喪女と聖女は紙一重らしい
聖女とは、聖なる乙女のこと。喪女とは、ただのボーイフレンドのいない女のことだ。
エミリオ様が顔を伏せる度に、金色の髪がサラリと瞳を隠すのが、何とも神秘的で一生見ていたい。
そう思いながらも、目の前の案件に集中する。
「聖女とは、このセイナル国に伝わる伝承でして。この世界が瘴気に包まれた時、神がこの国に遣わせてくれる存在だそうです」
へぇー、私神様に必要とされたんだ?
んなわけねーだろ。
秒速でノリツッコミしてしまったわ。
「異性との関わりがほとんどなく、接触もほとんどされない、そんな方が呼ばれると言われています」
あー、はいはい、つまりは喪女ですね。
………………いや、違うでしょ!
「普通は、もっと若くてかわいい子が呼ばれるものでは?」
ラノベ的に、と言いかけて、口を噤む。
すると王子、ぽかん、と口を開けて、クスリ、と笑った。
尊いが過ぎる!!!
「年齢は関係ありません。過去には、60歳の聖女様が遣わされた記録が残っています」
その言葉に、愕然とする。
若さは、必要ではない……だと…………?
とすれば、私は本当に聖女なのか……?
つまるところ、死ぬ直前の逆ハーレム乙女ゲーの夢が叶ったってこと??
いやったぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁあぁぁ!!!!!!ってなるかい!!!!!!
いやいやいやいや、ほんとむり!
異性と関わりがなかったって、本当にそうなんだよ?
喪女っていうのは、異性に緊張する特性なの!
イケメンは鑑賞するに限るんですが!?
なんで私なんかが選ばれたんだぁ!?
頭を抱えてイヤイヤと首を振っていると、王子の困惑する声が聞こえた。
「聖女様?どうされました?」
その声に正気に戻り、顔を上げる。
「ちなみに、聖女のお仕事というか、役割とは?」
先程の荒ぶりを無かったことのように振る舞う。
これは私の特技だ。
「ご心配なさらず。危険なことは何もありません」
そういう王子に、首を傾げる。
「瘴気が溢れ出して、大変なんですよね?魔物が湧いたり、活性化したりするのでは?」
そう質問すると、王子は嬉しそうに微笑んだ。
綺麗すぎて後光が見える。
「お詳しいんですね!でも大丈夫ですよ。瘴気を払うのも、魔物を退治するのも騎士の仕事ですから」
「?つまり、聖女の仕事とは?」
「聖女様には、僕を含め、我が国の騎士たちに神聖力を与えて頂くことになります」
「???どうやって???」
「握手やハグ、キスなど、身体的な接触で、男たちにはそういった力が宿るとされていますね」
その瞬間、頭が真っ白になった。
次の男出す前に、情勢書き出したら終わらないやつ~