シリウスの本音(2)
「シリウス様…?あの…」
シリウス様は仰向けに倒れた私の手首を強く握り地面に押さえつけていた。さっきまでの明るい雰囲気とは違い、笑顔だけど目は笑っていなかった。
「あぁ…ごめんね?…ねぇ、スレイちゃんってさぁ、兄さんとよく一緒にいるよね。あの時助けたのも僕じゃなくて兄さんだし…。君…兄さんの事好きなの?もし好きなら…僕無理かも。スレイちゃんとはずっと仲良く出来ると思ったのに…。」
無理…?無理って何?何で急に豹変したの?
これ…言葉を間違えるとダメなやつじゃ…?もし間違えたら私やられる…?
ダラダラと冷や汗が出てくる。
「ルル様の事は…好きですわ。好きですけど…友達として好き、ともまた違いますし…兄として好き…なのかしら?」
「兄…?兄ね…。僕のことは…?」
「シリウス様の事?勿論、友達として好きですわ。一緒に何気ない話をする時間も大好きです。」
シリウス様は何も言わず私をずっと見つめていた。
私もシリウス様から目が離せずにいた。
な、長い…この時間何〜??私なにか間違ってたかしら…
「ふぅん…。俺さ、スレイちゃんの事好きになったみたい。他の誰かと一緒にいる所見るだけで許せないし閉じ込めたくなるよ。俺の好きは友達の好きだと思う?」
そうだ、シリウス様は独占欲が物凄く強い人だった。
この独占欲の強さはルル様よりも遥かに上かも…。
ルル様とシリウス様、度合いは違うけどこういう所2人そっくりだわ…。
「シリウス様の好きは友達としての好きとは違うと思います…」
でも…恋愛の好きともちょっと違うかも…お気に入りのおもちゃに近い。
えぇ…てことは私お気に入りのおもちゃ認定されたって事?!
「スレイちゃん…俺、やっぱ無理かも」
「え!?無理?…何?!友達辞めるって事…?」
鼓動が早くなる。
無理って何〜?!
「友達…そうだね。一緒にいられる手段として今は友達でいるつもり」
そういって私の手の甲にキスをした。
「でも他の人と話したり触れ合ったりしてるの見たくないし…我慢出来なくなったら君を僕から逃げられない場所に連れて行くね。」
いつもの明るくて爽やかなシリウス様ではなく、色気を漂わせていて悪魔のような目つきでゾクっとした。
明らかに小説の中でヒロインに向けた独占欲が私に向いている…。おかしい…何でこうなったんだろう…。
だけどここは雰囲気に飲み込まれたらおしまいだ。
どうにか回避したい…!
「逃げられない場所って…それ絶対監禁ですよね…?シリウス様、絶対一生我慢しててください。監禁されたくないしシリウス様とは他愛のない話を馬鹿みたいに笑って楽しく過ごしたいですもの。おもちゃにされたくないですわ!」
私は精一杯の反抗をしてみた。
「はははははっ!やだなぁ、そんな事しないって。俺おもちゃにしようと思ってないし。スレイちゃんってこんな事されても僕を怖がらないどころか、一緒に笑って過ごしたいって…本当に鈍いしやっぱり変な人だね。でも…そういう所、好きだ。」
シリウス様は優しく私の頬にキスをした。