表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
金色の月姫  作者: 藤の花
蒼き竜の雷
71/79

弐-弐拾参

ガヤガヤと外が騒がしくなっていた。バタバタと従者が集まっている。



「騒がしいです!」

静子が騒ぎを聞きつけ屋敷から出て来た。静子に続いて、千鶴もついて来た。


「すみません。女御様が消えたと騒ぐ怪しき者が。」

「姫様が?」



静子は従者をかき分け進むと、取り押さえられた女性がいた。顔を覗くと涼だった。


「春晃様の所の方じゃないですか。姫様のお姿はないのですか?」

「それが、門をすり抜けて出てしまい霧に包まれ見失ってしまいました。」

「なんの為の門番ですか!」


――――!!静子のピシャリとした怒鳴り声で当たりが一瞬にして静まり返った。


「申し訳ございません。」従者は頭を地面につけ、ひたすら謝った。



「ともかく、辺りを捜索する者と警備を強化する者で分かれなさい。東宮様にも至急連絡を入れて下さい。」


女房如きの言葉に反感する者がいるかと思いきや、テキパキと指示を出す静子に従いまとまりの無かった従者達が個々に動き出した。

それは、静子の威厳と信頼性が垣間見れる。



「この者は話を聞きますので、部屋にお通しします。千鶴、そちらはお願いしますよ?」

チラリと涼を見下げると、千鶴に指示を出した。


「はい。」

「私は、屋敷を一通り見て参ります。」


打掛けをキュッと羽織り直おす。


「はい、お願いします。」



静子は全部事を告げ終えると渡殿へと歩いていった。千鶴は静子に言われた通りに、涼を連れて行った。


「涼様、こちらでお待ちきださいね。」

「澪菜を探しに行きたいんだけれど、ここから出してはくれないか?」



また目の前にいたのに、何も出来なかった。あげくの果てに、不審者と間違えられ捕まった。何してんだ俺。



「すみません。私には権限がなくて。」


苛立ちを見せる涼を千鶴は、何とか落ち着かせ様と宥める。

「闇雲に探しても時間ばかりが消費されるだけです。静子様が手配しております。東宮様がお戻りになるまで、今しばしご辛抱を。」



「クソっ」

拳を握り、壁を打ちつけた。

「お前には悪いが、俺はここを抜け出させて貰う。」

「困るます!」


慌てて、涼の腕をガッシリ掴む。しかし、か弱い女性の力では押さえつける事は容易ではなかった。

「出来れば、争いたくはない。」

「なりませぬ。」


離れまいと、絡みつく様に腕に巻きつく。


「お前は、澪菜が心配じゃないのか!?」



―――!!



「心配です。。けれど私は宮仕えの身。私にどうしろって言うんですか。」


千鶴は女房としての勤めと澪菜への思いに板挟みになり、今にも泣き出しそうだった。がっしりとしがみついている体が、小刻みに震えているのに気付き、涼もしまったという気持ちになった。



「悪い。いいすぎた、、、。」

「涼、うちの女房を困らすのは止めて貰えないかな?」



振り返ると、騒ぎを聞きつけ屋敷に戻って来た朧がそこにいた。


「千鶴下がってよい。有り難う。」

「承知いたしました。失礼致します。」

千鶴は深々と頭を下げると、目をこすりながら部屋を後にした。



「さて。」朧は涼の方に向き返える。


「今日は一段と美しい格好をしているな。私の後宮にでも入るか?」

朧は涼を眺めると、クスクスと笑い出した。



「今、そんな事を言ってる場合かっ!!」

「私には姫がいるからね。姫さえいれば他に妃を迎えようと思わないよ。」

恥ずかしげもなく、恥ずかしい事を平気で言う。

「――――くそ」その姫が消えたんだろうと叫びながら、涼は朧の胸ぐらを掴んだ。




「あまり怒鳴ると、男だとばれるぞ。」

それでも、にっこり微笑み淡々と話す朧に余計に腹がたった。



「もぅいいか!俺はいく。」

「落ち着かせようとしただけだ。逆効果だったが。すこし落ち着け、予測はついている。姫がいなくなる前にそなた達は何をしてた?」

部屋から出て行こうとする涼を呼び止めた。



「俺と話をしてただけだよ。そしたらいきなり霧が出て。」

「それだけか?」

「会話の内容まで言えっていうのか!」

「そこまでは言っておらん。その時竜はどうしていた?」

「竜?そういや皐の犬なら、澪菜が抱いていたな。」



それを聞くと朧は、やはりと言わんばかりの表情でため息をついた。




「姫は面倒事に巻き込まれやすいみたいだな。」

ボソッと呟くと、朧は直ぐ様部屋を後にした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ