急な来客(2)
「うーん。そうじゃなくて…」
シリウス様が私の方へ詰め寄る。
「スレイちゃんはどっちが好きなの?兄さん?それとも…俺?」
「す…好き…?」
「そう、母上の事抜きにして…俺はスレイちゃんの事が好きだ。もうこれ以上に好きって思える人が現れないんじゃないかと思う程に俺は君が好きなんだ。俺の気持ち…分かってくれた?」
「は、はい…。」
シリウス様は真剣な顔で伝えてくれている。
「俺も…。スー以外にはもう考えられないんだ。兄弟揃って同じ人を好きになるなんて思わなかったがな…。」
(2人の気持ちを改めて言葉にしてくれてる…ちゃんと向き合って返事しなきゃ。)
私は頭の中で言葉がまとまりきらない…けど…
「あの…ルル様もシリウス様もありがとうございます。こんな私を好きになってくれて…。でも私は人を好きになる気持ちがまだ分かりません。その…なので今ここでどっちが好きかなんて答えられないんです。こんなに向き合ってくれているのに…本当にごめんなさい。」
「それなら、これから俺の事を沢山知って貰いたいな…ねぇ、駄目かな…?」
シリウス様はニコッと笑って私に近づき、私の手にキスをした。
(うわ…ズルい…。そんな上目遣いで目をウルウルさせられたら駄目とは言えないじゃない!けど…前回の様な事もあったしシリウス様はまだ信用できないわ…)
ルル様がシリウス様の手を払いのけ、今度はルル様が私の手を握る。
「…スー。俺の事もちゃんと見て欲しい。…まぁ、もしそれで好きじゃないと言われても俺は諦めないけどね。」
ルル様はニヤッと笑いながら私の頰にキスをした。
「ちょ、兄さん!ずるい!」
「お前は何度もスーにはキスしてるんだろ?しかも無理やり口に。」
シリウス様は睨んでくるルル様に何も言えずに悔しそうな表情をしていた。
「スー、俺はスーがいいと言うまでは絶対に口にはしない。頰にしかしないから安心してくれ。」
いや…頰もしないで欲しい。
「お2人共の気持ちはとても嬉しいですし、私の気持ちを尊重して下さる所は本当に感謝しておりますわ。ですがキスは手まででお願いします。」
シリウス様もルル様も凄く嫌そうな顔をしている…。
だけど婚約者でもないのに頰になんて…そんな事が周りに知れ渡ったらとんでもない誤解を生んでしまうわ。
「考えておく…」
ルル様は凄く嫌そうに言葉を絞り出していた。
嫌そうな表情が少し可愛く見えて私はクスッと笑ってしまった。
「それよりも、母上の事で話があって…実はその事で今日ここまで急遽来たんだ。」
シリウス様は真剣な顔で私達に話し始めた。