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氷の様に冷たい表情

それにしてもカイお兄様が友達を連れてくるなんて珍しい…。

お兄様は昔からシスコン過ぎて私に男の子を会わせたがらなかったけどこのお友達は特別心を許しているのかしら?

学園から来た方だけど『最恐王子』に出てくる人…

でもなさそう…?


「スー…?また話半分だったろ。ちゃんと聞いていたか?」


またカイお兄様が呆れた顔をしながら聞いてきた。


「お兄様ごめんなさい…ちょっと考え事をしてて…

この方はお兄様のお友達…ですわよね?」


ついつい前世で読んだ小説の世界と時系列を照らし合わせてしまう。


正直言って『最恐王子』の主要キャラはヒロイン以外クセが強いから関わると面倒な事が起きそう。確か…最恐と言われる王太子がいてその人は金髪で金の瞳。

環境は決して良くはなく、愛情を知らずに育っている。


名前は確か…シ…シリア…?シリウ…?


なんだっけ思い出せないけど…他のキャラも髪色が派手だったり目の色が特徴的だった。

目の前にいる男性とメインキャラとは外見がかけ離れていた。


良かった…。

私はホッとため息をついた。


カイお兄様があの学園に通うとなってから少しドキドキしていた。カイお兄様が『最恐王子』のメインキャラと関わって面倒な事に巻き込まれていないか心配もしていたけど…どうやら杞憂だったみたい。


私は穏やかに過ごしたい。


ここは田舎の伯爵家だしあの主要キャラ達と関わる事なんてないわよね?



モブだし。




チラッと見るとカイお兄様のお友達とパチっと目が合ってしまったのでニコリと笑顔を返してみた。


茶色の髪に茶色の瞳。


一見普通の外見だけどよく見ると顔はとても整っていてカイお兄様に負けず綺麗な人だ。


「初めまして。僕はルルド。君のお兄さんと同じ学園の友達だ。…名前を聞いてもいい?」


綺麗な声と一緒に無表情で氷の様に冷たい空気も漂う話し方だったが何故だかあまり怖くなかった。


イケメンはどんな表情でも絵になるってこういう事かしら?


「…申し遅れました。私はカイルお兄様の妹、スレイ・ダンパーネと申します。いつも兄がお世話になっております。これから暫くの間宜しくお願いしますわ。」


笑顔で返すとルルドは少し口角を上げて宜しくと答えた。


その隣でカイルがビックリした表情をしている。


「お兄様どうしたんですか?何かビックリする事でもありました?」

「いや…ルルが笑った所初めてみた…」

「…俺だって笑う時くらいある」

「そうか?出会ってから僕はルルの笑顔見た事ないよ。ルルの笑顔見られて感動したよ。お前も人間らしいところがあるんだな。」




カイルの肩を叩くルルド。


痛いと怒るカイル。


仲睦まじい2人…絵になる尊い…。


ついつい2人を見てキラキラした目で見てしまった。


前世のオタク魂は今世でも生きている。



そんなスレイに気がついたルルドはスレイの横に座った。


「これから俺の事はルルドって呼んで欲しい。兄がもう1人出来たと思って気軽に接してくれ。これから数週間宜しくな。」


と頭をぽんぽんと触られた。


何だか優しい人みたいでさらに安心。

これから仲良くやっていけそう。



「ルル!大事な大切な僕の妹に気軽に触るなよ!」

「はいはい。本当に兄バカだな…」



2人の会話を聞くと気を許している2人なんだなと嬉しくなり、ついつい声を出してクスクスと笑ってしまった。


「あ…ごめんなさい。カイお兄様が心を許してる相手にはこんな感じなんだなって。いつもと違うカイお兄様が見れて嬉しくてつい笑っちゃいました。」



「スレイはカイお兄様が大好きなんだね?」



ルルドに聞かれたスレイはハイ!と満面な笑みで答えた。



その屈託のない笑顔にルルドは無意識に見惚れていた。



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