ルルドとの再会(2)
「スー…?怒ってる…?」
ルルドお兄様は相変わらず無表情だけど
しゅんとなった垂れた猫耳が錯覚で見える。
ちょっと可愛い。
「ルルドお兄様。ビックリしましたけど
もう大丈夫ですわ。それより…
もう普通に立てますので手を離して頂けますか…?
助けて下さってありがとうございます。」
そういって体勢を立て直そうとした瞬間
ルルドがスレイを抱き寄せた。
え!?!?何!?
一瞬何が起こってるのか分からなかった。
「スー…会えるのを心待ちにしてたよ。スーに会える事だけを楽しみに過ごしてきたんだ…。長かったよこの1年間。」
更にギュッと強く抱きしめる。
ルルドお兄様…感動の再会かもしれないけど…
力強くて
ちょっと苦しい…。
周りの生徒達がビックリして更に固まった。
あの王太子が異性に抱きついている。
人嫌いな王太子が…。
少しでも気に入らなければボコボコにする
あの王太子が…!!!
怖くて近寄れないのに…あの子普通に会話してる
あの子何者?!
そんな顔で皆が見ていた。
周りの皆さん…
心の声がダダ漏れで言わなくても分かるわ…
私もこの状況よく分からないしそもそもモブ中のモブで何者でもなかったはずなのよ。
そんなただのモブが周りに注目を浴びてて
いたたまれないから一刻も早く離して欲しい。
後…ちょっと苦しいしね…
私はぽんぽんとルルドお兄様の背中を優しく叩いた。
「ルルドお兄様。私も会えるのを
楽しみにしていましたわ。
これから学園での生活で未熟な所が沢山ありますので
色々教えて下さいね。
後…人目が気になりますのでそろそろ離して下さる?
それに…あのう…何やら後ろで怖いオーラを感じるので…」
とちょっと困った顔で話すとルルドお兄様は
ああ…そうか…こいつ居たんだな。と
チッと舌打ちをして嫌そうな目で私の後ろを見た。
私の後ろにはカイお兄様が立っていた。
それも物凄い形相で。
「ルル…俺の妹にベタベタ触らないでくれるかな?
スーが嫌がってるじゃないかこんな大勢の前で…」
口調は柔らかくても
カイお兄様めちゃくちゃ怒ってるじゃない…
「良いところだったのに邪魔された…ねぇスー
君の兄ちょっと眠ってもらっていい?」
いやダメでしょ。
めちゃくちゃ怖い顔してるし。本当にやりかねない。
「ルルドお兄様。カイお兄様とは仲良くしてくださ
い。叩いたりしたらだめです。私が怒ります。」
笑顔で返すと
「分かった。スーが言うならやらない。仲良くする。」
と直ぐに返事が返ってきた。
また誰も反論できない王太子が言うことを聞いてる。
と周りの心の声がダダ漏れしていた。