決断(2)
「最後に、貴方の決断はもう迷いはない?ここに来ることはもう無いからこれで私の姿を見るのも最後になるわ。」
「はい。迷いはありません!ヴェティス様に会えないのは少し寂しいですけど、またお話は出来ますものね!」
「ええ!いつでも呼んでくれたら話せるわ。」
「あ…ヴェティス様…1つだけ聞きたい事があるんですけど。私とシリウス様と過去に戻った事があるんです。それはヴェティス様の力ですか?」
「過去に戻る…。そう…私は愛される加護と、魔獣と話せる力しか与えていなかったけれど。それは時空の力は別の力だわ。」
「別の…?」
「ええ、貴方は神にも愛されているわね。」
「どういう事…?」
「それは私の知ってる仲間、つまり別の神様の力だわ。やたらと私に噛みついてくるから喧嘩ばかりしてしまうんだけど、その神様も貴方を気に入ったみたいね。私の世界を覗き見てたのは嫌だけど、感謝しなくちゃ。」
(神様でも喧嘩しあったりするのね…意外だわ。)
私はなんだか神様が遠い存在に思えていたけど親近感が湧いてしまって少し笑ってしまう。
「ふふっ。ヴェティス様、前世でも、今回も私を見つけてくれてありがとうございます。ヴェティス様大好きです。」
私はヴェティス様に抱きついた。
「あらあら、本当に可愛い子ね。さぁ、もう時間がないわ。スレイ帰るわよ。貴方のいるべき場所へ!」
「はい!!あの、時空の力を分けてくれた神様にお礼を伝えて頂けますか?」
「そうね。お礼はちゃんと言わなきゃよね。分かったわ!」
ヴェティス様に「目を瞑って」と言われ私は目を瞑る。ヴェティス様の手を握ると暖かい空気が体を包み込む。
ヴェティスが私の手を離しもう一度抱きしめられたのが分かった。
『スレイ、この世界を、王太子を愛してくれてありがとう。これからも貴方達が幸せでいられるようずっと見守っているわ。またお話しましょうね。』
ヴェティス様の声が頭の中で聞こえた。
抱きしめてくれえいるヴェティス様を私も抱きしめる。
次第にヴェティス様の体が消えていく。私も眠くなり、そのまま落ちるように体が沈み、記憶も途切れた。