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思い出した物語

その後、私は学園から寮に戻った。


この寮は個室と2人部屋がランダムで振り分けられる。


私は個室だった。


(良かった…1人が落ち着くし、誰にも見られずに紙に書ける…!!)



ひと段落した私は前世での小説『最恐王子』のストーリーと登場人物を覚えている限り紙に書き起こした。


たしか本のストーリーでは…



入学式にヒロインが具合が悪くなっている所を王太子が助ける。その後2人は仲良くなり意識し始める。


それに嫉妬する令嬢からの執拗なイジメ。

それらも王太子が助けて2人は恋に落ちる。


王太子と仲の良い宰相の息子と騎士の息子がい

た…はず。


あれ…?私大事な事すっかり忘れてる…



確か…この中に裏切り者がいて…王太子は…


次々と紙に書いていた手はピタッと止まって心臓がバクバクと早くなり始めた。




待って…落ち着こう。



私は何度か深呼吸した。



冷静に。落ち着いて思い出すのよ!…鮮明に!

止まった手をまた動かした。



王太子はこの裏切り者のスパイにより…


殺される。





助けられなかったヒロインは悲しみ嘆き力を暴走させてしまう。


また暴走させないために王城の使われていない魔法防護壁のある離宮に入る。


そこで王太子の弟、第二王子殿下に会う。

彼の優しい心と暖かい言葉で少しずつ笑顔を取り戻すヒロイン。


次第にヒロインは第二王子に心惹かれ、両思いに。


第二王子は後に王太子になる。



真相は…この第二王子こそが最恐で、王太子を殺した犯人だ。王太子になる目的と密かにヒロインを想っていた。


その様々な嫉妬から行動を起こした-------。



それを知ってしまったヒロインは恐怖で第二王子から逃げようとするが逃亡は失敗。


第一王子よりも心の闇が深く執着心の強い性格の第二王子はヒロインを閉じ込めて逃げられない様にする…


と物語はまだまだ続くが、最終的に第二王子の重い愛をヒロインは受け入れ、2人は結ばれていた。



色々思い出してきた…。



ルルお兄様の名前を聞いてもピンと来ない理由が分かった。


物語の序盤で殺されているから。


こんなの知ってしまったからにはモブだからって外野で見るだけなんて出来ない。


どうにか…阻止しなければ。


お兄様に言ってみる?いや、でもどうやって信じてもらえばいいか…自信がない。


しかも物語が少し変わってきている。ヒロインであるサーシャもルルお兄様もお互いに全く興味持っていない。

ルルお兄様が殺される事はないかもしれない。


でももしかしたらこの先2人が両思いになる可能性も…


そうなったら第二王子が黙っていないだろう。



ルルお兄様が殺される時期はいつだった?

分からない…だめ!しっかり思い出さなきゃ…!


挿絵で確か服装は薄着だった…夏?

いや違う。たしか…そうだ!実りの収穫祭のお祭り!


そのお祭りへお忍びで2人がデートをしていた時に襲われていた。


という事は…秋だわ!


今から半年後までに阻止しなきゃ…!! 


それまでは1人で何とか様子を見ながら味方になれる人をつけていこう。


後は宰相の息子か騎士の息子、どちらがスパイなのか

炙り出せば阻止できるかもしれない。

どちらだったのか、何故こんな大事な事思い出せないのだろう。描写には何方がとは書いていなかったのかな…分からない…



それでも本当に出来るかなんて分からないけれど

どんな手段を使ってでも絶対に止めなきゃ…!!


私はたくさん書いた紙を誰にも見られない様に

鍵付きの引き出しにしまった。




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