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金色の月姫  作者: 藤の花
蒼き竜の雷
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弐-拾肆

次の日澪菜は夜明けと共に皐の所に旅だった。

腹を割あって皐ちゃんと女友達になりたい!!と言う訳で、今日は涼なしで。本当は一人で行きたかったけれど、まぁ、朧も千鶴も許すはずもなく、千鶴と時頼が同行する事にはなった。



「ふふ。」

「千鶴ちゃん、あれは」

どうやら膝枕現場を見られてしまったらしく、朝から千鶴の顔が緩んでいた。


「お二人が仲むつまじい事、私は嬉しゅうございます。」

「あれは、皐ちゃんの事相談してたら、朧が疲れて寝ちゃったんだよ。」

「はい。そうですね。」


にこにこしながら答える千鶴。絶対勘違いしているだろう。確かに昨日はいつもと違う雰囲気にはなってたと自分でも少し思うけど、絶対深い意味は朧にはないんだと思う。そう自分に言い聞かせる様に、千鶴の言葉を強く否定した。



皐の家はあいかららず気味の悪いくらいの静けさだ。

ただ、空気は澄んでいて気持ちよく恐いとかいう感情は全く生まれてこない。

扉に触れると、まだピリッと電流が走る感覚が襲って来る。結界が張られた間々で開かない。



「澪菜様、昨日の今日ではやはり。」

警戒しているのだろう。

千鶴が言いたい事はわかるのだけど、濁る千鶴の言葉に澪菜は諦める訳にはいかなかった。竜の事もあるけれど、やはり涼の恩人に嫌われる訳には!!!不甲斐ない間々ではいられない。


「皐ちゃーん!開けて!!私、皐ちゃんと話に来たの。」


開かない扉の前で、声が届いているかもわからないが、叫び続けた。虚しく叫び声が木霊する。扉も開くかもしれないと思い、何度も手に掛けるがピリッと走り掴み続けられない。



「澪菜様、危ないです!!おやめください。」


千鶴に抱き付かれて止められた。なくなく一度扉から離れたけれど諦め切れない。


すると、スッと扉が開いた。


「皐ちゃん!!?開けてくれたの?」

こんなに簡単に開くとは思ってなかったから、ビックリしてその場に立ち尽くす。


内から皐が出て来た。足元には竜もいる。

竜は皐の影に隠れ警戒するように、毛を逆立てていた。

皐はじっと澪菜を見て、そして後ろにいる千鶴と時頼に目線を向ける。


ふぅっとため息を吐くと、スタスタと澪菜達をすり抜けて行った。


「待って。私、皐ちゃんと話にきました!!!」

引き止める様に追い掛ける澪菜に、怪訝な顔をする。



「水を組みに行く。邪魔をするな。」

「え……あ……はい。」


皐に睨まれ何も言えなくなってしまった。スタスタ去っていく皐の後ろを無言で着いていった。


「………」

「………」

「………」


誰も口を開かないから、聞こえるのは自然の音。小鳥が穏やかにさえずり、何処までも続く森林を歩くと、川のせせらぎが聞こえて来る。川の水は美しく、時たまぱしゃっとはねながら魚が生き生きと泳いでいる。


「千鶴ちゃん!すごいね。」

「澪菜様、乗り出すと危のうございます。」


両手で水をひとすくいしてみる。ひんやりと気持ちがいい。


「はぁ、、、いつまでついて来る?」


澪菜があまりにものん気そうにしているから、呆れた声で皐が口を開いた。

おっと!!当初の目的を忘れる所だった。

澪菜はじっと皐の目を見た。


「皐ちゃんと話するまで帰らないよ!!!」

「お前は私に何を話させたいんだ?竜の事なら諦めろ。」

「うぅそれもあるけど、私は皐ちゃんと仲良くなりたいと。どこが嫌なのか言って?直すから。」


皐は眉間にシワを寄せ、なめるように澪菜の頭からつま先まで睨みつける。



「お前は私に話せ話せと言っているが、お前は私に何を話した?包み隠さず話せるのか?」


澪菜の後ろに控えていた、千鶴と時頼を見ながら皐は不適に微笑む。


「そうやって、守られていないと生きていけない姫様なのだろう?一人では何も出来ない癖に。お前に私の何がわかる!!!」




皐の目は冷ややかで、鋭く澪菜に突き刺さった。

「澪菜様はそんなんでは」

「千鶴ちゃん、、、。」


今にも皐に飛びかかりそうな千鶴を止める。皐の言っている事は間違ってはいないと自分でも思う。周りに助けられ、おそらく自分一人では何も出来ないだろう。



「だからこそ、大切な人の恩人だから、皐ちゃんと仲良くなりたいと思う。」


澪菜は鬢を掴むと、ズルッと外した。キラキラと太陽の光に反射して、金色の髪が輝く。



「これがありのままの私です。」

「、、、」


まずは本当の姿から。自分が隠しているのに相手に心を開いて貰える訳もない。そう思い、澪菜は金色の髪をなびかせた。

皐は一瞬驚いた顔を見せたが、すぐに元に戻った。



「だから、なんだ?お前とは分かり合えぬ。」

「なんで!!!?」


何故ここまで頑なに拒むのかが分からない。

「お前は涼のなんなんだ?」



なんなんだ―――?と聞かれても。

「涼君とは幼なじみだよ?」

「そんな事は知っている。」

「え?―――え?」


今聞かれるとも思わなかった。何が言いたいんだろうか??


「体のいい言葉ばかり並べてそんなんだから、私はお前が嫌いだ。」



きっと睨むと、勢いよく叫んだ!!

「私は涼が好きだ!!」

「私も涼君の事好きだよ?」



「お前なんかと違う!!!」と澪菜の言葉に皐の顔はより歪んだ。


「姫様、恐れ入りますが…。ご無礼承知で失礼します。」

思いのほか、二人の間に入って来たのは時頼だった。

腰を落とし、膝を付き、仏頂面の間々続ける。


「皐殿がおっしゃっているのは、『愛しい』と言う事だと。姫様の好きとは違います。」


言い難そうに話す時頼の言葉に、澪菜もやっと理解が出来た。


「あっ。」

「出過ぎた真似、申し訳ございません。」



皐ちゃんが涼くんを好き。

俗に言う『恋』って奴だよね。



「幼なじみだからなんだ?それに甘えているだけだろう。それがわからぬなら、私と対等になどなれん!帰れ。」

皐はそのまま竜と共に、森の中へと消えていった。



はずかしい――。鈍感すぎる。

呆然と立ち尽くす澪菜を、時頼は千鶴に牛車まで連れて帰らせた。

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