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断罪(5)

「ルルドめ…政務よりもあの子が大事なのか…まぁ今回は見逃してやろう。」

陛下はフッと笑った後、真剣な表情で王妃を見る。


「サラ・レイモンド・カムバーディナル!そなたは地下牢に一生幽閉する!つれていけ!」


「そんな…陛下!私の話を聞いて下さい!今まで一緒に過ごしてきた仲ではないですか!!陛下…陛下!!シリウス助けて!」


王妃は暴れながら取り押さえられている護衛達を払おうとしている。


「母上…俺はもう貴方の操り人形ではないです。罪を償って下さい。」

「なんですって…?アンタ今までどんなに可愛がってあげたか分からないの!?母である私にこんな仕打ちまでしてアンタなんか産まなければ良かったわ!!」


シリウスは心が抉られるような気持ちになり顔を歪める。


「母さん…僕は母さんのこと愛してるよ。どんなに殴られたって無視されたって…今もこれからもその気持ちは変わらない。魔力を使わなくたって僕はずっと母さんが大事だよ。」


シリウスは精一杯の笑顔で伝えようとするが上手く笑えなかった。


さっきまで暴れていた王妃はシリウスの言葉でハッとし、ピタッと止まる。



「シリウス……どうして…」


(私は一体いつからこうなったんだろう…。最初は愛してくれる人がいるだけで良かった。陛下に一目惚れして陛下が欲しくなった…次はもっと陛下に見合うような力が欲しくなった。でも…ただ、私は愛されたかっただけなのに…どうしてこんな事になるまで気付かなったんだろう。)


一気に力が抜けた王妃は護衛達に連れられて王座の間を出た。



シンと静まり返った王座の間。

シリウスは階段を駆け上がり、陛下の前で頭を下げる。


「陛下、私に発言の許可を頂けますか?」

「構わん。」

「感謝致します。」


くるっと貴族達の方に向き直すシリウス。

「皆、今見聞きした事忘れる事がないように。この世界はヴェティス様のご加護がある。神の子であるスレイ・ダンパーネ嬢は護るべき存在、そしてこの国の平和と富の象徴となる方だ!」


貴族達は喜び拍手をし続ける。

続けて陛下も立ち上がり貴族達に伝えた。


「彼女が生きている限りこの国の平和は保たれるであろう!」


拍手喝采が起きた後、シリウスと陛下は顔を合わせて笑みを交わす。



ーーー守護神ヴェティス様が王妃を断罪した出来事はこの先も語り継がれる事となった。ーーー




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