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金色の月姫  作者: 藤の花
月より舞降りた鬼の姫
9/79

驚く位広い家。いや、家っていうよりは屋敷。武家屋敷って言うよりはもっと古いイメージ。

そう!!寝殿造りっていうのかな?平安貴族の屋敷見たいに広く立派なお屋敷だった。しかも、今気付いたけどこの人着物なんだよね。もしかしてかなり、由緒正しき家柄の人に助けられた!!?

 

ポカンと澪菜がしてると、男性が話かけてきた。

「姫?大丈夫か?」

 

「あっいえ………スゴイお屋敷なのでびっくりして……その…さっきから気になってたんですが……」

 

「なんだい?」

 

「姫って私の事ですよね…?」

男性は一瞬不思議そうな顔をしたが、そうだよとすぐにふんわり微笑み答えた。

 

「いや私、姫なんかじゃないですよ!!」

あまりの澪菜の慌てように、クスクス笑う。

 

「そうか?かわいらしい姫君ではないか。清らかで純粋で愛らしい。」


「澪菜です。私の名前。」

顔を真っ赤にして、それを隠すように両手で顔をおおった。気恥ずかしい事を平気でいわれるのに耐えきれない。

 

「月の姫は澪菜と言う名なのだね。素敵な名だ。」

本当にわかってるのかなと思いながらも、話を続けた。

 

「貴方の名前は何て言うんですか?」


「名か、、、」男性はポツリと呟くと、難しい顔をしていた。

え!!?私まずい事聞いた?

あまりの表情の重さに、澪菜は驚きを隠せなかった。


「あ、、、あの、、、」

それに気付いたのか、重い表情がくるりとにこやかな笑顔に戻った。

 

___

姫降りし

月より続く

夜行道

この手で覆う

朧月かな

___ 

「貴方を月に帰さない様に出来るのならば、私は月を隠す朧月の様になりたい」

真っ直ぐに見つめる瞳に吸い込まれそうになる。不思議な人だ。


「朧月?」


「ふふふ、私の事は"おぼろ"とでも呼んでくれればいい。」

 

「朧さんわかりました。よろしくお願いします」

 

「朧でよい。姫に朧と呼ばれる何て幸せ者だね。」

また、姫と呼ぶ。女の子として姫って呼ばれるのは、どちらかと言うと嬉しいけど。いざ呼ばれるとすごく恥ずかしい物だ。

 

「それにしても本当大きいお屋敷ですね!!」

顔が真っ赤になるのがばれたくなかったので、澪菜はとりあえず話をそらして見た。

 

「まぁ。一応こんなんでも貴族の端くれだからかな。」

貴族!!?まだ今の時代の日本に貴族なんていたんだ。

 

「日本に貴族なんていたんですね。びっくりです」

 

「……日本?月の国の名前かな。ここは平安と言うのだよ」

 

……………………

 ……………………………

 

日本…ですよね?」

 

「いや、平安だよ」

 

「!!?………平安時代…?」

 

「時代?ここは300年の歴史が続く平安の国だ。」

ちょっと待って…思考回路が処理しきれてない。話も噛み合ってない気がする。平安が国名なのかと問うとそうだと返答され、ますますわからなくなった。

  

「月の国とは大分違うかい?」

 

「月って空に輝く月の事ですか?」

 

「ああ。私達には見上げる事しか出来ない。桃源郷があるならばそこにあるのかなと思うよ」

澪菜の問いに朧は答えていくが、全く噛み合ってはいない気がする。この食い違いに何かがある気がした。

すると、朧がひとつ歌を歌いだした。

 

「漆黒の

夜に満ちあふる

月の光

姫舞い降りし

永久の栄光」

 

―――その歌!!―――――

「今の歌朧が?」

澪菜が涼と一緒にいた時に頭の中に響いていた歌だった。

 

「いや、これは有名な陰陽師が歌った歌だ。宴の晩、そなたが月から現れた晩に、私の為に歌った歌だ。本当にかぐやが現れたのには驚いたがね。」

そして朧は思い出しながらふふと微笑んだ。

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