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H高校  作者: ハミル
9/13

⑨ 色彩 黄色


東京から帰って来た

金が尽きたからだ

東京で得たモノは一つの命だった


東京へ出る時は、真っ新な表情と少しの微笑み混じり、東海道線の鈍行でその緩やかなレールを愉しんだ

その返りはとてもそんな穏やかは持合わせてなくて、東海道新幹線を利用した

東京の男が煩い事を振払うように差出した数十万ぽっちの金との別れだった


新幹線を降りたその足でシャヤの実家に向かう

そこに居た族柄父たる人物は烈火の如く怒り僕を殴った

娘の妊娠の事実は拳の引金となる十分な正当だった

12月上旬に判明した生命はおよそ100日が経過していて、膨らみは確定的な証拠として母を立証した

シャヤの腹の内にいる存在は、僕の子ということにした

実際は適当ではない

シャヤは真実を、生活費の果ての故と、話してもいいと言ったが、なんかあまりにも悲しくて、自分の存在が透明過ぎて、僕の子と言い切った

シャヤのお父さんは堕胎を薦めた


シャヤはそれでもいいと言った

僕は否定した

父親になることを決めたから、迷いながら


シャヤは始めから中絶を決意していた

僕がそれを止めた

シャヤは、寧ろ僕がそれを望むと思っていたから、不思議だと言った

なぜ自分の子ではない生命の削除を拒むのか

その意見はとても的確で理に適っていた

自分でも何故、己の血の通らない生命の抹殺を阻むのか分からなかった


父親は堕胎を勧めたが、強要という抵たりではなくて、迷いながらのセリフに聞こえた

若輩、僕にはその模糊がなんとなく理解った

生命絶への不甲斐ない感情だったり、

マゴに意気地のない勇気を断行できるのか


・・・・


此方に戻って視界に黄が滲む

色覚異常

医者は心因性の可能性を示唆した


思い当たる節は当然に多すぎて驚きは少なかったが、自分が、変な、病気に冒されたり。人の所為に、シャヤのセイにして、少しばかり和らぎを欲しがった


お前が悪いんだ

本当は僕だってまだ迷ってる

僕が決めれば、自暴自棄の彼女は応じるし、待っているかもしれない


この頃はシャヤに会うと彼女の首筋に黄色のラインが横切る


15週が経過して母体の負担を考えればもう手遅れかもしれない


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・・・・


クラスメイト

2-D

学級委員長のキャキャは

1/3の得票を獲得していた

来年の生徒会長の座を射止めた


H高校は3年間クラス替えがない

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・・・・


シャヤは数種類のアロマボトルを見つめていた

香りが好きだった

殺伐とした世の中への不満や鬱憤を和らげてくれるから、

サイプレス・イランイラン・シダーウッド・ゼラニウム・マンダリン・パルマローザ


医者から子宮収縮作用のある精油もあるから、使用は控えるように言われていた


ベルガモットのボトルの蓋を開けた閉じた


#HAMIRU

#リャリャ

#シャヤ

#キャキャ

#ミナア

#サユ

#H高校


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