ヒロインを探せ!(2)
この出会いのシーンは王太子との大事な恋に落ちるシーン。
敢えて見守らなきゃ物語が狂ってしまう。
う〜んと声に出して悩んでいると
カイお兄様がまた1人の世界に入ってるの?
と困った顔で聞いてきた。
その言葉さえ殆ど耳に入らない程に悩んでいた。
やっぱり見過ごすことなんて出来ない!
王太子来るの遅すぎるわ!!
申し訳ないけど私が先にヒロイン助けに行かせてもらいます!
主人公だしまたどこかで2人が出会うシーンあるでしょう!
具合が悪そうな人を放っておけなくて痺れを切らした。
「カイお兄様…あちらにいる…」
私がカイお兄様に話しかけている途中で周りがまたざわざわし始めた。
今度は黄色い声というより少し恐怖がかったようなざわつき。
何となく周りが端へ端へと後退りしている様にもみえる。
そのせいか道が広くなった気が……。
え?何?何が起こったの?とキョロキョロしていると聞き覚えのある声がどこからか聞こえたような気がした。
少し後ろから綺麗な金色の髪に瞳も金色の男子生徒が歩いている。
広くなった道をまっすぐこちらに向かってくる男子生徒こそ王太子だった。
来たぁああ!!やっと来た…!!!
待ってた!!!
あの小説のワンシーンがついに実写で!!生で見れるのね!?!?
私も端に行こう!限りなく近い場所の端っこへ!!
さぁ思いっきり堪能させて貰うわよ〜!!
急いで端へと歩き始めると何故か王太子は私の前で止まった。
ん?邪魔だったかしら?と更に横に移動すると王太子も同じ様に横に移動する。
もう一歩横に移動する私。
同じく横に移動する王太子。
何度か同じことを繰り返す私達。
いや、何コレ…何の時間?
何で??!早く行きなよ!
ヒロインの元へ!!
なんで、私の前にいるの?!
邪魔者の私は端へ行ってるじゃない!なんで??
と顔を上げるとしっかりと王太子と目が合った。