王座の間(3)
「あの、ルル様…今から一体何処へ行かれるのですか?」
ルル様はニヤッと笑う。
「ハッピーエンドの結末が見れる場所だよ。」
(ハッピーエンドが見れる…?)
私は訳も分からずそのままルル様に手を引っ張られ連れられて行った。
◇
◇
◇
「ルル様…ここって…」
ルル様が足を止めた場所は王座の間だった。
「スー。今からこの中に入るんだが…スーにもヴェティス様にも協力して欲しい事があるんだ。」
「わ、私にもですか…!?王座の間には人が沢山いるんですよね…?」
(端っこで見ていたかったけど協力って事はきっとそうはいかないわよね…)
「そうだね。大勢ではないが人は集まっている。スーは苦手な場所かもしれないけど。ここでスーが頑張ればきっとこれからスーが危険な目にあう事もなくなる大事な機会なんだ。」
「やっぱり…ルル様はいつも私の事を考えてくれてますね。」
ルル様は無理にこんな事をしようとはしない。きっと私の為に何か考えての事なんだろう。
私は手をギュッと握りながら決意を固めた。
「分かりましたわ!私に出来ることがあるなら、ルル様に協力させて下さい!」
「ありがとう。俺はずっと隣に居るから安心して。」
「はい!」
王座の間の扉が開かれ、私達は中に入った。
既に沢山の貴族の人々が王座の間に集まっている。中に入った瞬間人々の視線が一気に私達に集まった。
沢山の視線が私を緊張させ、体が固まってしまう。思わずルル様の服をギュッと握ってしまった。
ルル様はそんな私の手を見つめフッと優しく笑う。
「スー、大丈夫だ。怖くないから安心して。」
「は、はい。」
ルル様は私から目線を外すと先程までの優しかった笑顔とは真逆に怖い顔で周囲を睨みつける。
王座の間にいる人達はルル様のオーラに怖気付き、恐怖と同時に目を逸らす。
「さぁ、行こうか。」
「は、、い…。」
ルル様は私の手を引き、そのまま陛下が座っている王座の前で止まった。
「陛下、連れて参りました。婚約者のスレイ・ダンパーネです。」
「国王陛下にご挨拶を申し上げます。」
私は顔を下げたまま挨拶をした。
「よい。顔を上げろ。」
陛下に言われた通りに私は顔を上げた。
国王陛下はルル様に似て無表情で私を見ている。
「そなたが私の息子、ルルドの婚約者か。」
「はい。」
私が緊張を隠せず震えているのを見て、陛下は少し表情が柔らかくなった気がした。
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