久しぶりの学園(1)
シリウス様がダンパーネ領にお見舞いに来てくれた日から1週間ほどが過ぎ、私はようやく学園に戻ってきた。
久しぶりの学園…!!もうこれだけ時間が経っちゃうと完全にクラスではぼっちね…。
シリウス様もいるけど…あの日シリウス様の悪魔の様ないじわるな一面を目の当たりにしてから顔合わせるの気まずい。シリウス様が変な行動に出たら兎に角逃げよう…
クラスは別だけどサーシャさんもいるし何より私にはやるべき事がある!
そろそろアロイス様が寝返って敵になる時期かもしれない。
まずはカイお兄様に相談しなきゃ。
両手を強く握りしめてよし、と意気込みながら学園の門をくぐった。
歩いているとなんだか周りの視線が気になる。
ん…?なんでこっち見てるんだろう?
周りの人達を見ると皆怖いものを見る様な表情。
えっ…?なになに?私何かしたかしら?
キョロキョロと見てみると生徒たちは私ではなく、私の後ろを見ているようだった。
後ろ…?後ろに何かあるのかしら?
後ろを振り返ってみるとルル様が睨みつけて殺気全開のオーラで立っていた。
「え゛…!?ルル様!?いつからいらっしゃったんですか?」
怒ってる…?私何かしたかしら…
全く気配もなかったし声も掛けられてなかったから気づかなかった。
「スー…」
ルル様にいつもより低い声で呼ばれる。
「はい…っ!?」
「………」
「……??あの、ルル様?」
「…………」
全く返事がなく沈黙が続く。
私はとことことルル様に近づいていった。
「えー…と、ルル様?どうなされました?」
ルル様と目が合った。金色の綺麗な瞳がずっとこっちを見ている。
「ルルさ…」
私が言いかけた時、ルル様は私にギュッと抱きついてきた。
周囲の生徒も私もビクっと同じ反応をした。
「スー…。スーが足りなさすぎて…もう限界だった。ずっと待ってたよ、おかえり。」
私はルル様の背中をポンポンと優しく叩いた。
シリウス様と違い、ルル様に抱きつかれるのは暖かい感じがして嫌な気がしない。
「ルル様…ただいま戻りました。…というか、いつから私の後ろにいたんですか?」
「よしっ!って可愛く気合い入れてた所から。」
「いや、それ最初からじゃないですか!声掛けてください…」
「…スーがちょこちょこ動いているのが可愛くて気付いたら声掛け忘れてそのまま後をついてきた」
それりっぱなストーカーになるからね?この国の王太子が何してるんですか!…とは流石にはっきり言えないわ。
「ルル様、今度から声かけてくださいね。ビックリしちゃいますので」
ルル様は分かったといいながら更にギュッと抱きしめてきた。