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ファイルNo.1 soushitsu

 チート属性と平等をテーマに書いていきとうございます。応援よろしくお願いしまする。

追記ッ!)2万字なんて読みづらいっすよね!そうっすよね!!次の回から読みやすい文字数になってるんでこれは飛ばして読んでくださいおにゃしゃーす

 頭が痛い。寝起きの悪さはいつもと変わらないが、ひとつ違うのは目が覚めた場所だ。俺がいつもいた部屋とも場所とも違う張り詰めた空気、そしてどこまでも真っ白な空間が今までとは異なる世界にいることを感じさせた。


「おーい誰かいないのか!?おぉ…?」


 俺の声を発したのと同時に一面白い壁だった空間から白は黒と変わり黒は俺を囲むように上下左右が霜降ブランドのモニターへと変わった。


「この番組はshimohuriとご覧のスポンサーの提供でお送り致します。イタシマアアアアス!」


 モニターから番組の最初に流れるような提供のフレーズが聞こえた。モニター画面では『提供 shimohuri aida製薬 kattudo食品』とどれも家電事業、医療、食品事業でナンバーワンのシェアを有している企業が画面に表示されている。その提供の文字の後ろに映る背景には何故か俺と幼なじみの阿久蘭楓が映っている。


 提供の文字が数秒で消えると俺と楓が話している声が流れ始めた。

「楓、お前はやっぱり帝大に行くべきだって。俺とは違ってお前は才能も根性もあるんだからさ。」

「いや、巧真くんが行かないなら私も行かないよ。2人でいなきゃ楽しくないでしょ?」


 ったく。こいつはいつもマイペースな奴だったな。一生を決める進路選択だってのに、俺みたいな出来損ないに合わせやがって。でもそんなところが好きだったんだよな。そういえばこの後…


「もう見せないでくれっ!誰かモニターを消せ!」

 この後に何が起こるか思い出してしまった。楓と話している映像のあとほんの数分で俺は死ぬ。殺されたんだ。


「本当に消していいのかい?」

頭の中から知らない中性的な声がした。

「誰だか知らないが早く消してくれっ!」


「相当トラウマとして刻まれてしまったようだね。まっあーんな惨たらしい殺され方をしたならそれもしょうがないか。お望み通り消してあげるよ。こんなもの地上波じゃ放送もできないしね。」


「はぁ…地上波だと…?」

「君の今の姿は異世界TVで放送されてるんだよ。ああきちんと顔にはザイモク入れとくから。」


 それを言うならモザイクだろつっこむべきだったのかもしれないがそんな気力はなかった。


「…これから俺はどうなる?ずっとここにいろなんてことはねえだろ。」


「そうだね。後ろに人もつっかえてるし移動してくれ。あとはアンナちゃんが何とかしてくれると思うからあでゅー」


 モニターから小さな黒い円が映し出されその円から灰色の筒がにょきにょきと伸び、そこから煙が出てくる。そしてあっという間に視界が全て黒く染まり意識が遠のいた。

           ※

「…きてくださいっ!起きてくださいってば!」

「んあー眠い…揺らさないでー…」

 身体を揺らしてくる存在を鬱陶しく思いながら目を開けるとブラウンの髪と目をした20代前後の女性が俺の前にいた。


「お前だれ?」

「お初にお目にかかります。私はアンナと申しますっ!」

「ごめん。全く記憶にない。ってか俺も誰だ。」

「生前の記憶…ないんですか?」

「ない」

 俺の返答を聞くとさっきまでの無理にあげていたようなテンションとは一変して彼女はポロポロと涙を流し始めた。


「な、泣いてしまってごめんなさい…記憶がないのはお辛いでしょうが、せめてこれからは楽しく生きられるように私が頑張りますから…!」


 そんな面みせられて楽しくなれるわけないだろ。どんなサディストだと思われてんだ。


「何だかわからんが俺の記憶がないのはお前のせいじゃないだろ。謝らないでくれ。楽しく…だろ?」

「…そうですね。私についてきてください。ギルドに案内します!」


 『ギルド』確か日本語で協会とか組合って意味だったか。RPGのイメージだとモンスターや悪人を討伐する感じを思い浮かべるがどんな所に連れてかれるんだ。何か怖いんだけど。


「それじゃあ私は外に出る準備をするので巧真さんも服を着替えてください。あっテーブルの紙袋に着替え一式入っているので!」


 しれっと名前を呼んだな。この子は俺の名前を知っている。ただ記憶を失う原因や理由に関しては詳しくは知らないって所か。わからないことだらけだがとりあえず今はこの子についていくほか無い。

 袋の中を見てみると確かに下着や服、ズボンが入ってたが素材が俺の知らないものだ。ゴムに近い触り心地で着てみると肌にフィットするようだがひとつ困ったことがでてきた。ボタンやチャックが見当たらず胸や股間が開けっぴろげになってしまっている。


「ふぅ、私は準備完了ですっ巧真さんは服のサイズは合ってまし…きゃあ!」


 俺の産まれたばかりの姿を見て一瞬フリーズした後、悲鳴をあげる彼女。ただ仕方ないでは無いか。この服やズボンは着るために必要なものが欠けてしまっているのだから。


「…ああ、魔法エネルギーに関してまだ知らないのでしたね。えーっとじゃあ私の手を握ってください。エネルギーを少し分け与えます。」

 

 彼女は手を差し出し、俺はそれを握ると開けていた服やズボンの中心部に柔らかな力が身体につたわり糸や針を使うことなく閉じていった。

「うわっ便利だな。」

「はいっこれで大丈夫ですよ。この服は必ず魔法エネルギーを必要とするのでいずれ身につけられるようになってください。じゃないと公然わいせつになっちゃいますよっ。」


 公然わいせつ罪ってのはこの魔法エネルギーとやらがある夢みたいな世界にもきちんと存在しているのね…まあ国を作る上で法律は切っては切れないものだからそれもそうか。ん?彼女の言うこの世界ってのはどういうものだ。俺は元々ここの住人じゃないのは何となくわかるが…

 唐突に頭をハンマーで殴られたような痛みを感じるとともに頭の中から声が聞こえてきた。


『2人で…きゃ楽し…しょ』


 断片的な記憶の欠片から黒髪で制服を着た女の子の姿が一瞬見えた。

「今の女の子…知ってる…ただっ…思い出せない。はぁ…はぁ…楽し、しょってなんなんだ…頭が痛い。」

「まだカミの転生魔法で身体が疲れているのかも知れないですね。もし無理なようでしたらギルドに行くのはまた明日に…」


 傍から見れば俺のいま言ったことや行動は怪しさ満載の奇行だったろう。ただアンナは心配そうに俺を見てそばに近寄ってまた手を握ってくれた。

「い、いや大…丈夫だ。この世界のこと、そして俺の事を今すぐにでも知りたいんだ。休んでいる暇は無い。」


 彼女は記憶のない俺の身を案じてくれているし、今後のことを考えてくれているのはわかる。ただ俺は元の世界に戻りたい。ほんの一瞬見えた名も覚えていない黒髪の少女が待ってくれているとなんの根拠もないがそう感じてしまったのだ。


「分かりました。ただ無理はしないでくださいね。あなたのことは私が管理しますからっ!」

そう言って彼女は左手を握り右手の人差し指を立てながらウインクをした。

 

「あぁ頼んだよ。迷惑をかける。アンナ」

「いえ!迷惑だなんて私は今回の転生者を案内するお仕事を楽しみに待っていたんですよ。張り切りまくりです!って話が長くなりすぎましたね。ギルドに向かいましょう!」


 アンナの事もカミ様とやらのことも俺の記憶の事もわからないことだらけだが、今は踏ん張って足を前に進ませるしか無さそうだ。がんばろ



 俺とアンナはドアを開け外に出る。足を一歩踏み出すと石製のパネルが床には敷き詰められており、家の前にはそこそこ大きな公園が広がっていた。


「わりと良い立地に暮らしてるんだなお前は。」

「自然がいっぱい広がってて私この街が大好きなんです。ここに暮らすために私猛勉強したんですから。」


 頭のいい奴はやっぱり良いところに住めるのか。アンナの家にあった鏡をちょっと覗かせてもらったが俺の顔や体つきは高校生か大学生くらいに見えた。転生する前と同じ身体ならまだ俺は親の家で暮らしていたのかと考える。両親にももう一度会えるなら会いたいな。


 ただアンナの転生って言葉から察すると俺はもう死んでいるのか。ここが天国だとしたらギルドがあって働かなければならないのは何とも世知辛い話だ。


「そうだ!どうせなら公園でカプナルトラの木の実を採ってから行きましょう。」

 カプナルトラ…聞いた事のない木だ。まあ植物の知識は梨や柿、葡萄とかしか俺は知らないがどんな木の実なんだろうか。

「ほらっあそこの木です。あの実はとっても美味しいんですよっ!」


 しばらく歩き、彼女が指差す方向に視線を向けると一本だけやけに背の高い広葉樹があった。葉は緑色で幹も太く葉の間からは黄緑色の実が見え隠れしている。

「あれがそうなのか。まあまあ高いけど登って採ってこようか?」

「舐めないでください!私も一端の魔法使いなんです。見ててくださいよぉ!出てきてスーパーハンド!」


 アンナは手からマジックのようにどこからともなく本を出した。

「おお、すげえ!急に本が出てきた!」

「私は転生者のお世話をあまりしてこなかったからその反応すごい新鮮です。スーパーハンド、お願いあそこの木の実を2個採ってきて」


 本の1ページからぴょんと何かが飛び出す。それは人間の手の形をした白色の生き物だ。白い手のスーパーハンドとやらは木に向かって飛んでいき2個の木の実を見事アンナの元に持ってきた。


「随分と利口な生き物だな。その本の中にはまだこういう生き物が住んでるのか?」

「はい、主に災害の時や人じゃどうしようもない時にこの子達は使うことになるんですけどこのコトブックを持つのにも色々資格が必要で大変なんですよ〜」


 本をどこからともなく出す技術もあの手の生き物も人知をはるかに超える代物だ。この世界もこの子もすげえ興味深い。あんな芸当を可能にするのが俺が今身につけている服を着るのにも必要な魔法エネルギーというものなのか。元の記憶と世界に戻るまでのちょっとした知識探究心だがギルドに行くのも楽しみに思えてきたぞ。


「ナイフとスプーンはどこだったっけなあ」

 ページをパラパラと捲るアンナ。後ろからこっそりそのコトブックと呼ばれるものの中身を覗く。


「ありました!スプーンとナイフです。」

 アンナが開いたページの左上部にはスプーンのイラストが描かれていた。次のページをナイフが同じように記載されていたが言語はいわゆる象形文字のようなもので俺には意味がわからない。

「魔法って便利だな。俺も使えるようになれるのかな。」

「はい、個人の素質にも寄りますが若くにして亡くなり転生することになった少年、少女は一般教養と並行して魔法の知識を身につけることになります。学校を卒業する頃には皆覚えられるものなので魔法を覚えるのは大変かと聞かれれば大変ですが無理なんてことは有り得ません。巧真さんも気長に練習していきましょう!」


 魔法に関しての俺の不安を和らげるように話をしながらアンナはカプナルトラの身をナイフで半分に切る。中から見えた果肉は白色だが半分にしてスプーンで食べるというのはキウイフルーツやアボカドを連想させる。

「さあさあ一口食べてみてくださいっ」

 木製のスプーンで掬った果肉を口に運ぶ。噛むと果汁が溢れ出し、それは甘さと酸味が程よく調和した柑橘系のフルーツの味だった。


「うま…こんな果物初めて食べたよ。甘酸っぱくてすげえ美味しい。」

「よかった〜そうだ!ギルドの方にも何個か持っていった方が印象が良いですよ。もう少し採っていきましょう!」

「ああ、そうするか」


 1度本に戻したスーパーハンドをもう一度出すにはインターバルが必要らしく自分で木に登り、カゴに採れるだけ実を入れることになった。アンナは木登りが苦手らしいので地上からの応援をしてくれるそうだ。


「ふぅ……なんとか着いた。この木はそんなに大きくはないけど登るのが久しぶりだったからか時間が結構かかったな」

「大丈夫ですかー!」

「ああ、平気平気!」


 木登り、多分久しぶりだったんだよな。記憶喪失はおおよそ2種類の事象に分けられる。

 1週間ほどの記憶が抜け落ちるパターンと一般知識や自分の名も無くしてしまうようなパターンだ。

 俺の現状はどちらでもない。何というか個別に俺が保存していた記憶のフォルダを鍵を掛けられ大部分が確認できなくなっているような…どうでもいい知識や木登りのことは覚えてるのはどういう訳なんだか。

 ただ誰にそれを教えてもらったかとかそういう記憶がごっそり抜け落ちてる。誰の顔も思い出せない気持ち悪さを和らげてくれるのは…

 チラッとアンナのいる下を見る。お、元気に応援してくれてる。思わず顔が赤くなってしまうのが自分でわかった。

ダメだダメだダメだ!あまりにも惚れっぽすぎるだろ。会って数時間も経ってないような女性なのにちょっと優しくされたら靡くなんてのは最低だ。


 しょうもない記憶データ集からでも何となく思い出して汲み取れるものはあるんだ。顔は思い出せないが『楽し…しょ』と記憶の狭間で聞こえた人間が多分俺は好きだった。

 記憶の大部分を失っても捨ててはいけないものがある。おそらくこの黒髪の少女との僅かな記憶と感情はその捨てちゃダメなものだ。


 そう、アンナのことを今ちょっと好きかもと思ってしまっているのは木の高さからくるちょっとした恐怖による吊り橋効果と記憶を失った不安から来るまやかしに過ぎないはず。

だから、その、なんだ。とりあえず今は…

「木の実を採るんだーーー!!!!」


 大きな籠がパンパンになるほどカプナルトラの実を入れまくった。



「いっぱい取れましたね〜巧真さん凄いですっ」

「アンナもコトブックで俺がケガしないように色々やってくれてたろ。お疲れ様。」

「えへへ、気がついてたんですか。」

「まあな。」

 実際あの時は木から降りる際に何度か足を滑らせそうになったりしたが、その度にコトブックを出しては心配してくれていた。


「よし、カプナルトラの実も採ったしあとギルドの皆さんに気に入られるためにやっといた方がいいことはあるか?」

「そうだなーカルーニャちゃんのために『アレ』も取っていきましょう!」

「カルーニャちゃん…?」

「あ、すいませんっ!えっとですね、ギルドメンバーの一人ですっとっても可愛いんですよ!」

「へえ。そいつの好きな『アレ』って?」

「それはですね…」

           ※にゃー

「ここ『くらにゃーす本舗』の高級またたびです!」

「高級またたびってお前…俺はここに来たばっかで金とか持ってねえぞ」

 公園からさらに寄り道を重ね、くらにゃーす本舗というらしい雑貨屋?のような場所に来た。

 木構造の建物で中々の年季を感じる店構えになっている。


「にゃお爺こーんにちはー!」

「ああ、アンナちゃんいらっしゃい」

 奥から出てきたのは小太りで白髪で白い髭を蓄え白猫耳を生やした中年男性だった。

「今日はどうしたんニャ、アンナちゃん。彼氏連れかい。」

「ち、違いますよ〜新しい転生者でギルドまで案内してる巧真さんです」

「ほほう、新入りの転生者か。そいつぁ期待出来そ…」

「そんなことよりおっさん…!ちょーっと聞きたいことがあんだが…」

「にゃ、んじゃ。圧が凄いのぅ。」


 俺が今一番切望してるもの。木登りをして汗をかいてお腹も冷えて前からも後ろからも噴き出しそうになってるものがあった。


 めちゃくちゃトイレをしたい。ただこの特殊な服は魔法エネルギーで着ることが出来たが脱ぐ時も何らかの手順をふむ必要があるらしく、多少引っ張っても肌にくっ付いて脱げる気がしない。


「そんにゃことかいにゃ。それならアンナに介抱してもらいにゃ…」

「出来るわけねえだろ!あれほど可愛い純新無垢な女の子に2度もパンツを見せられるか!?」

「ったく最近の転生者の男はわからんにゃ。魔法エネルギーも扱えずあまつさえパンツを見られて恥ずかしいにゃどと。」

「い・い・か・ら・は・や・く・し・ろ・よおっさん!」


 限界をとうに超えていたが最後の一線は超えないよう何とか耐えていたのは人前で漏らしたくないことからくるヤケクソに近い気力とアンナとの初対面で見せてはいけないものを見せてしまったことの負い目からだった。その反動でおっさんへの言葉はキツくなるのはもう仕方ない。うん、仕方ないんだ。


「おみゃーのアンナへの思いも羞恥心もわかった。ただわしは猫族ゆえ爪がにゃがいからにゃ。覚悟決めえよっ!!」

「なっなにを…!ぎゃあああああっ!!」

 下半身へ何の躊躇もなくまるで真剣の斬撃のような攻撃をする猫のおっさん。


「感染症ォ…未知の病原菌が俺のち〇こと尻を焼き焦がすゥ…と思ったらあれ?」

「全く失礼なガキだ。わしにその装備を見せた時点でおみゃーがこうにゃることは決まっとった。トイレはあっちじゃ。」

「怪我はしてないけど服とズボン破れちまってるじゃねえか!あっやべ漏れるー!」

 せっかく用意してくれていた服を破ってしまったことに申し訳なさを感じながらトイレの中に駆け込んだ。

「絶対にちょん切られたと思ったがあのじいさん凄い使い手だな。ふぅ…」

          ※にゃお

 トイレにいる巧真に聞こえないよう声を落としてアンナとにゃお爺が話をしている。

「ったく。どういうことだいアンナちゃん。あんにゃ呪装備を見逃すようなお前じゃにゃーだろ。」

「買いかぶりすぎですよー私なんて…って誤魔化せそうにないですね。そうだなー感じたことの無い愛情を彼から感じたから私のモノにしたいの。」

「ふん、わしの目も鈍っちまったな。悪党を見抜けないほど耄碌しちまったか。ただこんな死にかけのジジイでもお前は止めなくちゃな。だってよ転生者は自由なもんだろ。」

「うるさい。もうにゃお爺は必要ない…さよなら」


 コトブックから取り出したぬらぬらと光る長剣を構えアンナはにゃお爺と対峙する。

「後悔すんにゃよ!おみゃーとはこれまでじゃ!」

 鋭い爪を出し突進してくるにゃお爺に対し、剣を構え動く気配のないアンナ。ただそんな緊迫した戦いは一瞬にして決着がついた。


 大きく膨らんだにゃお爺の腹から大量の血が吹き出し倒れる。

「英傑と呼ばれたあなたも戦場から離れ腐ってしまったのは残念に思います。これからは私のコトブックの中で安らかにお眠り下さい。」

「ま、待てアンナ…」

「何、命乞い?」

「はっそんにゃんじゃにゃいさ、わしら猫族の生命は古くから他のもんよりぞんざいに扱われ続けた…国に呪いをばらまいたクジョウってやつの印象が悪すぎたんだな。」

「そんなの知らないよ。魂泥棒くん出てきて。にゃお爺の魂を抜いてちょうだい。」

「俺はここで死ぬかもしれにゃいが、俺は…俺たちは負けねえよ。お前にはいずれ罰が下る。」

 コトブックから小さな生き物が出てくる。頭にほっかむりを被り背中には風呂敷を背負っている目のない小人の魂泥棒くんが風呂敷を広げるとにゃお爺の口や鼻や目や耳。ついには全身の毛穴からキラキラとした何かが抜け出ていく。


「生命でつくる花火って感じで綺麗だねにゃお爺。今まで長い間ありがとう。」

 

「う…が…おっ、しょに…」

 

 最後ににゃお爺が何と言おうとしたのかは誰にもわからない。ただ今床に朽ち果てているのは死体ですらなくなったただの抜け殻だ。

「にゃお爺の身体はバイヤーに売れば高値が付くだろうし何より巧真にこの状況を見られたら言い訳が思いつかないな〜コトブックこの皮を空きの175ページに入れて。」

コトブックがにゃお爺の抜け殻を175ページと176ページの間に挟むように回収すると、さっきまでそこにあったはずの抜け殻は消えていた。


「抜け殻や魂は消せても血の臭いは消すのには時間が掛かるのほんといや。にゃお爺ここの香水ひとつ貰うね。あと巧真がカルーニャちゃんに気に入られるようにマタタビも」

 水の流れる音の後、ミシッと木の床が軋む音を鳴らしながら転生者の男は何も知らぬまま彼女の元へもどっていくのだった。

         ※

「あれ巧真さん私があげた服はどうしたんですか?」

 絶対聞いてくると思った。申し訳ない。

「あ、そのな。さっきこの店のじいさんに俺が魔法エネルギーを使いこなせるまでこのスウェットと交換してもらうことになったんだよ。いやお前も毎回俺が魔法エネルギーを使えるようになるまで服の着脱をやってもらうのは気が引けるしさ!」

 トイレのドアの前にスウェットの上下が置いてあった。おそらくあのじいさんが気を使って破れた服とズボンの変わりを用意してくれていたのだろう。トイレも貸してくれたしお礼をちゃんと言わないとな。


「そうでしたか。確かにいまの巧真さんには厳しい代物だというのはわかっていました。無理をさせてごめんなさい。服のことなら全然大丈夫です。」

「そ、そうか?ならまあこっちも良かったよ。悪かったなあはは…」

「もう夕方になってますし、にゃお爺は急用が出来たとかで店を空けるそうです。私たちはギルドに向かいましょう。」

「え?誰か留守番をしてなくていいのか。」

「大丈夫ですって。仮にもにゃお爺はハムラド大戦で最後まで生き残った英傑の1人なんですから誰も怖がって盗みなんて働きませんよ。」

 ハム?ラード?ってのが何なのかわからないがそういうことならギルドに向かうとするか。なんてったって元はマタタビを買いに来ただけな…

「そういえばマタタビは?」

「ほら私が買っておきましたよっこれは貸しですから」

「すまない。いやありがとな。よーし木の実とこれでギルドの人達に気に入られるぞー!」

「おー!」

 元気に俺の言葉に反応してくれるアンナだがなんだろう。少し嫌な気というか視線が今までと違う感じがしたが多分気のせいだろう。

            ※

 ギルドに到着するまでに結構な距離を歩くことになりクラクラする程度に疲れていたが、途中コトブックからアンナがエナジードリンクのようなものを出して俺にくれた。効果があったようにはあまり思えなかったが朧気でない意識の中さらに歩きやっとギルドの前に着いた。アンナの家も大分大きな建物だったが着いたギルドはさらに大きく、おおよそアンナ家の3倍くらいはあるだろうか。自分から進んで入りたいとは思わない凡人の俺と有能な人間を隔てるような扉をアンナは開け俺はその後ろを小さくなりながらついて行った。


「アンナ様ッお帰りなさいませー!」

「「「お帰りなさいませー!」」」

 通路を進んでいくと広間に出た。その広間には大勢の老若男女が整列しており、映画でみるヤーさんの集会を少し思い出した。

 

「お、おいアンナ…さんってもしかしてギルドの中でも偉い人?」

「一応ここのギルドの管理は任されていますが1番上というわけではありません。言うなれば雇われ店長のようなものですね。」

「いや、それでもすげえ奴なんだな。色々と醜態も見せたし失礼なことをしました!」

 裸を見せてギルドの人に気に入られるよう手を貸してくれて借り物の服を破って…いやマジでやばくね。

 

「やめてくださいよ巧真さん。私のわがままや勝手に付き合ってくれただけの事でしょう。あとさん付けはやめてください。私は変わらずアンナですっいいですね?」

「…うっす」


 ここまで言われたのであれば飲み込む他ない。アンナさんじゃなくてアンナでいいんだな!アンナアンナアンナ!!一度立場が上だと感じてしまった以上慣れるのに時間が掛かりそうだ。


「さて皆さんこのカゴに入ってる木の実は巧真さんが採ってきたものです。お近づきの印に食べてほしいんですって!」

「ども。よろしくお願いします。ぜひ食べてください…」

 あっれ俺ってこんなに口下手だったっけか。頭が上手く回らねえ。


「これはこれはシャイボーイくんだねえこの木の実はパイ生地に包んで焼いたらさらに美味しいんだ」

「カプはそのままだとあまり日持ちがしない。これだけあるとジャムにも出来そうだ。手伝ってもよろしいかな」

「おうともっ」


 走って俺の持ってきた身を厨房らしき場所に持っていく赤いジャケットを着た銀髪の長身男性と同じく銀髪だがピシッとした赤いジャケットの男性とは対照的に水色でふわっとしたコートのような服を着ている日焼けし褐色な肌の女性。

「あぁちょっ待」

「ダメダメ、アンソルとバイセの狙った食材はアイツらに調理させないと何も食べさせてもらえなくなっちゃうから今は任せようぜ?俺はクロットだ。よろしく巧真っ」

 

 2人を追って行こうとする俺の前に立ちふさがり右手を差し出す赤毛の少年。


「あ、ああ。よろしく。ただそのままでも十分美味かったから皆にもこの美味さを共有したかったんだが、あれ以上に美味いものができるって言うなら楽しみだ。うっ…」

「へえ、あれをそのまま食ったのか…」

 意味深な表情をするクロット。何か俺はまずいことを言ったか?


「皆との交流もいいですが、私ひとつ大事なことを忘れてましたっ。団員となる申請のための手続きのようなものが必要なのです。私の部屋に来てくれますか。パイやジャムが出来るまでまだ時間がかかりますしね」

 

 ここのギルドまで歩いている途中からだろうか。寒気が止まらない。人の眼球がイヤに光って見えて来たばかりで緊張もあるのだろうがなんだろう。凄く視線がこわい。居心地が悪い。値踏みをし、身体にまとまりついてつめたく首を締めつけられているような感覚が未知の異世界で孤独を加速させた。はやくアンナの元に行かなくちゃ…


「アンナ!手続きは少し待て…いや待ってくださいませんか?この子息も荒いですし、ほらやっぱり熱もある。」

 俺の額に手を当てて熱を確認する誰か。視線が怖くて直視できないが白衣を着ているのがわかった。

 

「え?そうですか?顔色はそんな悪くないようですが」

「いえ、間違いありません。ギルドに入るにはもう少し休ませてからの方が良さそうです。それに今日は転生者のコイツを迎えるために色々仕事を後回しにして溜まってるでしょ?」

 

「それはそうだけど…わかりました。巧真にはしばらく休んでもらいましょう。医務室のベッドは空いてますか?」

「ああ一緒に運んでくれますか。内密な話もある。」


 身体も頭もここに来てから急に変になった。何なんだかわからないが今は自分で動くことも出来なさそうだ。2人に肩を貸してもらって医務室まで連れて行ってくれた。


「まったく初日だって言うのに世話が焼けるね。」

「す、すみません…さっきまでは普通に動けて元気だったんですが…」

「まっ転生したその日は極度の疲労感が襲うことも少なくない。それなのに木の実を採ってきたタフネスは凄く期待できるよ。疲労感が溜まりすぎると中々眠られなくなるから睡眠薬を打たせてもらう。」

「ご迷惑をおかけします…」

「んやいいんだ。アンナ、あなたが打ってあげたらどうです?その方がコイツも喜ぶでしょう?」

「冗談はやめて下さいよ。あなたは医者なんですからあなたがやって下さいっ!」

「へいへい、ちょっとチクッとするよー。」


 注射器で体内に薬を入れるとアンナは俺の手を優しく触れるように、医者の人は力強く、手を握りながらまぶたが徐々に重くなっていくのを感じた。そして目を閉じると2人の気配が遠くなっていった。

           ※

「…よし、寝たか。ったく私は怒ってるぞ。あんまり人を弄ぶんじゃねえ胸糞悪いんだよッ」

「ふふふ、急に口調も態度も変えたねモカニス。あなたにもまだ転生者をいたわる心があるというのも知れてうれしいですよ。」

 握っていた手をゆっくりと離し睨みをきかせるモカニス。アンナもその殺気には気がついているが平然と巧真の手を左手で握り続け右手で撫でる。


「そいつから手を離せ!元々私のものだったギルドを乗っ取り更には私についてきてくれたずっと助け合ってきたギルドメンバーをお前は殺した…!許しておけるわけもねえだろうよ」

 眉間に皺を寄せ今にも一触即発の雰囲気だが戦闘態勢には2人とも入らない。

「確かに私があなたのお仲間を連れてダンジョンに潜っている時に下級ダンジョンに見合わない強力な敵が出てきて殺されたのは私の責任。申し訳なく思っています。ただそんなに怒ると可愛い顔にしわができてしまいます。やめてくださいな。」

「…まあお前は憎むべき仇だが共感してる部分もあんだぜ。愛情ってのは利の裏返しだと私は思ってる。その点コイツに対するお前の言動はまさにそれだ。ただ歪んだ愛情は人を壊す。コイツも壊す気か?」


「そうだっいつものように私の腕を切り落としてくださいませんか?もちろん血は粗末にしたくないのであなたの魔法エネルギーで床に落とさないようにしてください。」

 アンナはにゃお爺を殺した時と同じ刀をコトブックから取り出す。

「コトブックへの餌か。全く悪趣味な能力だよ。人肉を切り分ける包丁としてしか長門・鬼丸が使われてないなんてこれを作った刀鍛冶がみたら泣くな。」

「どーぞー」

 勢いよく刀を振り下ろしアンナの腕は切り離された。切断面からは血が床に落ちることはなく放出された血の全ては空中に浮遊を続けていた。


「あはは、やっぱり私の刀っていい斬れ味っ!モカニスのその能力もやっぱり便利です。」

「お前みたいな化け物のための能力ではないんだがな。」

「化け物なんてひっどーい。でもいまは許しましょう。コトブックご飯ですよ」

 切られた自分の腕を真上に投げると、コトブックがひとりでに動き出し、その腕をページの間に挟んで飲み込んだ。


「コトブックもお前の無尽蔵な回復力も気持ち悪いったらないな。だから化け物なんだよ。」

「損失する部分が腕一本ともなると回復も大変なんですよー!」

「気が済んだなら出ていきな。コイツは俺が診とく。」

「いーやー」

「そうかい。なら私が出ていく。きちんと溜まってる仕事は片付けろよ。」

 モカニスが医務室を出て、部屋の前にある手すりを強く握る。巧真の手を握っていた時とは比べ物にならないほどの力は鉄製の手すりを変形させた。

「アンナは私が絶対殺す…!そのためなら転生者を利用したって構わない」

 怒りに満ちた炎は静かに火力を強めていった。

            ※

「医務室か…」

 蓄積されたデータをほとんど失いそれから新しく見た異世界という光景はどうやら嘘ではないようで、雑貨屋のじいさんから借りた服が現実だということを証明していた。

 

「ギルドの人たちと会って最初の立ち振る舞いは最悪なものになっちゃったな…はあ…」

「そうでもないさ。」

 顔を上げて右前方を見るとアンナと共に俺を運んでくれた医者の人がパイを片手で食べながら立っていた。


「ああ、先程はご迷惑をお掛けしまして…」

「そんなことはどうでもいい。大切なのはこれからだろ。」

「これからか…」

「私の名前はモカニス。とりあえずこれを食え。お前が採ってきたカプでアンソルとバイセが作ったパイだ。歓迎の証だ巧真」

「ありがとうございます……ん!?」

一口食べるとサクッとした食感のあとにカプナルトラの実の甘い香りが鼻を突き抜け、口の中で広がる。

「美味しいです」

「だろ?仕事をして腹が減ったあとの飯は大概美味いもんだ。…まあお前の食ったそれは毒だがな。」

「ど、毒…!」

 びっくりして綺麗な白色のベッドにパイを落としてしまう。


「あーもうベッドを汚すなよ。医務室のベッドはお前以外の患者も使うの!」

「す、すみません」

 わりと理不尽な怒りを俺はいまぶつけられていないか。いま食べたものに毒を盛ったなんて言われたら誰でもビビる。


「どうしたら助けてもらえますか。」

「はあ?」

「今俺が死んでないということは遅効性の毒。こういう時は解毒剤と俺の持ってる何かの取引とかじゃないんですかね?」

「雄弁に話すじゃないか。さっきとは大違い。まあこのパイに毒が入ってるのは事実だがお前は死なねえよ。」

「どういうことだ?」

「手と口を鏡で見てみろ。」

 手鏡を渡され手と口を見てみるが特に変わったところは無い。いつもの手と口だ。


「部屋を暗くしないとわからないな。カーテンを今閉めるから。よいしょっと…カプナルトラの実には夜になると蛍光色に光る特性があるんだが、この光を発しているのが私が言った毒の大本、益光虫の卵だ。」


「うげぇこの実虫が入ってたのか。」

「ふふっ、そこはあまり気にしなくてもいい。虫が繁殖するのに適切な温度な果物はお前の元いた世界にもいっぱいあったはずだ。お前が気にしてなかっただけ。」


「ウチらの土地では防虫剤や農薬があるから平気なんです。食糧危機でいずれは食べなくちゃならないかもとは聞いていましたが好んで虫は食べません。」

 本当に変なことに対する知識だけは忘れないでいるな。もっと覚えていた方が良かったこともあっただろうに。


「そうか。お前のいた場所についてもっと知りたいが、いまはもっと重要な話をしないと。とりあえずお前の手がこれだけの光り方をしてるということは素手でカプナルトラの実を採取しただろう。」

「…はい」

「経口摂取じゃなくともゴム手袋や魔法による毒性の破壊をなしに触ったのなら10分と経たずに死ぬほどの毒を持つそれがあの果実の正体だ。」

「じゃあなんで俺は死んでないんですか?」

 疑問な点が山積みだ。なぜ俺が死なないと言い切れるのか。なぜ毒だと知っていてモカニスも同じようにパイを口に入れたのか。なぜアンナは俺にあの実を採るのを止めさせなかったのか。わからない。


「お前らから見たら異世界って呼ばれるとこには2種類いてな。『転生者』と『元からこの世界に根を張り生活している人間』がいる。お前は転生者だから前者。私は後者。」


 そうか。この世界の住人は全員同じように転生してきたものとばかり思っていたが、元からこの世界にいた人達もいるのか。いや考えてみれば当たり前か。アンナの言ってたカミ様とやらがここに送ったなら文化レベルは土地を開拓していかなければ発展はない。

 最初に死んでこの世界に来た人間など想像もつかないが、もしここが未開拓の土地なら俺みたいに無知な人間は転生した意味もなく死ぬしかない。


「ただ悪いがお前に転生した意味、生きる意味があるとは私は到底思えないんだ。」

「喧嘩売ってるんですか…!?」

 俺の考えを知ってか知らずか、言われたくない地雷転生した意味・生きる意味にモカニスは触れる。


「血の気が多いのは結構。ただ私以外にもそう思ってる人は山ほどいる。転生者には普通の人間にはない人知を超えた能力を持つことの方が多い。昨日、今日ここに来たばかりのぽっと出な転生者に私たちは色々と機会を奪われてきたんだ。平凡な人間が転生者を多少妬んで恨んでもバチは当たらないだろう?」


 知らねえよ。俺だって羨まれたくて転生した訳じゃない。というか転生した実感さえまだ持てていないんだ。人知を超えた能力なんて…この世界で俺に居場所はあるのだろうか。


「巧真、この世界に俺の居場所はあるのだろうか…とでも思っているね」

 モカニスの言葉に狼狽えてまた俯いていると俺の採ってきた木の実を奪って厨房に消えた男の声が聞こえた。


「ええっとあなたは…」

「アンソルだ。クロットが紹介してくれてたのを聞いてなかったかな?」

 クロット?…ああ思い出した。あの赤髪の少年か。あの少年、クロットが言っていた名前は確かアンソルとバイセだったか。


「すみません。てっきり名前的に男性っぽいバイセがあなたの方かと思ってました。」

「ふむ、転生者の感受性はわからぬな」

「すみませんね!俺はどうせズルい転生者ですよっ」

「なーんてな。非礼を詫びよう。紳士ではない悪ノリが過ぎたよ。」

「え?」

 てっきりまたいびられて傷付けられるのかと思っていたから、予想外の言葉に目が点になる。

 

「最初から聞いていたがお前も格好が悪すぎだ。巧真に当たったところで何にもなりはしないだろう。俺もモカニスもお前の味方にもなれる存在だ。お前の身の振り方次第でな。」

 

 身の振り方というとぽっと出の俺が善か悪か。何に価値を見いだして行動に移すかをこの2人に知らせることで敵対しなくて済むということか。

「最初から仲間になりたかったです。ただ俺はこの世界に対してもあなた達に対しても無知がすぎました。身の振り方というのはきちんと話を聞いてからではダメですか?」

 

 モカニスと2人っきりだったらこんな言葉は出なかっただろう。ただアンソルという人が来てから空気が穏やかに変わっていくのを感じた。

「どうだい?モカニス、転生者は仲間に加えておいた方がいいと思うが?」

「…ふん、お前から全部話せよ。私はコーヒーを飲んでくる。」

「了解だ。団長」

 モカニスは医務室から出ていきアンソルと向き合い、正座をする。


「その座り方は何だ?」

「俺なりの誠意の表れのようなものです。気を悪くしたなら元に戻しますが…」

「いや、結構。それなら私もその座り方をしよう。」

 アンソルも地べたに膝をつき正座の体制になる。


「改めてもう一度謝罪をしよう。上司モカニスの非礼大変申し訳なかった。」

「いやいやいやいや、本当にいいんです!あなたみたいな人がこの世界にもいるとわかっただけで大分救われた気分なんですから。」

「そう言ってもらえるか…!」

 指で目頭を押さえているところを見ると本当に感激しているようだ。しばらくの沈黙のあと一呼吸を置きアンソルが話し始める。


「モカニスも本当は良い奴なんだよ。いまは…とある人物に恨みを抱いて少し狂ってしまっているが根っこは変わらない。お前とも分かり合えた時、俺達団員の悩みの種もひとつ消えてくれるだろうよ。」

「そのモカニスが恨んでるとある人物ってのは誰なんですか?」

「あまり大きな声では言えないんだがな…」

 アンソルがとある人物が誰か口にしようとした時、また医務室に人が入ってきた。


「おーい新人くぅーん!大丈夫!?回復した??」

「あ、はい…心配をおかけしました。パイも美味しかったです。」

「あの実毒があったんだね!私も魔法を加えた加工済みのものしか口にして来なかったからアンソルに聞いてびっくりしたよー!」

 何だこの人…テンションが高すぎて付いていけない。この人がバイセか。名前だけ聞くと筋肉隆々の男かと思うが美人な女性だと素直に思えるほどの端正な顔立ちだ。

「それにしてもアンナちゃん酷いよねー魔法エネルギーをまだ使えないのに、カプナルトラの実を採らせて生で食べさせるなんて!」

「俺もそこはずっと疑問に思っていた所なんです。殺そうと思ってたなら俺は魔法エネルギーとかの知識もまだないですしあの実を使わなくても簡単に殺せるはずなんです。なんであんなこと…」

「そこで巧真くんに質問!1回誰かに魔法エネルギーを注入してもらったりしてない?」

「おい、いまは俺と巧真が話していたんだ。少し席を外せ。」

「ちょっと待ってよ〜エネルギー注入されたかどうかを聞いたらすぐ出ていくから!」

 この人の言っていることは本当に分かりかねるな。注入なんてこの医務室で薬を入れられたことくらいしか記憶にはないが。注…入…?あっそういえば…

 

「そういえばおかしな服をアンナの家でもらってそれを着る時に魔法エネルギーを手を繋いで流してもらいました。」

「ニッシッシィやっぱりねえ!魔法エネルギーがあればカプナルトラの毒は相殺されますっアンナちゃんはやっぱり巧真くんの安全面もちゃんと考えてくれてたんだよ!」

「本当…ですか?良かったぁ!俺すっげえ不安だったんです。最初に会ったアンナさんでさえ俺のことがもし嫌いだったらなんて思ったら怖くて…」

「くっ」

「うんうん良かった私も巧真くんが安心したなら嬉しっ。あれ、アンソルは逆に顔色が悪くなってきたような気がするけどダイジョウブ?」


 確かに先程までの穏やかな雰囲気がアンソルからは感じられなくなり、心配になる。

「何でもない。少々貧血気味のようだが今日の仕事は全てこなしてみせるよ。君の力など必要がないほどにね。」

「何をー絶対負けないからね」

 同じ厨房で働いているようだから犬猿の仲ってほどではないんだろうがアンソルとバイセは仲が良いのか悪いのかわからないな。


「とりあえず巧真、君の部屋を案内しておこう。そこで休んでいるといい。いつまでもこの部屋にいてはモカニスからの印象も悪くなるばかりだろう。」

「それもそうですね。良い人だと聞いても正直今はあんまり顔を合わせたくないですし連れてってください。」

「それなら私も一緒に行くよーバイセちゃんも巧真くんとの親睦を深めたいのでありますっ」

 この人の距離の詰め方やっぱ苦手だなぁ…せっかく美人なのになんというか全てを台無しにするほど

ウザい。


「自分をちゃん付けでなど呼ぶなよ。コックとしての気品が損なわれるではないか。バイセ、君はついてこなくて結構だ。ただでさえ男子寮と女子寮で別れているのだから君に入ってこられては秩序が乱れるっ!」

「ちぇ、残念。じゃあ後で巧真くんの部屋に遊びに行くからね!」

「いやぁ、御遠慮願います…」

「照れちゃってこの〜!」

「「違う!」」

 俺と呼応するようにアンソルもイラッとした様子で否定をした。バイセと仕事をするとこんなやり取りをずっと続けるのか。ご苦労お察し致します…


 医務室を出て中央広間に移動するまでバイセが九官鳥のように後ろでしゃべり続けていたがそれを無視して歩き続けた。


「そうだ!もう日も暮れ始めてるし私の晩御飯食べていってから男子寮に行けばいいじゃん」

 そういえばこの異世界に来てからカプナルトラの実とそれのパイしか食べてなかった。色々あってお腹に気を使う暇もなかったが何か食べたくなってきたな。


「…アンソル先に食事を済ませてからでもいいですか?」

「はあ…お前もわりとマイペースな人間だということを今知ったよ。いいさ食っていけ。ただ俺の料理も一緒に食べてもらう。どっちが美味いか対決しようぜバイセ」

「さっきまでガン無視を決め込んでたのに急に熱くなったね。そう来なくっちゃ!」


 2人とも料理の腕にかなりの自信を持っているらしい。お、俺が2人の料理を食べて判定するってことか??今の印象だと人間的に信頼出来そうなのはアンソルだけどそれとこれとは切り離して考えなくちゃ2人に失礼だな。調理をしている工程から見てきちんと審査をしよう(あんまり料理の知識ないけど!)


「おっ2人がまた料理対決を始めたのか!?」

 隣からひょこっと現れたのは、木の実を持ってきた時にアンソルとバイセの名前を知らせてくれた赤髪の少年、クロットだった。

「ああ、そうみたい。」

「どんなの作ってれるのかな。アンソルー!バイセー!俺も食いたーい!!」

「当たり前だー!ギルメン全員分作ってやるから待ってろよ!」

「今いるギルメン全員ってなるとざっと数えて50ってところか!負けないよ〜」


 料理を作ることが好きなんだということが伝わってくる活気とそれに伴う素人目にでもわかる調理の腕に目を離せなくなる。

「おい、巧真。焼きそばは好きか?」

「巧真くん!カレーはどう?」

「えっ?はいっどちらも好きです。」(両方食べるのはちょっと重たい気がするけど…)

「そうか。じゃあ少しだけ待っていてくれ」

「私の方が絶対美味しいから!」

「いや俺だ!」

「たのしみだなーあはは」

「うわっ巧真が完全に聞き流すモードにはいってやがる!」


 フライパンや鉄板から出る煙や熱気を全身に浴びて出来上がるのを待った。そして10分ほど経った。

「先にできたのは俺のようだな。」

「嘘っ!アンソルはいつも早すぎるよー!巧真くん私の食べる前におなかいっぱいにならないでねー!」

「コピレマド風のオシャンティーな焼きそばを召し上がれ。」


アンソルが出来上がったものを運んできた。運ばれてきたのは麺が緑色のソースがかかった野菜たっぷりの焼きそばだった。匂いは良いが、緑、緑かあ…

「ま、まあいただきますね。」

 麺を口に運びちゅるちゅると啜っていく。ん?こ、これは…!


「俺の中の微かな記憶にある全ての焼きそばの記憶とランキングが塗り変わる…!もちもちとした食感の麺とそれに絡みつき絶妙なハーモニーを奏でる不思議なソース、今までに食べたことの無い新しい焼きそばだあ!」


「何だコイツ急に饒舌になった…」

「あれだろ〇っ子とか〇ーマみたいなリアクション芸の真似」

「ああディガワとかそんなもんか」

「ディガワはリアクション同じリアクションでもまた別のものだな…」


 観衆が料理を食ったあとの俺に大分引いてるようだが、幸福に空腹を満たす時俺もまた自分勝手になるのだ。


「この緑色のソースはほうれん草と蜂蜜と…あとはなんだろう?」

「ああ、こちらではアザージョと呼ばれている唐辛子に近い辛味や食感をもつ異世界特有の食材なんだが普通の唐辛子と違う所はなんだかわかるか?」

 この世界の一般的な唐辛子がどんなものか知らないから返答に困るが、ほうれん草や蜂蜜が通じたところを見るとそれほど俺のいた世界と食べ物に関する知識や構造に違いはないようだ。


「この唐辛子、辛味ももちろんありますけどそれ以上に濃厚な旨みが後を追ってきますね。」

「ああ、このアザージョにはグルタミン酸と似た成分が入っているから他の食材の味も引き立ててくれるんだ。お前のいた所とこっちでは美味しいと感じるものに結構差もあるがなるべく異国の者でも好む味を作るのが俺のモットーって所だな。」

 なるほど、日本では一般的に食べられてきた納豆も他国じゃ食えたものじゃないと聞くし、中国の臭豆腐とかもその類だが異なる文化で生活してきて異なる味覚を持つ者同士でも一緒に食卓を囲めるような料理なんて素敵だ。


「さあ次は私の番だね。美味しすぎて頬っぺたどころか頬骨まで落っこちちゃうかもよ。」

「おっそろしい例えを…」

 彼女が皿に乗せて持ってきたのはさっき言ってた通りカレーのようだが、こちらも色が独創的、というかアンソルが持ってきた焼きそばと同系色の緑色だ。ただこちらのカレーは少し色が濃い。


「グリーンカレーってやつですか」

「色がグリーンなんだしそりゃそうなんじゃない?こっちではクラッパカレーって呼ぶの!」

 グリーンカレーはこちらの世界で言うとタイ料理に分類される一品だが、バイセの反応からするとタイや俺の知ってるグリーンカレーに関する知識はほぼないだろう。

グラッパカレーと彼女も言っているし仕方のないことだが別物として評価した方が得策か。


 ナンを一口大にちぎりカレーを付けて口に放り込む……!!????

「なんだこれえぇ!!?異世界だと言うのにタイの3大寺院プラケオ・ポー・アルンの情景が頭に流れ込んでくるぅ!」(行ったことはないけど!!)

「どう?美味しい?美味しいでしょ!こっちの世界のスパイスは色々試してみたけどやっぱりこれが一番合うと思うんだよねぇ〜」

「いや確かに凄く美味しいですけど、これ完全にグリーンカレーですっ!異世界なのになんで知っているんですか!?」


「私、このカルジャドドゥ王国のグラッパカレーが何よりも好きなのね。ただ3年くらい前かなー」

 おいおい、急に聞いた事のない国の名前が出てきたぞ。ここの国の名前がカルジャドドゥ王国って言うのか!?なんつうか本当に別の世界に来てしまったんだと改めて思う名前だな。地理の授業でもこんな国習わなかったぞ。どういうことだ顔も名も知らぬ教師!


「ここに異世界転生してきたムカつく奴がいてそいつに私のカレーを食べさせたら物足りないとか不味いとか言うから凄い頑張って『たい』とかいう所の料理を色んな転生者伝に聞いてやっと作り上げたものだから不味いなんて言わせないから!」

 ただ俺以外にも同じ世界、空間から転生をしてきた人間はアンナやバイセの話からもいるのは確かなようだが、俺が他の転生者と会うことも可能だろうか。


「「さあどっちの方が」」「美味かった?」「美味しかったかな?」


 判定を待つ2人を他所に転生者のことで頭がいっぱいになってしまい頭の中だけで考えていた言葉はいつの間にか口から独り言として発してしまうようになっていた。


「でもカルジャドドゥ王国以外にも小国、大国とあるはずだろ。だとしたら別の国に転生者がいる可能性もあるわけか。中々話を聞くのは骨が折れそ」

「…おい戦場のど真ん中で余所見をする奴があるか」

「…どっちの料理がより深くあんたの胃袋に刺さったか教えなよ」


 戦場というのは言い得て妙で両耳から囁くように呟く2人の言葉は今にも俺を殺しそうと思えるほどだ。勝敗を決してしまえば、負けを言い渡した方に俺はどうなるか考えると先程まで口にまとわりついていた美味で幸せな感覚が一瞬で剥がれ落ちるようで目が…覚めました。はい。


「どっちも凄い美味しかったですし甲乙つけがたいけど言うよ。」

 アンソルとバイセだけじゃなくて厨房に集まってる観衆全員が俺に視線を集める。何故か今は視線に怖さを感じない。

 

「今回の料理対決の勝者は…バイセッ!」

『うおおおおおおっ!!!』『バイセ様の包丁さばき今日も素敵だったわ…!』『なーにアンソルの焼きそばのほうが俺は美味そうに思えたけどなー』


「す、すみませんアンソル…ただ2人とも凄い真剣だったから俺もいい加減な気持ちで評価は出来ないなって思って…」

 申し訳ない気持ちでいっぱいだった。俺は今日この人に会わなければ孤独感に押しつぶされてたかもしれない。異世界に来て初めて心で通じ合えるような気がした人間だったからだ。


「なーに言ってんだよお前の舌は間違っちゃいない。バイセはお前ら転生者が親しみを持って美味しいと思えるものを日々試行錯誤して作り上げたんだ。それに比べて俺の焼きそばはまだまだ他の国の人には馴染み切れない中途半端なものだったってだけだ。真剣に判定してくれてありがとな」

 

「いえ、俺は元々カレー好きでしたから色々言いましたが結局最後の判断は人それぞれの好みですよ。その証拠にアンソルの鉄板とバイセの鍋のところに並んでる人達の数は同じくらいです!」

 観衆のギルドメンバーの人達はどちらに勝つことを望んだのだろう。料理の味だけじゃない。全ての人に対して好かれたり肯定される人間なんて存在しないんだ。それが勝負として綺麗に形作られるものもあればドロっとした内情のまま逆恨みを買ったり陰湿な嫌がらせに至ったりすることもある。ただこの2人は…

 

「アンソル何やってるの!?巧真くんとの勝負は私が買ったけどまだ一回戦、あと五十戦あること忘れないでよねー!」

「…そうだな。巧真悪いな寮への案内はもう少し待っていてくれ。全員の分今から作ってやるから待ってろよー!」

「はい!」


 綺麗にカラッと形作られているようだ。


 どんどん同じく高いクオリティの料理を手早く作っていくアンソルとバイセを遠巻きに眺めていた。

「格好いいよなあの2人。あいつらに憧れて俺もこのギルドに入ったんだ」

「クロットか。うん今日ここに来て正直不安でいっぱいだったけど2人がいたら何とかなりそうな気がするよ。」

「ああ、俺も同じだ。それにしてもお前よく食うなぁ」

「そりゃお腹空いてるし。これから毎日あんな美味しいもの食べれると思うと楽しみだよ。」


 アンソルとバイセが料理をつくる姿を見て楽しんでいたクロットだったが突然辺りを見渡し始めた。

「しっかしこういう対決事の時、カルーニャは必ずと言っていいほど参加してたんだけどな。」

「そのカルーニャってのは…あぁアンナが言ってたやつか。」

「お前もアンナさんについてきてここに来たならくらにゃーす本舗ってところでまたたびを買ったんじゃないか?そのカルーニャの親父があそこの店主なんだぜ」

「あのおっさん子供いたのか!?」

 俺の偏見フィルターを通して勝手に未婚の男かと思ってしまっていたが、まさか子供がいたとはなんか負けた気分。


「なんつうかよ。カルーニャは俺と同じくらいの年齢なんだけどいつもツンケンしててそのわりには抜けてるところも多くてほっとけないんだよ。」

「そっか…そいつのこと好きなんだな。」

「ば、馬鹿そんなんじゃねえよ。ただの友達だし…」

「まあ何か相談があれば年長者の俺に聞きたまえよ。記憶がないからこそ答えられることもあるかも。」

「本当に記憶喪失で解決できることがあんのかよ…まっ、とりあえず俺は近くにカルーニャがほっつき歩いてないか探してくるよ。そこでひとつ頼みがあるんだけどまたたび買ってきたならちょっと借りてもいい?」

 そういえばまたたびはどこにあるだろうか。俺はここに来た途端具合悪くなって倒れちゃったからな…

 

「アンナに聞けばわかると思うよ。アンナは今どこに…」

「ここにいますよっ」

「うわっびっくりした!急に後ろから話しかけないでくれよ」

「ふふ、すみませんただちょっとおどかしてみたくて。」

 

 俺を毒で殺そうと思ってたのかとすら考えていたのがアホらしくなるほどの呑気なアンナの言動に少しほっとする。


「ねえアンナさん。俺、カルーニャを探したいんだけどまたたびを少し貸してくれない?」

「あら、カルーニャさんはいないのですか。それでは見つけないといけませんね。仕事も終わりましたし私も探しましょう。巧真さんも手伝ってくださいますか?」

 

「夜中になっても見つからないようだったら大事になるしな。今のうちに見つけられた方がいいし手伝うよ。ただカルーニャの顔を知らないから俺にできることって何かある?」

「カルーニャの写真持ってるからそれ渡すよ!」

 ほほう、クロットはカルーニャって子の写真まで持っているのか。これはこれは…


「いますげえ腹立つこと考えてんだろ」

「別にー」

「ったく背に腹はかえられないかぁ。ちょっと寮から取ってくるから待ってて」


 ドタドタと走って男子寮の方に走っていくクロットを後ろから眺める俺とアンナ。


「ずいぶんと周りとも打ち解けたようですね。少し羨ましいかな」

「どうしてだ?アンナは皆に慕われているように見えるけど仕事でギルドの人達と遊ぶ時間がないとか?」

「それもありますが住む世界が違うなーって。私は幼少期から人と関わることを避けてきましたから今更どうすれば友達が出来るのかとかわかりません。」

 

 それぞれ色々な人生があるんだよな。俺は記憶をなくして転生者としてここにいるから経験値もほぼゼロだけどこの人達と渡り合っていけるだろうか。


「難しいことはわかんないけどよ。俺はアンナに感謝してる。記憶をなくした俺をここに連れてきてくれたおかげで目標も色々出来た!」

「へぇ、目標って何ですか?」

「そうだなーとりあえず今はクロットが探してるカルーニャって子を見つけること。アンナも手伝ってくれるってんならクロットもカルーニャって子ももっとアンナを好きになってくれるんじゃないか?」

「なるほど。それなら私、頑張りますよっ!」

「俺もアンナに負けないよう頑張るよ」


 戻れる方法があるのなら元の世界に帰りたい気持ちはあるが、とりあえずこのギルドから俺の異世界ライフが始まる。顔も思い出せない父や母、あと謎の黒髪の少女のことを思い出すためここでの生活を頑張っていこうと決心した。


(あとがき)

どうも小説がじゃんじゃん売れるようになったらVtuberになりたい『QLUWENTA(読み方不明)』と申します。書きたいと思ってた小説の内容が中々上手くできあがらず息抜きで異世界転生ものを書いてみたのですがいつの間にかこっちに本腰を入れる状態になり、投稿するに至ったのですが、一応続ける予定で1話という形にしました。楽しんでいただけましたか?

もうちょっと良いタイトルがないかなと考えましたが何も思いつかなかったすね!

読んでいたたぎありがとうございました。今後も見ていただけると嬉しく思います!

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― 新着の感想 ―
[良い点] コトブックは、肉食系?それとも血が好物なだけ?どっちにしろ、恐ろしい:(›´ω`‹ ):; アンナさんは闇が深そうな気がします。ギルドメンバーの方たちにも色々と何かを抱えてる気もしますね…
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