ヴェティス様からの贈り物(4)
『ヴェティス様、お話できますか?』
私は目を閉じて心の中でヴェティス様に話しかけてみた。
少し経つと、コンコンと窓から音が聞こえてきた。
私は目を開けて窓を見てみると鳥の魔獣『テニー』が窓をノックするようにくちばしで叩いていた。
(テニーがこの時間にいるのは珍しいわ…普段は夜に活動する野獣のはず。もしかしたら…)
「ルル様、お兄様、窓を開けてもよろしいですか?」
「ああ、俺が開けようか。」
カイお兄様が窓を開けるとテニーは中に入ってきて、私の肩に止まった。
「こんにちはテニーさん。」
『先程振りね!スレイ。』
「え!?鮮明に言葉が聞こえる…!!」
『ああ、それは私の力をもう少しだけ多めに与えたからよ。ハッキリ聞き取れるでしょう?」
「やはりヴェティス様なのですね!?」
『そうよ!貴方が早速呼んでくれるなんて思わなかったわ!どうしたの?』
「スー。この魔獣…テニーはもしかして…」
カイお兄様は少し戸惑っている様子だった。
(そうか…この声は私にしか聞こえないのね。)
「テニーはヴェティス様の声を届けてくれているの。今挨拶をしてところよ。」
「本当か!!ヴェティス様と会話してるんだな!?俺らにその会話を聞く事は出来るのかい?」
身を乗り出すようにテニーに近づくカイお兄様。
そのお兄様を落ち着かせようと私は肩をポンと叩く。
『あらあら、私とお喋りしたい…というわけでもなさそうね。何か計画している事があるのかしら?私の目指すこの国のハッピーエンドの為なら…そうね、出来なくもないわ。』
「カイお兄様達は何かを計画してらっしゃるの?ヴェティス様はハッピーエンドの為、この国の為なら出来なくはないそうよ。」
私がヴェティス様の言葉を伝えるとカイお兄様とルル様は顔を合わせニヤッと笑う。
「ハッピーエンドの結末をヴェティス様には1番良い席で見てもらいたいんだ。この国を歪ませた人物に文句も言えるように。」
ルル様は楽しそうに笑みを浮かべる。
『なるほど…そういう事ね。ならスレイ、貴方の協力も必要よ?』
「え!?わ、私ですか!?ルル様、私の協力も必要になると言われましたが…。」
「ああ、スーにも協力して貰いたい。」
「ええぇ。私に出来るかしら…。」
「大丈夫。俺らがついてるから。」
(不安しかないわ…でもヴェティス様も望んでいる事だしやるしかないわね。)
不安ながらも私は頷いた。




