会いできなくなるのは寂しいですが、また学園で会える事を楽しみにしていますわね。その時はカイお兄様だけじゃなく私とも仲良くしてくださる??」
「スー…実は俺…」
ルルド様が何かを言いかけた時、遠くからカイお兄様の呼ぶ声が聞こえてきた。
「ルルー!!またスーと一緒に居たのか??スーが可愛いのは認めるけど少し一緒にいすぎじゃないか?ルルも何かに執着するんだな。初めて知ったよ。」
すると不機嫌そうにルルドはカイルの目を見た。
「今から剣術の稽古してくれるってソイルお兄様が待ってるから一緒に行くよ。」
ソイルお兄様はダンパーネ家の長男だ。
ダンパーネ家は代々武力に秀でた一族だ。
ただその血を受け継いだのは長男だけだった。
カイルお兄様は武力より知力と魔力が遥かにずば抜けている。
私はとりわけどちらが秀でているわけでもなく、、、
人の心が宝石みたいに見えるだけだ。
「お2人とも頑張ってきて下さいね。また夕食でお会いしましょう」
私は笑顔で2人を送り出した。
ソイルお兄様は物凄くスパルタだ。
2人がこてんぱんにやられて戻ってくるのが想像つく。
2人の足取りも重く、向かうのが遅く感じてクスッと笑ってしまった。