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仮の婚約(3)

私もルル様の背中に手を回した。

ルル様はびっくりした表情をした後、穏やかで嬉しそうな笑顔を見せた。


「ルル様はとても温かい人ですね。」

「俺が…?」

「はい。とても心が温かい人です。」

「温かい人か…。初めて言われた。そんな事を言うのはスーだけだよ。」

「そうなんですか?」

「ああ。…ねぇ、スー?」

「はい、何でしょうか?」

「俺はスーが好きだ。」

「あ、ありがとうございます。」


改まって言われると少し恥ずかしくなる。


「いつだってスーのことばかり考える程に。スーの気持ちが向くまで何度だって俺の気持ちを伝えるつもりだ。だから…覚悟しておいて?」


いたずらに笑う顔がカッコよくてドキッとしてしまう。


「俺はこれから王城へ戻って陛下に話をつけに行く。了承を得られたら改めてスーに会いに来るから、それまで変な男に引っかからないように。スーは俺の婚約者だから。」

「仮の婚約者候補ですよ!」

「はははっ、分かってるよ。お利口に待っててね。」


ルル様は私の頭をポンポンと叩くと部屋から出ていってしまった。



(はぁ…仮とは言え、ルル様の婚約者になって…そして王妃様に目をつけららている現状。ただのモブだったはずなのに何でこんな事に…)


コンコンとドアのノックの音が聞こえた。


「はい。」


カチャっとドアが開くとそこにはカイお兄様がいた。


「ルルがさっき帰って行ったけど、話し合いは終わったのか?」

「はい。カイお兄様、私はルル様の婚約者候補になる事にしました。」


カイお兄様は固まってしまった…


「お、お兄様…大丈夫ですか?」

「嫌だ…スーが王太子妃になるなんて!!認めたくない…」

「えぇぇ…お兄様心配して下さるのはありがたいですけど、これは仮なんです。」

「仮…とはどう言うことだ?」


私はカイお兄様に王妃様に目をつけられている事、仮の婚約者候補になったのは王妃様から侍女としての王宮入りを断る目的だと言う事を話した。


「なるほど…そういう事だったのか。王妃様がスーを自分の物にしたいと言ってる事が本当なら婚約者という立場が1番断るのに都合が良い。それでルルはまた来るのか?」


「はい。陛下と話をしに行くと帰って行きましたが、またいらっしゃるようです。」

「分かった。またルルが来たら俺も一緒に話に入っていいかな?」

「勿論ですわ!」

「お父様とお母様にもお話ししないとですよね…?」

「そうだな。一緒に協力してもらうしかないな。」



私達は両親の元へ行き、事の経緯を話した。


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