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Destiny Disaster   作者: いのせんと
2/10

希望の活路





???(バゴオオォォォンッ!!)


ーー静寂な森に突如轟く咆哮に対し、3人の頬に静かに汗が伝う。



メアリー「あれって‥」


グラン「あぁ‥おそらく博士の言っていた。精霊だ。」



           =3日前=


ビックリ博士「緑地には4体の精霊がいるのじゃが

基本的には人前に姿を現さない。自然を脅かす存在を感知した時、その対象を消す為に姿を現すのじゃ。まぁワシは見たことないけど」


グラン•メアリー「ないんかいっ!」


メアリー「んで何でその精霊の話を私たちにしたわけ?」


ビックリ博士「そこでワシからのお願いなんじゃが。」


ーー3人は不安そうに首を傾げる。


ビックリ博士「精霊の涙を取ってきて欲しいんじゃ!」


フウ「わかったよ!博士!」


グラン•メアリー「二つ返事やめぃっ!!」


グラン「だいたい何でその涙が必要なんだよ。」


ビックリ博士「なぜか?それはその涙はどんな素材も結合•分解できる成分が含まれているとワシのお爺さんが言ってたんじゃ。」


メアリー「そのおじいちゃん本当に大丈夫なの?‥」


ビックリ博士「もちろんタダでとは言わん!取ってきた暁には

ソルトタウンでお前らの好きな物を買ってやるぞ!」


グラン「博士そんなんで俺らが動くと思うわけ‥」


メアリー「私パンケーキ一年分!!」


フウ「僕、望遠鏡がいい!」


グラン「ちょっ2人とも!‥‥もうっ、わかったよ!俺もいくよ‥」


ビックリ博士「よし!よろしく頼むぞ! パンケーキ一年分‥‥」


          =時は戻り=


ーー立ち尽くす3人に対しその緑の巨体は背中から何かを噴射する。


フウ「っ!!‥」


ーーフウの頬を何かがかすめた。


グラン「フウ!大丈夫か!」


フウ「う、うん‥なんとか‥」


ーーフウの頬に血が滲む。


メアリー「フウどうしたのっ!!」


フウ「かまいたちだよ‥それもあんなに早く‥‥」


ーー息を呑む一同。


フウ「もしかしてこの精霊、エレメントを‥」


グラン「あぁ‥‥間違いなさそうだな‥」


メアリー「どうするのよ‥‥これじゃ精霊の涙どころじゃないじゃん」


フウ「とにかく逃げよう!」


ーー3人が精霊に背を向けた瞬間。


???「ドゴオォォンッ!」


ーー精霊の咆哮と共に3人と精霊を囲むように6メートルはあろう風の壁が突如、現れる。


グラン「これじゃ、逃げれない‥」


メアリー「こんなことになるんだったら着いてきてないよ‥」


フウ「僕が精霊を引きつけるから、グランたちはあそこから壁の外に出て!」


ーーフウが指差す先には8メートル程の木が聳え立っていた。


メアリー「それじゃあ、フウが‥」


フウ「大丈夫!僕、木登り得意だから!」


メアリー「でも!‥」


フウ「それに見たところ、精霊は動きが遅いから僕が壁の端まで誘い込めば登るだけの時間は全然稼げるさ!」


グラン「2人いればもっと時間稼げるだろ?俺も残る‥」


フウ「ダメだグラン‥もし僕らがこの壁の中で意味もなく時間稼ぎをしたって現状は変わらない。」


グラン「‥‥」


ーーグランは顔を曇らせる。


フウ「メアリー1人にするのも危険だからグランお願いね!」


グラン「‥‥」


ーーフウの問いかけにグランは小さく頷く。


フウ「じゃあ!行くよ!」


ーーフウの掛け声でメアリーとグランは木の方に走り出す。


メアリー「本当にフウは大丈夫なの?」


グラン「どのみち誰かがやらないといけないし、それにこの中だと1番運動能力が高いフウだから出来ることだよ。」


メアリー「そうだけど‥」


グラン「まず、俺らが外に出てフウを支援しよう。話はそれからだ。」


メアリー「そうだね。」


ーーメアリーは少し不安そうな目をしたまま、走り続けた。


フウ「おーーい!精霊さーーん!こっちだよ!」


ーーフウは精霊に対し、無謀とも言える煽りを入れた。

 

???「ゴオオォォォン!!」


ーー精霊はフウの方に一直線に向かってく。


ーーヒュンっ!という音と共にかまいたちがフウを襲う。


フウ「うわっ!あぶなっ!」


???「ゴオオォォォンッ!!」


フウ「やっぱ足はそんなに早くは無いけど、かまいたちがものすごく早いな‥」


ーーフウは巧みな身のこなしで精霊の攻撃を避けていく。


フウ「メアリー、グラン‥なるべく早くね‥」



   =その頃、メアリーとグランは木の根元に着いていた=



グラン「メアリー、木を登る時は腕と足の4点の内3点を安定させてれば落ちることないからね。」


メアリー「うん‥」


ーーメアリーは顔を赤くして俯く。


グラン「ん?どうしたの?」


ーーグランは当然の疑問をぶつける。


メアリー「‥‥ツみえ ‥ら‥ 先いって‥」


グラン「ツララ食いてぇ?」


メアリー「パンツ見えるから先に行って!!」


グラン「あっ‥」


ーーグランも感染したかのような赤面を披露するのであった。


グラン「わ、わかった。先に登るから着いてきてね。」


メアリー「うん‥」


ーー動揺する2人だったが一歩一歩着実に登り始めていく。




    =その頃、精霊を引きつけているフウは=




フウ「よく見たら甲羅になんか書いてる‥」


ーーフウは精霊の甲羅に書いてある文字に興味を示す。


フウ「玄‥‥もしかして‥」


ーー緑地の風がフウの髪を必要以上に靡かせる。


フウ「玄武ってことだよね。多分‥‥これはとても大きな発見かも‥。

なら他にも青龍、白虎、朱雀がいるのか?‥」


ーー様々な想像がフウの好奇心を擽ぐる。


玄武「ゴオオン!ゴオオォォォンッ!」


フウ「な、なんだ!」


ーー玄武は悍ましい咆哮と同時に風の衝撃波を放った。


フウ「ぐぁぁ‥!!」


ーーフウの悲痛の叫びとそこには抉り取られる地面があった。


フウ「あぁぁっ!!クソっ‥腕が折れた‥くっ‥」


ーー折れた腕と精霊の強さに先程までの好奇心など等に恐怖心に変わっていた。


フウ「これはさすがにやばいかも‥」




      =その頃メアリー、グランたちは=




グラン「よしっ!これで越えれる高さだよ。はい。」


ーーメアリーに手を差し伸べるグラン。


メアリー「ありがと‥」


グラン「てかさっきの物凄い音はなんだろう。」


メアリー「確かに凄かった。フウが心配だよ。」


グラン「フウはいつもピンチになると頭が冴えるから心配いらないよ。俺はフウのそういうところも信頼してるから。とりあえず俺らは壁の外に出よう。あとはあっちの木に向かって飛ぶだけだよ。」


ーーそう言うとグランは風の壁の外に飛んだ。


グラン「よいしょっと。メアリーもさぁ飛んで!!」


メアリー「う、うん‥」


グラン「俺がいるから大丈夫。さぁ!」


ーーメアリーはグランに向かってまっすぐに飛んだ。


メアリー「きゃぁっ」


グラン「大丈夫だよ。よし下に降りよう。」


メアリー「その前にフウに合図するね!」


ーーメアリーは持っていたパンケーキをフウの方に向かって投げた。




 

 =風の音がひしめき合う中フウの目の前にパンケーキが落ちた=




フウ「やった‥2人は逃げれた‥あとは折れた腕以外で登るしかない‥

充分端まで引きつけた。あとは‥」


ーーそういうとフウは風のようなスピードで木まで一直線に走る。


フウ「よしっ!反応が遅い!」


ーーあと15メートル

ーーあと10メートル


フウ「あと5メートル!」


ーー希望が見えた。その時目の横を透明な何かが通りすぎていくのが見えた。


ーーヒュンッ!!バキッ‥!‥

ーー絶望の音共に唯一の希望が崩れていく。





説明


玄武 : 緑地を守る風のエレメントを扱う巨大な亀。フウが宝玉を盗んだことによりその姿を現した。非常に硬いその甲羅はどんな物理攻撃にも耐えると言われている。


    

ビックリ博士:男 67才 血液型O型 人間族 10月18日生まれ

趣味 研究

好きなもの 部品組み立て


日々、様々な発明をしている胡散臭い博衣を纏ったおじいさん。フウたちに精霊の涙を取ってくるように指示している。発明品はフウたちも愛用しているがどれも何かが足りないものばかり‥

  

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