アロイスとドウェイン(2)
2人が可哀想だなと哀れみの目で見ているのにも気付かないカイお兄様。
「だろう?スーは本当に可愛い自慢の妹だ。誰の目にも触れたくないから極力君達にも会わせないようにさせたかったけど早速会う事になって残念だ。」
カイお兄様キラキラした笑顔で何を言ってんだか…。
「カイル…シスコン過ぎる…。妹ちゃんが結婚する時が怖いなドウェイン。」
「そうだね…。まぁこんなに可愛いんだからその気持ちも分か…いや、カイルの一面も見られて新鮮な気持ちだよ」
え…ドウェイン、可愛いものに目がないって人も含まれるの…!?この人と1人で会うのは避けよう…。
でもこの2人…本当にどちらかがスパイなの…?そんな風には見えない。
私は自分の力を使って彼らの心を視た。
2人の心は、にごりのない宝石だった。特に悪巧みを考えているような心を持っている人たちではない。
物語が変わっているのかしら…それならありがたいのだけど。そもそもメインキャラの中にカイお兄様が居る事自体、話と違うし。
暫く様子を見てみるしかない。
じっと2人を見ているとふいにアロイスと目が合った。
「あれ、妹ちゃんの目が一瞬宝石みたいにキラキラしてたけど気のせいかな?凄く綺麗だったんだけど…」
アロイスは不思議そうに私の瞳を覗くように観察する。
近い…。
何かの気配に気づいたアロイスは辺りを見回す。
「うわっっっヤバい」
気配の正体に気づいたアロイスが遠くを見ながらあたふたし始めた。
「どうし…?うわっっなんかめちゃくちゃ怒ってない?いつにも増して表情怖いんだが…俺ら何かした…?」
ドウェインも同じ方向を見て焦り出した。
彼らと同じ方向を向いてみる。
それはすごい速さで向かってくるルルお兄様だった。
「うわぁ…。君たち、僕も大概シスコンなのは重々承知の上でなんだけど彼もかなりの執着と溺愛だから離れた方がいい…下手したらやられるよ。」
「え…?どう言う事?なんかよく分からないけど妹ちゃん盾になって!!」
何が何だか分からないまま
2人は私から離れずに後ろに隠れようとした。
あっという間にルルお兄様は私たちの元へ辿り着いた。
物凄いオーラが殺気立ってる…。何故こんなに怒ってるのか…?
「ルルド…?めちゃくちゃ怖いんだけど俺らなんかした??」
私の後ろからアロイスがひょこっと顔を出して気まずそうな顔でルルお兄様に言った。
「――ろ。」
「え…?」
「お前ら…スーから離れろ。」
鬼のような形相に怯えるアロイスとドウェイン。
「ほらね、離れろといっただろ?」
「ぇええそんな急に言われても分かんないよ!ねぇ妹ちゃん助けてよ。ルルドがなんか怒ってる」
アロイスが私の肩に触れようとした瞬間、ルルお兄様がそれを阻止するように私を抱き寄せた。