冷え切った兄弟
「スー。」
後ろを振り返るとルルお兄様がいた。
「ルルお兄様!どうされたのですか?」
「ルルお兄様…?」
シリウスは嫌悪感でいっぱいの表情をした。
そうよね、お兄様って気軽に呼んでたけどシリウス様からしたら兄妹でもないのに馴れ馴れしくて嫌よね…。やっぱり呼び名変えなきゃいけないわね。
「シリウス、スーと一緒にご飯食べていたのか。」
「…ああ、そうだけど何?それよりも兄さんはスレイちゃんと知り合いなんだ?」
「ああ。スーとは去年知り合った。」
「へぇ…珍しいね。兄さんが他人を愛称で呼ぶの。」
シリウス様は冷たい表情で淡々と話している。
何だか空気が凍りついてきた…。
「あの、ルル様。シリウス様は1人ぼっちの私に気さくに声を掛けてくださったの。私本当に嬉しかったんです!」
「スレイちゃん、僕の方こそ1人だったから心強かったし、お互い様だよ。」
シリウス様の場合はこの国の王子という事もあってクラスの皆話しかけづらいのでは…。きっと話しかけるタイミングを伺っているだけでぼっちではないと思う。あっという間に人気者になりそう。
「わ、私もいるので1人ぼっちなんかじゃないですよ!お2人とも!!」
サーシャが便乗してほのぼのとした空気に変わった瞬間、隣からホワホワとお花が飛んでるような空気感が伝わった。
隣を見るとルル様が嬉しそうな顔をしていた。
「え…?ルル様どうかされました…?」
ルル様が急に抱きついてきた。
うわっっ…こんな色んな人が見てる所でやめて欲しい…。
チラッとシリウス様とサーシャを見ると目を見開いて思いっきりびっくりした顔をしている。
「スーが…やっとお兄様呼びやめてくれた。嬉しい…やっと俺の事、兄のような存在から1人の異性として見てくれるようになったんだな。」
いや、違うんだけど…。
「ルル様。シリウス様の前で本当の兄妹でもないのにお兄様呼びは何だか馴れ馴れしくて失礼な気がしてしまったのでやめただけですわ。それと、直ぐに抱きつくのもやめて下さい。」
そういうとルル様はしゅんとしながら離れてくれた。
私の隣でその光景をずっと目を丸くして見ているシリウス様。
「兄さんがこんな姿初めて見た。人間らしい部分もあるんだな。」
シリウス様…目が笑ってなくて恐い…。
「スレイちゃん、サーシャちゃんそろそろ行こうか」
シリウス様がルル様とこれ以上一緒に居たくないと痺れを切らし席を立とうとした時にルル様が私の肩に手を置いた。
「スー。今度は俺とランチ食べる約束しよう。明日迎えに行くから。」
ルル様もチラッとシリウス様に目線を持っていき少し睨むような目つきをしながらその場を立ち去った。
「うわ…兄さん独占欲剥き出しだわ…。」
イライラしながらシリウス様はルル様の背中を睨みつけていた。
「明日、兄さんがランチ来るなら俺はいいや…。」
「そ、それなら私も遠慮しておきます!きっとスレイ様と2人でランチしたいだろうし。」
ぇええ明日も一緒にランチしようって思ってたのに…。空気が一瞬にして悪くなっちゃった…。
「じゃあ明後日は皆さん一緒にお食事できますか?私は3人で食べるのが楽しくて大好きになったのでまたこの楽しい時間を共に過ごしたいのです…。」
「っ…!可愛すぎますスレイ様!!勿論です。スレイ様とシリウス様と一緒にランチしちゃいましょう。」
「俺もサーシャちゃんと同感!スレイちゃんにそんな言い方されたら一緒に食べるしかないよね!明後日は一緒にランチしよう!」
約束を取り付けて笑顔になった私は食事を終えて皆と教室へと向かった。