意識の世界(3)
ニコッと笑う笑顔がなんだか優しくて不安な気持ちが和らいだ。
(良かったわ…私まだ死なずにすむのね。)
「あの、神様の名前って…」
「私の名前?私はヴェティスよ。」
「ヴェティス様…、あの、私の事探して見つけてくれてありがとうございます。もうヴェティス様が見つけてくれなかったらどうなってしまったか…。」
「そんな!お礼を言われる事は何もしてないわ!寧ろ私は異世界にいた貴方の魂をこの世界に連れてきて巻き込んでしまったの。少し罪悪感があったのよ。だから私こそ、こんな事になってしまうなんて本当にごめんなさいね。」
「いえ!私はこの世界に産まれて生きてきて周りの人も皆優しくて…。だから私はスレイ・ダンパーネとして生まれて良かったと思っています。」
「そう言ってもらえると嬉しいわ。…皆が優しくしてくれる世界、それはきっと私が与えた加護のお陰かもしれないわね。」
「それはどういう事ですか…?」
「貴方がこの国に転生をし、新たな人生をスタートさせる前に私は貴方に力と加護を授けたの。」
「ヴェティス様の力と加護…!?」
ヴェティス様は私に微笑みかけた。
「そうよ。人の心を視る力と魔獣と話せる力よ。」
「私の持ってるこの力はヴェティス様の力と加護だったんですか!?」
「そうよ。貴方は異世界からの転生者だから魔力を持たない。この世界を救って貰いたくて貴方に私の力を半分与えたわ。人の心が視える力と魔獣と会話が出来るのも私の能力よ。後は…貴方が皆に愛されるように加護を与えたわ。」
(だからこの力は周りの人も今まで聞いた事がない力だったのね。という事は…「神様の贈り物」って神様自身の力を分け与えた力って事だったのね。)
「王族の間では『神様の贈り物』とされる人物は何人かいたって書いてましたが…。」
「そうねぇ…過去に私の力を与えた人は居たわ。でもそれは王になる人への『愛の贈り物』だから、その女性と王が一緒になるように目印として力を少し与えただけなの。貴方の様に異世界から連れてきてバッドエンドを回避して欲しくて力を分けた子は初めてよ。」
「愛の贈り物…。王様の運命の人って事ですか?」
「そうね。より良い国にする為に運命のつがいになる相手は心が綺麗で王になる人の心を浄化できる人を選んできたわ。」
ヴェティス様は私に近づき微笑みながら頭を撫でてくれた。
「貴方はこの世界の結末を変える為に私が異世界から連れ出し転生した。結末がバッドエンドからハッピーエンドに変える事が出来て役目を終えた。役目を終えたから貴方は今ここにいる。」
(役目を終えたら私は亡くなる運命だったの…?ルル様の運命のつがいとしての『神様の贈り物』ではなかったということ…?)
私は落ち込み俯いた。
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