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目が覚めたら(1)


ーーーダンパーネ家ーーー


目を覚ますと私は家のベットの上にいた。

あれ?私何してたっけ…。ここは家…?なんで家にいるんだろう。

上半身だけ起こしキョロキョロしていると隣にカイお兄様が座りながら寝ていた。


「カイ…お兄様?」


その声にピクっと反応して飛び起きた。

「スー!?起きたのか!良かった…。心配で心配で気が気じゃなかったんだよ。」


カイ兄様は私をぎゅっと抱きしめた。少し手が震えているようにも思えた。


そういえば私、池に落ちてそこから記憶がないんだった。


「私…あまり覚えてなくて。何時間寝てましたか?」


「3日間寝込んでたんだよ。」


「3日間!?そんなに?」


「そうだよ。なかなか意識が戻らないから本当に心配したんだよ。ルルが助けてくれなかったら今頃どうなっていたか…」


ルル様が助けてくれたのね…。お礼を言わなきゃ。


「昨日までずっとルルが居てくれたんだけど、今日は僕と交代したんだよ。もう少ししたらルルも来ると思うからその時お礼を言ってあげてね。ずっと心配していたから。後、サーシャさんもルルと一緒に来てくれていたんだよ。救護室に運ばれた時サーシャさんも一緒についてきてくれてとても心配していたよ。」


「ルル様もサーシャさんも…!お二人には本当に感謝しないとですわね。……あのぅ…カイお兄様…?」


カイお兄様はずっと私を抱きしめながら話していた。

離す様子も無い。

ちょっと苦しくなってきたんだけど…。


「うん?何だい?スーの頼みは今なら何でも叶えてあげたいくらいだよ。本当に生きててくれて良かった…」


「それでは…お兄様に今お願いしたいのは、そろそろ離れていただきたいのです。」

カイお兄様はニコリと笑いながら更にギュッと強く抱きしめた。

「それは論外なお願いだな。兄さんはスーの事が心配でもう離れられそうにないよ。」

「カイお兄様。また少し横になりたいから離してほしいのです。」


そう言うと、寂しいそうな顔で渋々離れてくれた。


「カイお兄様、あの…私はいつ学園に戻れそうですか?」


「そうだね…こんな事もあったし、僕は学園なんて行かないで家庭教師を雇って家にいて欲しいくらいだけどスーは学園が気に入ったみたいだね?どうしても行きたいかい?」


「はい、まだ入学したばかりで何の勉強もしていませんし、折角サーシャさんという友達が出来たのですから…」


それだけじゃなくて学園にいればこれから起こるかもしれない危機を回避する事が出来る。フラグ折りまくりたい私は行かないという選択肢はない。



「スー…!!」


カイお兄様と会話をしているとルル様が私の名前を呼び、走って向かってくる音が聞こえた。



「あ、ルル様…!助けてくださってあり…」

体を起こしてお礼を言おうとした私をルル様は抱き寄せた。


「良かった…。本当に。」

ルル様からは手が震えているのが伝わった。更にぎゅっと力を入れて抱き寄せられている事が大事にされているような感覚になり心が温かくなった。


「ルル様、助けてくださってありがとうございました。本当に心配かけてごめんなさい。」


「スー…これからは1人で何処かへ行くな。」

「はい…ごめんなさい。」

「心配させるな。」

「はい…」

「スー。目が覚めてくれて良かった…生きた心地がしなかったよ…」



「はい、ここまで!それ以上は無しだよ。密着しない!」

空気を壊すかの様にカイお兄様は笑顔でルル様と私をベリっと引き剥がした。

チッと舌打ちをするルル様。


「ルル、心配してくれたのはいいけど抱き締める時間が長すぎる。それに抱きつくのは許してないからな。」

「カイ、お前シスコンが過ぎる。そんなんだからいつまで経っても婚約者が見つからないんだ。」

「構わないよ。僕はスーと一生一緒に暮らすつもりだから。」

「はぁ?何言ってんだよ。スーが可哀想だろ」

「可哀想ってどういう意味かな?」


2人が口喧嘩をし始めた。

あの…一応私目覚めたばかりで病人なんですけど…。


「カイお兄様ルル様!!喧嘩しないでください。聞きたい事があるので私の話を聞いて下さいますか?」


ルル様とカイお兄様は睨み合いながらも私に顔を向けてくれた。



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