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金色の月姫  作者: 藤の花
月より舞降りた鬼の姫
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_____




漆黒の

 

夜に満ちあふる

 

月の光

 

姫舞い降りし

 

永久の栄光







_____


教室から逃げ出し、行き場に困った澪菜は、家の近くの公園にいた。はぁ………本当今日は最悪な日だ。

ぎーぎーウジウジしながらブランコを揺らす。

 

「取り合えず、帰ったらお母さんに謝らなくちゃ。呼び出し確実だよね」

「あと、俺にも謝りなさい!」

こつんと頭を軽く小突かれた。

 

 

えっ!!?「涼君!!?」

振り返ると後ろには涼がいた。不思議そうな顔をしている澪菜に、涼は優しく微笑み掛けた。

「俺、待ってろっていったよな?おいて帰るなよ!!」

 

 

いやいや、それ所じゃなかったから。

「ほら!!かばん。忘れ物」

「持って来てくれたの?ありがとう」

落ち込み気味の澪菜に涼は冗談まじりに話し出す。

「いやー、今日はラッキーだな。学校サボれて」

「…………」

 

 

「怒るなよ!何言われたかは聞いてないけど、きにするな」

俯いたままの澪菜に少し困り、隣のブランコに座る。


「たまに乗ると、結構面白いな。ブランコ!!」

無邪気にブランコを揺らした。めちゃくちゃ楽しそうにブランコを揺らすから、公園であそんでいた子供達が、集まって来た。

「お兄ちゃん、僕らもブランコやりたい!」


澪菜と涼は子供達にブランコを譲ると、楽しそうに子供達はブランコで遊び初めた。


子供達は涼に背中をゆっくり押してもらいながら、ブランコを漕ぐ。



「お兄ちゃん、こっちも押して!!!」

涼は子供達にも引っ張りだこだった。やっぱりいつもどこでも人に囲まれてる涼は、すごいと思う。


「…涼君は……何でここに来たの?」

やっと返事をした澪菜に涼は安堵の表情を浮かべた。

 

「澪菜は怒られたり、辛かったりした時、イツモここにいたからな!」

そう。小さい頃からずっと近くで守ってくれた涼君。澪菜がからかわれて、公園で泣いている時も、いつも涼は来てくれた。慰めてくれて、元気をくれた。



あの時、涼君がいなかったら、今の私はいないだろう。

かけがえのない、大事な大事な幼なじみ。だから、自分のせいで涼が悪く言われるのは堪らなかった。



「涼君は、何で私なんかといてくれるの?」


「何言ってんだよ!!!」澪菜の頭をぐしゃっと撫でると、涼はにかっと笑った。

「いたいから、いるんだろう?考えた事もないよ。」

いることが当たり前。いたいと思う事が当たり前。そう言ってくれている。

「だめだよ……私なんかといると涼君まで悪く言われちゃうよ」

目を潤ませながら話す澪菜に、何言われたか涼は感づいた。

 

ああ、俺の事言われたのか。

涼は、複雑な気持ちで今度はそっと澪菜の頭を撫でた。

 

 

「大丈夫だよ。俺は何言われても!それにその位じゃ俺様の人気は崩れないぜ!!」


「それとも澪菜は、俺の人脈がその程度だと思ってたのか?」


澪菜は必死に首を横に振った。そんな事思うはずない。


「だろ。だから俺は大丈夫だよ!」

陽気に振る舞う涼の姿を見て、自分の弱さがヒシヒシと感じる。

 

「涼君は、強いね。」

涼みたいに自分も強くならなきゃと、心に誓い、涼に微笑み返した。

「よし!!笑ったな。じゃあ早速行くぞ!!」


「え?」

 

「今朝言っただろ!!」


「あれ!どこ行くの?」

 

「これ!」

カバンからチケットを取り出し、高々とかかげる。澪菜の見たかった、映画のチケットだった。

 

 

「お前見たいって言ってただろ。姉貴が前売り買ったのに、彼氏も買ってたって嘆いてて、売り付けられた」

 

 

「ひゃー!!めちゃ嬉しい。」

さっきまで、沈んでいた表情が、みるみる元気になった。 

 

「早く行こう!涼君」

カバンを手に持つと、軽やかに走り出した。

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