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なろうラジオ大賞

お弁当屋探偵の事件帳〜この自白剤はおばあちゃんの愛〜

作者: 地野千塩

 私、日野丸典子は探偵よ。別にプロの探偵ではない。この小さな磯部町でお弁当屋を経営しているおばあちゃんだ。私はもう八十近いけど身体も心も超元気なんだから。


 そんな私だけど、昔からお客さんの困り事や悩み事を相談していくうちに盗難事件、誘拐事件、失踪事件などをバンバン解決してしまい、いつのまにか「お弁当屋探偵」なんて呼ばれちゃってるわけ。


 私の得意技は美味しいお弁当作りだね。店の看板商品を事件の容疑者達に配り歩くと、あら不思議。容疑者達はどんどん口が軽くなり、ペラペラと事件の詳細を語り出し、事件を解決できてるんだ。


 最近は事件がなく、娘や孫達と店を経営しながらのんびり暮らしてたけど、店に嫌がらせの手紙が入るようになったんだ。事件を解決して地域の新聞やテレビ出演して目立ってたからね。そのせいかもしれない。


 という事で私はまたおにぎり弁当を作り、近所で配り歩く事にした。今回は秋らしく炊き込みご飯のおにぎり。それに唐揚げ、卵焼き、しば漬け。なんとも鮮やかな弁当ね。家庭的なちょっと良い行楽弁当なイメージよ。


 何人か配り歩き、今回はあっさり犯人がわかったわ。ご近所に住む中学生の少年。空き地でぷらぷらしている所に声をかけ、弁当を食べさせたら、自白した。


「むしゃくしゃしてたんだよ。受験も部活も上手くいかなくて。なのにこんなBBAが探偵とかいって目立ちやがって」

「まあ、BBAですって!」


 そうは言っても怒る気にはなれないね。少年は泣きながらおにぎりを食べていたし、その気持ちはわかる。罰よりも愛を与えた方が少年にはいいね?


 少年にはしばらく店でお手伝いをやって貰う事にした。意外とよく手伝ってくれる。アルミカップに小松菜のおひたしを入れる細かい作業が得意なんだよ。


「もう嫌がらせはしない。ごめんなさい。ここは美味しい賄いくれるし、頑張ればちゃんと褒めてくれるし。これからも頑張る」


 そう自白するほどだ。やっぱり愛だね、愛。

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