王宮からの手紙(2)
このままだとルル様が来る前にこの手紙に返事をしないといけなくなる。勿論断る事は出来ない。
「どうしたら…」
私もお父様もどうすればいいのか考え込んでいた。
その時コンコンとノックの音が聞こえた。
「はい、どうぞ。」
「失礼します。旦那様、お嬢様、お客様がお見えになっています。」
「客…?」
「はい。ルルド王太子殿下でございます。」
「殿下がいらっしゃたのか!良かった…直ぐに向かうと伝えてくれ。」
お父様も緊張した顔から一安心した表情になった。
でも…もし陛下から婚約は受け入れられないと言われてしまったら…少し不安がよぎる。
私とお父様はルル様が待っている応接室に急いで向かった。
「ルル様、大変お待たせ致しました。スレイです。」
ノックをして声を掛けた後に私はドアを開けた。
ソファに座っていたルル様は私とお父様が部屋の中に入ると同時に席を立つ。
ルル様は綺麗な白い正装を身にまとっていた。今まで正装を来たルル様を見た事がない。いつもは制服かラフな格好が多かったからギャップを感じてドキッとしてしまう。
金色の髪に金色の目、白い正装…全てがキラキラしていて眩しすぎる…!!ルル様のオーラがキラキラしていて目がチカチカしそう。
本当に美形は何を着ても似合うけどこれはズルい。
「急いで来たのでまた驚かせてしまっただろうか。」
(あれ?お父様が返事をしない…)
隣にいるお父様を見ると、私以上にお父様がルル様の綺麗さに見惚れていた。
「あ、いや、今回は来てくれて本当に安心しました。王妃様からの手紙が届き考えあぐねいていたところです。いやぁ、それにしても…殿下のお姿が眩しすぎてビックリしました。正装がとてもお似合いですね。」
少し不機嫌そうな表情でお父様を見るルル様。
「俺は正装が嫌いなんだ。殆ど着た事がない。」
(正装姿のルル様は正直凄く好き…。もっと着てほしいくらいだわ。)
「ルル様は格好いいから何でも似合いますわね…」
ルル様は勢いよく私を見て、嬉しそうに目を輝かせている。
「え…!?私声に出してました…?」
あまりの恥ずかしさに赤面してしまう私。
「スー、俺の事格好いいと思っていてくれてたんだね。嬉しいよ…。」
いつものようにギュッと私を抱きしめるルル様。
(いや、お父様見てるからやめて欲しい…)
お父様もゴホンッと咳払いをして私達に離れるよう空気で訴える。
「殿下、本日お越しくださった件ですが…」
お父様の声にルル様は反応し、姿勢を整える。
「ダンパーネ領当主、サヴァル・ダンパーネ伯爵。貴方の娘、スレイ・ダンパーネ令嬢との婚約を陛下より許可が得られました事を伝えにきた。」
「陛下も許可して下さったんですね!それは良かった…。それでは、王妃様からの手紙はどうなるのでしょうか?」
「王妃からの手紙は白紙になる。安心していい。」
私とお父様はホッと一安心した。




