研究科(2)
ヒィっと思わず声を上げてしまった。
肩に顔を乗せてるから近いし
本当に気配もなく急に現れるから心臓に悪い。
「ルルドお兄様まで…お二人とも心配されなくても
私は迷子にならないので大丈夫で…」
「ルル。…ルルだ。」
私の話を遮ってまで愛称呼びにこだわってる…。
ルルお兄様から殺気立ったオーラを感じ取る周囲の生徒達。
ルルお兄様も表情が今から殺気が漏れて人一人やりかねない顔…
これは恐いわよね…
ほら…周りの新入生たち怯えて動けなくなってるじゃない…。
早くこの場から去らないと。
「ルルお兄様、カイお兄様、学舎までご案内してくださるのですよね?嬉しいです!お願いしても宜しいですか?」
ルルお兄様とカイお兄様はニコリと笑って向き合っていた。
「当然、俺の妹だから俺が案内するからなルル。」
「いや、俺が一緒にスーと行くんだ。」
と何やらバチバチしていて更に周りに注目を浴びていた。
何?何?とギャラリーが増えつつある…
目立ちたくないのに
ここから早く離れたいと思ってるのに…!!
揉めてる時間が長い。
私はイライラしてきた。
「ルルお兄様!カイお兄様!!
お二人で一緒にご案内して下さる??」
笑顔だけど明らかに怒りの表情が抑えきれない私。
「はい。一緒に行きます。」
と2人が声を揃えてバツが悪そうな表情で歩いていた。
「ところで、ルルお兄様は何科ですの?」
「あぁ、俺は魔法と騎士両方だ。と言っても魔法は全科目修了していて今は殆ど騎士科にいる。」
「え!?魔法科は修了していて騎士科って…凄い!ルルお兄様チートですわね!」
思わず前世の言葉がポロッと出てしまった。
まずい…。
「ちーと?って何だ?」
「あ…えっと…。何でも完璧でカッコいい人って意味なんです。」
笑顔で何となく誤魔化した。
ルルお兄様は無表情だったけど褒められて喜んでいるのが分かった。
周りにお花が飛んでるように見える。
ある意味分かりやすい。
「そうなんだよ。ルルは何でもそつなくこなしてしまうから優秀すぎてなかなか敵わないんだよな。」
そういうカイお兄様もとても優秀だって
お母様が喜んでいたの知ってるけどね。
それにしてもルルお兄様何でもできるなんて…
最恐チートだったのね。
勝てる気がしないわ。
2人に学舎まで案内してもらった後お礼を言って私はそのまま教室に入った。