シリウスの本音(1)
自宅で療養して1週間程経ち、私の体は特に何事もなく普段通りに家で過ごしていた。
部屋でばかり過ごしていて退屈になった私は、庭に行って動物と魔獣といつもの様に戯れている。
「スレイちゃん!久しぶり〜!」
後ろから声が聞こえてきた。
振り返ってみるとシリウス様がいた。
「シリウス様…!どうしてこちらに?!」
「スレイちゃんのお見舞いだよ!って言ってももう元気そうだね。安心したよ〜。」
シリウス様は満面な笑みで向かってきて私の隣に座った。
「学園にはいつ戻ってくるの?辞めちゃったりしないよね?」
「まさか!辞めませんわ!体調も良くなったし学園には来週から戻る予定です。本当にご心配おかけしました。それと、ここまでお見舞いに来て下さってありがとうございます。遠く無かったですか?」
「いや俺がスレイちゃんの顔を見たいから来ただけだよ、気にしないで。来週戻ってきたらまたサーシャちゃんと一緒にランチしよう!」
「ええ!是非ご一緒させていただきたいですわ。楽しみにしていますね。」
私はワクワクした目をしながらシリウス様を見た。
貴族や平民の格差なんて関係なく、普通の友達として3人で一緒に居られる時間が私は気に入っている。
前世で学生だった頃を思い出してしまう。
サーシャも良い子だしシリウス様もこうやって接する分には普通の男の子。
シリウス様…お兄様達が言ってるような二面性とか裏の顔とか全く感じさせないから別人じゃないかなって思っちゃうんだよね…。
「本当、君といると心が穏やかになるんだよね。心なしか頭も軽くなってスッキリするし。」
シリウス様は赤くキラキラした目を細め穏やかに笑う。
「そうなのですか…?」
私が貴族らしくないから一緒に居ても何も考えないで普通に過ごせる…という事かしら?
「あ、そうそう!サーシャちゃんから手紙を貰ってきたよ。本当は一緒にここまで来たかったみたいだけど課題が終わらずに時間が取れなくて手紙だけでもって事で。」
「まぁ!そうなんですの!?サーシャさん本当に素敵な人ですわね。手紙を書いてくれるなんて…。シリウス様も届けて下さってありがとうございます。」
「それと…これは俺から。これ、前に話してたお菓子。プレゼントするって約束してたキュラ、食べたいって言ってたよね?」
「…!キュラ!!私、キュラをいただいても良いのですか?」
「スレイちゃんの為に持ってきたんだよ。どうぞ!」
「ありがとうございます!」
私はシリウス様から手紙とキュラを貰おうと手を伸ばした。
その瞬間、伸ばした手をシリウス様に掴まれ上に引っ張られた。
「え…っ!?」
引っ張られた後、シリウス様が私の体を押し体勢が崩れ倒れそうになる。
手を掴まれたままなので身動きが取れない。
えっ…このままだと倒れる!
ドサッと地面に倒れた私の上に覆い被さるようにシリウス様が居た。