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悪役令嬢との出会い (2)

やられた…。

やっぱり何事もなく終わるわけなかったか…



勢いよく落とされた私は全身水の中に入ってしまった。泳ぎが苦手なわけでもないけど流石に服のままだと身動きが取りづらい。


やっと水面から顔を出すとクスクスと笑いながらティア達は帰っていくのが見えた。


小説だと湖に落とされたヒロインは泣きながら湖から出て帰ってたけどこの状況、泣きたいというか…腹が立つ。ティアはルル様の事が好きで、嫉妬からこんな事をしているのではなく、ここまでしてしまうほど王太子妃の座が欲しいという強欲な気持ちはでやったのだろう。流石としか言えない。


誰かがこの庭を通ってくれたら助けて欲しいけど誰かが通る気配すらしない。待ってたら風邪ひきそうだわ。


しょうがない…1人で何とかするしかないわね。


私は池から出ようと泳いだ瞬間、何かに足が引っ張られてまた水の中に引き摺り込まれた。


え…何?!どう言う事!?


見ると足に薄くて長い黒色の手のようなものが巻き付いていた。

それは「ピスタ」という水の中に生息する魔獣だった。普段は大人しいが縄張りに入られると気性が荒くなる生物だ。


凄い勢いで飛ばされたからこの子の縄張りに入って怒ってるんだわ。


必死に抵抗し、やっとの思いで水面に顔を出した。


「だ、誰か…っっ」


誰も通る気配が無く私の声は虚しく消えていく。


…どうしよう…これじゃ水面に顔を出す事が精一杯の距離だ。このままじゃ溺れちゃう。

バタバタし過ぎてもう息が続かない。


助けてもらう事を待つんじゃなくて自分で何とかしなきゃ。本当に溺れて死んでしまう。


私は思いっきり息を吸って水面に潜った。


足を引っ張っている手を辿りピスタの元へ行く。

黒くて丸みのある物体が此方を睨んでいる。


あの子だ…!!


私は能力を使いピスタの心を映し出した。綺麗な宝石のようにキラキラしているその心に話しかける為に近づいた。

ピスタを両手で触り宝石のような心に話しかける。


『驚かせてごめんなさい。湖が綺麗で見ていたら間違って落ちてしまったの。貴方の縄張りに近づかないようにするから、お願いだから手を離して欲しいの』


ピスタの睨みつけていた目は丸くなり、少し考えているようだった。


その後するっと手を離して私を上に押し上げてくれた。


良かった…。


だけどもう息が続かない。早く上に上がらなきゃ。


『ありがとう』


私はピスタにお礼を言って早く水面まで行こうとした。


だけど…もう息が持たない。やっとの思いで水面から手を出せた。だけど体も動かなくなって意識が遠のいていく…。


どうしよう…誰か…


誰か…助け…て…



その時水面からバシャンと誰かが池に入ってくる姿が見えた気がした。


誰か…来てくれ…た?



私は意識を失った。






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