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王妃の嫉妬(1)

ーーーーー王宮ーーーーー



王妃の部屋ではガシャンガシャンと物が投げられ、割れる音が聞こえてきた。


部屋の中には王妃とシリウスがいる。


「何故…!?何故あの娘が手にはいらないの?あの娘の力があれば人の心を思いのままにできるのに…!神さえも私の味方になった筈なのに!」


王妃は自分の思い通りにならず苛立ちを物にぶつけていた。


「陛下も何故あの害虫の婚約を許可したのかしら…。気に入らないわ。あの子の力は私が手に入れる筈だったのに…。絶対に許さない…。シリウスも何をしているの。貴方が彼女と婚約すればまだ私のものになったのよ。」


「…申し訳ありません。兄さんに先を越されてしましいました。」

「兄さん…?シリウス、まだ兄さんと呼んでいるの?アレは家族でも何でもない…私たちの邪魔ばかりする害虫なのよ?」

「申し訳ありません…。」

「そもそも何が『神様の贈り物』よ。この私の容姿と魔力だって『神様の贈り物』のはずなのに、あの娘だけが守るべき存在だなんて納得いかないわ。」


王妃は部屋をウロウロしながら何かを考えていた。


「シリウスも陛下も……少し効果が消えてきたのかしら。このままじゃ私の言う通りにならないわ。」


王妃はボソボソと1人で呟いていた。


「そうだわ…!またアレを使えばいいんだわ…」


くるっとシリウスの方に向き直し、さっきまで機嫌の悪さが嘘のようにニコリと笑顔になる。


「ねぇ、あとで陛下にお茶を差し入れで持っていくからシリウスも一緒に如何かしら?私が大好きでおすすめのお茶を振る舞ってあげるわ。」

「お茶ですか?」

「そうよ、疲れも飛んじゃうくらい美味しいのよ。」

「…わかりました。」

「決まりね!じゃあ今から用意するからここで待っててくれる?」


王妃は楽しそうにしている。



「やっぱりな…。俺の思った通りだ。」


シリウスはボソッと呟いたが王妃には聞こえていなかった。


「母上、俺は陛下の所へ先に行って待っておきます。」

「そう?…分かったわ。じゃあ先に行って待っててちょうだい。」

「はい、失礼します。」


シリウスは王妃の部屋を出た後足早に陛下の所へと向かった。

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