目が覚めたら(2)
「ルル様は私があの場所にいると何故わかったのですか?」
気になって聞いてみるとルル様の顔が一気に豹変した。
「偶然、2人の女子生徒がスーを池に突き落とした事を笑いながら話していたのを聞いたんだ。」
「その子達、平気で人を傷つける様な事をして人間味を疑うよ。」
カイお兄様もそれを聞いて眉間にシワを寄せ怒りを露わにした。
「あいつらの処罰はシリウスに全て任せてある。」
「処罰…!?あのっ私は処罰は望んでないのですが…。
確かに彼女達は度が過ぎましたが、もっと平和的な解決を望みますわ。」
ルル様は少し困った顔をしていた。
「スー…。それは叶えられそうにない。シリウスはもうあいつらを退学させた。スーと同じ目に合わせようと池に落とし精神的に追い詰め、2度と学園には来られない様に恐怖心を植えつけて追い出したようだ。」
「うわぁ…シリウスを怒らせると厄介だな…君たち兄弟は本当に容赦がなさ過ぎるよ…。」
カイお兄様は少し引き攣った顔をして笑顔を保っていた。
「そうですか…。シリウス様…本当にそんな事が出来るような人には見えなくて信じられないです…。ですがお2人はもう学園を退学されたんですね。」
「いや、2人ではなく3人だ。」
「え?もしかして…ティア侯爵令嬢もですか?」
「勿論だ。」
また小説とは違った流れになっている。
今後小説の話と違っていくと私の知らない物語になっていくのではないかと考えてしまう。そうなると予測もできない…。
「スーどうした?もしかして3人の退学だけじゃ物足りなかったか?もっと何かして欲しいんだったら遠慮なく言ってくれ。」
「え!い、いやそんな滅相もない!!」
ブンブンと首を横に振る私に少しつまらなそうな顔をするルル様。
「スー、意識が戻って一安心したよ。僕とルルはもう今日中には学園に戻るけど、スーは暫く安静にするんだよ?お医者さんから了承得てから学園においで。」
「分かりましたわ。カイお兄様、ルル様、そばにいて下さってありがとうございます。」
カイお兄様は私を抱きしめた後、頬にキスをしてくれた。それを見たルル様は羨ましそうな目線を送っていた。
「カイ、ズルい。俺もお前みたいにやりたい。」
そっとルル様の手が私に方に伸びてくる。
その手を阻止するカイお兄様。
「駄目だ。ルルは兄妹でも何でもないからな。」
睨み付けるカイお兄様にルル様は残念そうな顔をした。
カイお兄様とルル様の仲の良さが本当に見てて飽きない。2人は私に手を振り部屋から出ていった。
まさか私がティアに呼び出されるなんて…。思っても見なかったわ。
これからの展開も少しずつ変わってくるんだろうけど重要なポイントは変わらないのかもしれない。
この後アロイスがスパイにならないようにどうにかしないと…だけど1人でなんとかするのも限界がありそうだわ…。今回みたいにならない様にカイお兄様に一度相談してみるのも一つの手かしら。
私は学園に戻ったらカイお兄様に私の知っている全てのことを話そうと決意した。




