断罪(4)
ヴェティスが大きな声で叱責すると王妃はガタガタと震えだした。
「そんな…何で…何でよ!何もかも上手くいってたじゃない!!こんなことになる筈じゃなかったのに…」
王妃は崩れ落ちるようにしゃがみ込んだ。
「サラ…お前はそうやって俺にもずっと催眠の魔法をかけていたのだな。息子のシリウスにも…!」
「王妃、罪を認めて然るべき罰を受けて下さい。私の母上を殺害しようと私をも巻き込み、人に罪をなすりつけた事を。」
王妃は自分の腕をぎゅっと握りながらルルドを睨んだ後、豪快に笑い出した。
「あは…あははははは!!ええ…そうよ!認めるわよ!でも本当に清々しかったわ…いつも無表情で可愛げのないアンタがあの時だけは表情を歪ませてて。本当にゾクゾクしちゃったわ…。」
体はガタガタと震えながらも強がる王妃を見ながらため息を吐くヴェティス。
「滑稽ね。人間というものは浅はかでとても低能。積み上げたものをすぐ崩壊させて何が楽しいのかしら。」
ふとヴェティスは体の異変に気付く。
「あらもう身体が限界みたい…そろそろスレイに体を返さないと…私と同化してこの子も神になってしまう。ルルド、とても良い席で見物出来たわ。やっと膿を取り出せたし文句も言えてスッキリした。後は貴方達が私の子を大切にしてくれる事を祈るわ。」
「ヴェティス様、我々の前に姿を現わし協力してくれた事感謝しております。」
王座の間にいる人々は全員頭を下げた。
ヴェティスはニコッと微笑みながらルルドの肩をポンと触る。
ルルドは顔を上げると目の前に来たヴェティスと目が合う。
「スレイはまだ眠っているからこの体を受け止めてね。楽しかったわ。」
そういってキラキラとした金色の光が体から抜けていくと共にスレイの体が倒れ、ルルドはスレイを受け止めた。
「陛下、私の仕事はここまでです。後は王妃の処罰はお任せいたします。」
「フンッ…私への気配りのつもりか?確かにサラとは一緒に居た時間も長いが…ルナを…元王妃を計画的に殺害してしまった事は許す事が一生できないであろう。」
「陛下のお心のままに。」
ルルドは陛下に頭を下げ、そのまま階段を降りた。
王妃の隣にいるシリウスの横を通り過ぎるルルド。
「シリウス、後は任せた。」
「え!?俺?…全く人使い荒いなぁ」
「ドウェイン、アロイス、カイルを今日はお前に付ける。」
「はいはい。後片付けはやっとくよ。」
「流石俺の弟は天才だな。」
フッと笑い、ルルドは王座の間から出て行った。
「ルルドめ…政務よりもあの子が大事なのか…まぁ今回は見逃してやろう。」
陛下はフッと笑った後、真剣な表情で王妃を見る。
「サラ・レイモンド・カムバーディナル!そなたは地下牢に一生幽閉する!つれていけ!」