ホリデー後の学園(1)
ホリデーが終わり、私達はダンパーネ領を離れ王都にある学園へと戻った。
「はぁ…なんだか現実が戻ってきた感覚になるわね…。」
「そうだな。ホリデー終わった後の学園に来た瞬間が1番気持ちが萎えるよね。」
私とカイお兄様は学園を眺めながら深いため息をついた。
「おいおいそんなシケた面して!元気にやっていこうよダンパーネ兄妹!!」
バシン!と、カイお兄様は背中を思いっきり叩かれ悶絶する。
後ろを振り返るとアロイス様が満面な笑みを浮かべて立っていた。
「う…アロイス…力加減間違いすぎだろ…。」
カイお兄様は絞り出すような声を出している。
「え?あぁ、ごめんごめん!カイルの顔が見れてつい嬉しくて力加減間違えた。」
ワハハハと大きな声で元気よく笑うアロイス様の姿を見るとどうにも憎めないカイお兄様。
「はぁ。次からは気をつけてくれよ。」
「分かった分かった。スレイちゃんも久しぶりだな!」
「ええ、お久しぶりです。アロイス様」
「じゃあ、行こうかスー。」
「え?あ、はい。」
「おいおい、俺も一緒に行かせてくれよ〜!」
「アロイスは勝手について来い。」
「つ、冷たぁ〜。俺にだけ温度が氷点下並なんだけど…」
(カイお兄様…そうとう痛かったのか、物凄い根に持ってるわね…)
ハハハと空笑いをしながら私は歩いていた。
「スレイ様〜!」
前からサーシャの姿が見える。笑顔で走りながら此方に向かってくる姿はキラキラしていて可愛らしい。
流石はヒロインポジション。走ってくる姿も背景にお花が見える…。
「サーシャさん!!お元気でしたか?」
「はい!めちゃくちゃ元気でした!!スレイ様に会えなかったことが唯一の落ち込みポイントでした〜。早く会いたかったです!」
(グッ…可愛い…サーシャはこんなに可愛いのに何で周りの男性はサーシャに恋をしないのかしら…)
サーシャはギュッと私に抱きついた。
「サ、サーシャさん!?」
「やっぱりスレイ様は可愛くて暖かくて大好きです!」
あまりにも可愛くて私はサーシャの頭を撫でた。
サーシャが嬉しそうにニコニコしていて私もその笑顔につられて笑顔になる。
私とサーシャは肩をポンと叩かれた。2人で振り向くと
肩を叩いたのはルル様だった。