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金色の月姫  作者: 藤の花
蒼き竜の雷
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弐‐弐

「あ、、うん。なんかね琴とか和歌とか教えてくれる先生が来るみたい。」

「ふーん。なんか花嫁修行してるみたいだな。」

 

 

ドキッ―――!!

実はそうです!なんて成り行きとはいえ言えないよね。

「あはは!!涼君冗談言わないでよ!」

じっと見つめる涼の目に動揺を隠せないが、とりあえずごまかして見る。嘘の下手な澪菜は涼に見透かされている気がした。

 

「まぁいいや!ちょっと興味そそられる話仕入れたから、明日ちゃんと来いよ!!」

「うん。わかった。」

そう告げると、涼は慌ただしく去って行った。




涼とは幼なじみで、いつも一緒にいた。嬉しい時も悲しい時も。

今の生活に不満な訳じゃない。平安の国に来て、一人どうしていいかわからないのを助けて貰って、感謝してるくらいだ!

ただ。こっちに来てからなかなか自由に涼に会えなくなって、少し寂しく感じる。

そんな風に感じるのは私の我が儘だろうか。

 

 

「澪菜様―――!澪菜様!どちらですか!」

感傷的になっていると、屋敷の方から澪菜を呼ぶ声が聞こえて来た。千鶴が心配そうに捜しまわっている。

 

 

「はーい。」

慌てて戻って行った。部屋に戻ると、千鶴がにこにこしながら色々な着物を広げ始めた。

 

 

「千鶴ちゃん…どうしたの?」

「どうしたのじゃありませんよ。記念すべき!御妃教育初日ですからね。東宮女御様としてどの御着物に致しましょうか?」

 

 

「えぇっいいよ!どれでも」

個人的には着物よりワンピースの方が楽でいいんだけどな。この国にはワンピースはない。

ここには裁縫が得意そうな人達がたくさんいるから、教わって自分で作ればよいかとも思ったけど露出が激しいと騒がれてしまいそうなので諦めた。 

 

「澪菜様はいつもそれなんですから。さぁ、先生が参られてしまいますので、着替えますよ。」

 

「ひゃあぁぁくるしい!!あつい!!」

「我慢して下さい」

強引に着替えさせられる。千鶴の手際の良さに大騒ぎしてる間に着替えは終わっていた。

 


『薄紅色の打掛に、夏を彩る杜若を重ねる。』

 

 

「相変わらずの手際の良さだね。さすが千鶴ちゃん」

「御褒め頂き光栄です。澪菜様は何をお召しになっても映えるから素敵ですわ!これで、いつ参られても大丈夫ですね。」


千鶴と着替えで騒いでいる内に、時間になっていた。

そろそろ来る頃だから大人しく座ってみる。姫っぽく。

 

 

――先生ってどんな人だろう。

第一印象が大事だよね?この間が緊張を増幅させる。 

人見知りはみんなのおかげで前に比べてしなくなったとは思うけど、やっぱり初対面は厳しい。上手く出来る心配。

 

「ははは初めまして。よろ…よろよよよろしくおねがいします」

挨拶の練習して気を落ち着かせようとしてみたけど、余計に緊張してしまった。

 

 

「では、私は御席外しますので頑張ってくださいね!」

「え!!やだ!!!!!!おいていかないで」



席をたとうとしていた千鶴の裾をわし掴み、引き止めた。

「一人なんて絶対無理!!一緒にいて!」

澪菜の必死さに千鶴は少し困ってしまった。いてあげたいけど仕事がある。



「ほら!茄子ちゃんもいますし、大丈夫ですよ。」

「にゃー」


澪菜は茄子を抱き上げると、じっと見詰める。無邪気に喉を鳴らしている姿を見てると、羨ましく感じる。

肉球をプニプニいじると遊んでもらってると思って茄子はじゃれ始めた。 

「いいなぁ!茄子は。私も猫になりたい」

軽い現実逃避が始まった。

 

その姿に千鶴はほっとけなく、静子に許可を得てくると半ば諦めモードで折れた。

「千鶴ちゃんありがとう!!大好き」


澪菜は嬉しさのあまり、がばっと千鶴に飛ぶ様に抱きつく。

ガタガタンっッッッ―!!勢いづきすぎ、その場に押し倒れた。

「痛たッもぅ澪菜様!!」

 

「ごめんなさい」

 

 

そんな二人の姿を見ながら、部屋の外からクスクスと笑い声が聞こえて来た。

「ごめんなさい、笑ってしまって。仲がいいのでつい。」


やわらかい女性の声。聞き覚えのある声。

澪菜は声のするほうに顔を向けるとそこには懐かしい人がいた。

 

 

「小夜さん!」

「はい。」

「うわーお久しぶりです!」

小夜とは御所で別れて以来だった。あれからどおしたのか気になっていた。

 

 

「山に戻られてたんですか?」

「いえ。実は主上の計らいで、今は五条河原の御屋敷に住まわせて頂いています。」

「そうだったんですか!」

 

 

「はい。あの人の思い出と共に、ゆっくりと時を刻んでます。また、人として生きれて嬉しい限りです。」

小夜は満ち足りた表情を浮かべている。本当に幸せなんだとわかり、澪菜も嬉しく思った。

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