11 命を愛すと言ったんだ
意外だった
クラスのみんなは、私を、
温かく迎え入れてくれた
カワキタが
うまく緩衝してくれたのだろうか
安心した
シャヤさん
お身体大丈夫ですか
ナァナァ
うん、ありがとう
シャヤ
お前馬花だろ
うん、
そうだね
ミュミュ
シャヤ
お腹少し出たんじゃない
食べすぎよ
フォフォ
何でも言ってください
シャヤさん
相変わらず優しいね
パュパュ
はあ
チョチョ
なんだかんだいって
ここが私にとって
有るべき場所なんだ
・・・・
シャヤ
ミミ
身体どう?
うん
大丈夫
私、3年の学級委員長に
なったから、よろしく
そうなんだ
どうしたの
ミミってそういうタイプだっけ
推薦狙いよ
受験なんて面倒でしょ
そういうこと・・
うん、
それから担任なんだけど、
うん
私たちは3年間クラス替えがないけど、
担任は絶対変わるでしょ
うん
カワキタ・
そう
例外的に
2年から引き続きカワキタが担任だからね
直訴したらしいよ
そう
私かな
それはそうでしょ
責任感じてるみたいだよ
カワキタ
うん
わかってる
・・・・
3月の初めだった
僕は一人で学校へと向かった
カワキタ、先生
「父親は僕です」
「何言ってるんだ、リャリャ」
「2人で話し合って出産を決めました」
「ちょっと待ってくれ、急すぎて。お前たちは付き合っていたんだな」
「はい。そうです」
「妊娠だと・・」
「はい」
「なんてこと、、2人でって親御さんはなんて言ってる」
「僕の母は賛成してくれています。シャヤの両親も承認してくださいました」
「本当なのか?シャヤの両親も?」
2月の終わりだった
二人は東京から帰ったその足で
シャヤの実家に向かった
「なんてことを!」
「すいません」
シャヤの父親は右の拳で僕を殴った
「堕ろしなさい」
「はい」
声がした方に視線を遣った
シャヤだった
「ちょっと待ってください!お願いします」
「何がお願いします!お前たち連絡も寄越さないで東京なんか行きやがって!その上、妊娠だと!舐めんな!」
「すいません。ですが、」
「なんだ!」
「僕が育てますから」
再び拳が振り上げられ、2発目を覚悟した
「お父さん!やめて」
声の主は母親だった
拳が止まり、ゆっくり胸のあたりまで下りた
微かに父親が安堵の表情を見せた
「お父さん。堕胎しろって言うの?」
「・・・・」
「シャヤとリャリャ君の子なんでしょう」
シャヤは答えないから、
僕は応じた
「そうです」
心臓が締め付けられる
「もう、仕方ないじゃない。起こっちゃったことは。あなた、自分の孫の命を奪うことができるの」
僕の母親もそうだった、
正念場の腹の括り方は女の方が男らしかった
何故か、降ろした拳が再び上昇し己の頬を平手打って父親は2階へと消えていった
「お母さん」
「私もおばあちゃんか」
母が娘に微笑を捧げて
「ありがとう」
「ありがとうございました」
一週間経って、
父親の前向を得たと、
シャヤから告げられた
「先生
やめてください」
すまない、すまない
と言って
カワキタは泣いていた
僕が悪いんです
・・
生徒会委員長
キャキャ
「3年生は全員欠席と。部活だから仕方ないか。てっ、なんで2年生もいないのよ!」
新年度初めての生徒会だった
3年生のミハルとチャメとオユウは、
それぞれ部活で欠席の連絡を受けていた
2先生①②
濡れてるよ
濡れていたいんだ
傘入る?
いや、いいんだ
生徒会は行かないの?
雨に打たれていたいんだ
意味わかんない
じゃあね
③
アーチェリーの方が大事だし
④
せいざ部の創設をお願いします!
先生方!
第1回生徒会 卯月
誰も来なかった
・・・・
嘘ついてる
リャリャの子じゃない
彼女は
命を愛すと言ったんだ
誰の子
乳香を焚いた母さん
僕の子じゃないんだよ
問いはそこじゃない
ロザーナは
命を愛すと言ったんだ
カワキタ
はい
退学させろ
二人
シェリーキョウトウ
命を愛すと言ったんだ
ロザーナ母さんは
#HAMIRU
#H高校
#20250428