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王妃の嫉妬(2)

「陛下、失礼致します。」


シリウスは陛下のいる部屋へと入る。


「ああ、お前もサラに呼ばれたのか。久しぶりにサラが茶を入れてくれるそうだな。そこに座りなさい。」

「はい。」


シリウスは陛下の向かい側に座った。


「シリウス、『神様の贈り物』を持つ少女が見つかった事は知っているな。」

「はい。」

「心が視える力に加えて魔獣との意思疎通に過去へ遡る力。前例にない『神様の贈り物』を持つ少女をルルドの婚約者として迎え、その力を守って行くと言われ了承した。シリウスもその娘とは仲が良いのではないか?どういう子だ。」

「彼女は…」


シリウスは何かを思い出したようにフッと笑った。


「彼女はとても変わっている女性です。僕は彼女に嫌われるような事をしても彼女は嫌わず向き合ってくれました。この赤い目も綺麗だと言ったり…。どんな事をされても相手を受け入れる事ができる心が広くて穏やかな人です。兄さんが夢中になるのも分かるし僕も…。」


シリウスは喋りすぎてしまったと思いハッとして陛下の顔を見る。


陛下の顔は穏やかな笑顔を見せた。


「なるほど、興味深い娘だな。私の息子達がそこまで夢中になる娘…。」

「陛下…っ!今、息子()と…」


陛下はシリウスにフッと笑った。


「私はルルドが元王妃、ルナを死なせてしまった時から距離を置き冷遇していた。息子はシリウス1人だともずっと周囲にも言っていた。そうでないと心が安定しなかった。それ程私はルナを愛していたし、愛する者が亡くなる悲しみに耐えられなかった。今では…自分の未熟さを恥ずかしく思うよ。シリウスも王太子になるのだと周りからも言われていたが結局ルルドが王太子にした事でお前もルルドを恨んだだろう。」

「……。」


シリウスは何も答えられなかった。


「昔はお前達は仲が良かったがいつの間にか仲違いするようになったのは、私のせいだな。」

「そんな事は…!!」

「ルルドには王になる厳格さ、魔力に武力、才能が私以上にある。この国を統べる者として相応しい人材に育っていく姿を見て如何に私が幼稚だったのかを思い知らされたよ。…ところでシリウス、お前は最近ルルドと仲は悪くないと聞いている。」

「はい。きっと…スレイ嬢のおかげです。彼女がいなかったらこんな風に兄さんと話す事なんて出来なかったと思います。」

「そうか…彼女は力だけでなく存在自体が『神様の贈り物』なのかもしれないな。」


陛下はシリウスの顔を見てフッと笑った。


「彼女の存在が『神様の贈り物』…そうかもしれませんね。」


シリウスも陛下に笑い返した。


「陛下、息子の他愛ない話を聞いてくださいますか?」

「なんだ?」

「陛下と母上との馴れ初めを聞きたいのです。いつもお2人は仲が良くて憧れているので…。」


(この国は側室を持つ事は稀にあるくらいで殆どの国王は側室を持たなかった。元王妃が亡くなった時にあの陛下が耐えられない程に愛していた存在がいるのに何故母上を側室にしたのか…)



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