見覚えのあるシーン?
「ではお兄様達、私は向こうの草原に行ってきますわ。」
「また魔獣達と遊ぶのか?」
「はい!モフモフの触りごこちが本当に癖になるんですよ。」
「気をつけるんだよ、早く戻っておいでね。」
「はい!また後で!」
私は足早に魔獣や動物達のいる草原へと行った。
「あら?貴方はウサギさん?…ではなくて一角ウサギさんね。こんにちは。今日はどうしてここにいるのかしら?」
一角ウサギとは魔獣の一種で見た目は一見ウサギに見えるが耳と耳の間に角が生えている。性格も単独行動が大好きな好奇心旺盛な魔獣だ。
私には能力を使い魔獣らの心を視る事で会話も多少は出来る。
「ここへは何か用事があってきたの?」
『あそびにきた。ひま どうぶつと あそぶ』
一角ウサギは他の動物達を見つけて走っていった。
可愛い…。あ〜癒されるわ。
夢中なっていると目の前が影で覆われた。
後ろを振り返るとルルド様がいた。
「ルルド様…?どうして此方に?カイお兄様と一緒では…」
「魔獣と遊ぶって…気になってついてきたんだ」
「まぁ!魔獣達に興味があるんですか!?モフモフの子もいるし友達思いの子もいたりするんですよ!」
私はつい夢中になりルルド様についつい沢山喋ってしまった。
「あ…失礼しました…。動物とか魔獣の事になると周りが見えなくなってしまうんです。あの、少し触ってみますか?」
ルルド様に喋っている間、動物や魔獣達は1匹残らず何処かへと走り去っていた。
「俺は彼らに嫌われているみたいでなかなか触れないようだ。」
無表情ながらも少し落ち込んでいるように見えた。
「そんな事ないですわ!!皆初めは臆病なんですの。
何度かここに来てくださればきっと魔獣も動物達も仲良くしてくれますわ!あ!後もうちょっと優しく微笑んで欲しいです。怖〜いオーラ出てるの気付かれてますよ」
「…そんなに俺の事怖い?」
無表情だけど何となく分かる。
コレちょっと拗ねてるな。
前世では20代まで生きた私。
今世と合わせるとだいぶ大人だから子供相手に怖がることなんて何もない。
なんて言えないしな…。
さてどう返そうものか。
「んー。そうですわね。私は全く怖くないですわ。
ルルド様とても綺麗ですもの!!」
取り敢えず持ち前の明るさと笑顔で返した。
「綺麗??」
どこが?なにが?と言わんばかりのきょとんとした顔。
「そう!ルルド様の心がキラキラしてるんです。でもちょっと不思議な色ね…。あ、勿論お顔もキラキラしててとても綺麗ですわ」
この世界では魔法とか特殊な能力を持った人がいる。
私の力は魔獣と話す能力以外にも、生きているもの全ての性格が宝石として具現化されて見える事。悪いことをしている人は霞んでいて、善良な人宝石がより一層輝いている。
ルルド様も綺麗な宝石だけど少し変わった色をしている。
「…心が綺麗…初めて言われたよ。君が純粋だからそう見えるのかもしれない。俺はそんなに綺麗じゃないし皆怖がるから…。でもありがとう嬉しい。」
優しい眼差しで私を見つめるルルド様。
ん…??なんかこのシーン漫画であったような…なかったような…?
ま、モブだし気のせいかな。
「君は魔獣達の事何故怖くないのか?周りから恐れられてる生き物だが…」
ルルド様は興味津々で聞いてきた。
「そうですね…。あの子たちは普通に生きてるだけです。負の感情を吸い過ぎると暴走してしまう事もありますが、それさえ防ぐ事ができたら動物たちと何ら変わりはないので怖くはないです。」
私はルルド様に笑顔で答えた。
「へぇ…。君って変わってるね。」
「わ、私ですか??そんな事ないと思いますけど…」
「いや、魔獣の事もそうなんだが…君、本当に年下?」
その質問は…どう答えていいのか…
さっき前世思い出しちゃったんだよね〜!なんて言ったら引かれるだけだし…
「え!?えと…と、、年下ですけどもう13歳の立派なレディーなので大人とでもいいましょうか…!」
「ああ…そうか、君は立派なレディーだったね。」
ルルド様はクスクス笑っていた。
「わ、笑わないで下さい…」
顔を真っ赤にした私にルルド様は笑顔で手を引っ張った。
「ねぇ、もっと色々教えてよ。魔獣と動物に好かれるコツとか、ここの事も君の事も。」
何だか楽しそう。ここを気に入ってくれたのかしら…。まぁ数週間だけだからおもてなしも大事よね。
その後もルルド様は私と一緒に動物や魔獣達と触れ合ったり穏やかな時間を過ごした。