恩恵(2)
「陛下、発言をお許し下さい。ヴェティス様はこの世界を見守る神様です。今、陛下の事をアーヴ様とお呼びになられてしました。どこかでお会いしましたか?」
陛下はビックリして目を丸くしていた。
「その名前は…母親と限られた人にしか言われなかった名前だ。」
周囲の人たちもどよめく。
「王太子様の婚約者様は神様と通じるという事!?」
「もしそれが本当ならば前代未聞だ!」
「ヴェティス様、陛下とはお会いした事があるのですか?」
『いいえ。アーヴが産まれた時から数年までは見守っていただけなんだけど…。アーヴの母親は私の気配に気付いていたようね。いつも王宮にある礼拝堂で感謝されていたわ。』
私はそのまま陛下にお伝えすると少し笑みを浮かべため息を吐いた。
「参ったな。これは本当にこの世界の神様と会話をしているようだ。認めざるをおえない。」
陛下は椅子から立ち上がった。
「皆、よく聞け。ここにいるスレイ・ダンパーネ。ルルド王太子の婚約者は、非常に稀なこの世界の神様と会話が出来る力を持っている。これより話す言葉は神様の言葉と思え。」
貴族たちは全員膝をつき頭を下げた。
「ルルド。まだ何があるんだろう?」
「はい。これからこの国の膿を出すためにヴェティス様にもスレイ嬢にも協力して頂きます。」
「私はこれから見物だけする。後はルルド、お前に託すぞ。」
「はい。ありがとうございます。」
「サラ・レイモンド・ディナール王妃様、シリウス・レイモンド・ディナール第二王子がいらっしゃいました。」
扉が開かれ、美しいドレスを纏った王妃様とシリウス様が一緒に入ってきた。
「あら、もう先客がいたのね。どうして私は後から呼ばれたのかしら…。何も聞いておりませんけど…どういう事ですの?」
入るなり私とルル様を見て明らかに不機嫌になる王妃様。
陛下は表情を1つも変えずに王妃様を見ていた。
「陛下、お久しぶりでございます。そちらに参りますのでお待ち下さい。さぁシリウス行くわよ。」
王妃様が階段の手前まで来た時に初めて陛下は王妃に対して口を開いた。
「サラ、待て。今日お前はその場で話を聞く事になるだろう。」
少し冷たい態度で王妃様に話す陛下。
「な、何故ですの!?」
「陛下ありがとうございます。これより私がお話し致します。」
ルル様は王妃様を見ると、王妃様はルル様を睨みつけていた。