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金色の月姫  作者: 藤の花
月より舞降りた鬼の姫
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参拾陸

別荘に入ると、先に涼が着いていた。

別荘には涼以外誰もおらず、こんな広い屋敷に誰もいないのが不思議でキョロキョロ見渡していたら、朧が人払いをしたと説明してくれた。いつもは屋敷の管理などで数名は常駐しているらしい。

 

「にしても、この屋敷も広いな。都の屋敷は激しいい位の広さだったけど、負けず劣らずだな。」

涼と澪菜は別荘と思えない位の広さに思わず口があいた。


「あっ!」

澪菜の声に、涼が反応し目線の先を見る。


「紫陽花。静子さんが言ってたのだ!綺麗」

庭に咲き乱れる紫陽花が夕日に照らされ、とても美しく見える。

 

「千鶴ちゃん!紫陽花!綺麗だよ」

千鶴の手を引くと、千鶴は涼を見て固まっていた。

 

「千鶴ちゃん?どおしたの?」

「こ……こ………この間の賊ではないですか!処刑されたのでは、何故ここに!!?」

青ざめた顔をし、叫び声をあげた。

 

「逆恨みして、東宮様と女御様の御命を狙いにきたんですか!!怨霊」

涼がきょとんとしてると、澪菜を守る様に、涼の前に立ちはだかった。千鶴は早くお逃げくださいませ!!震えながらも気丈に振る舞った。

 

「え?あっ!説明してなかったね千鶴ちゃん」

 

「千鶴にお任せ下さい!澪菜様早く!!」

怨霊だと思い込みパニックを起こし、話しが通らない。

 

 

「千鶴、やめなさい。」

屋敷に入って来た朧が止めに入った。その声に、一同がピタッと止まった。


「すまないね、涼。千鶴、涼の事は、まだ説明してなかったね。彼はいいんだ。」

 

 

朧から、涼の説明を聞くと、慌てて涼に謝った。

「すみません!何も知らなかったとはいえ、ご無礼申し訳ございません」

最初は涼もビックリはしていたが、あんまり気にするタイプでもないので、あっけらかんと流した。

 

 

怨霊事件が解決すると澪菜は朧に、「姫君達は、紫陽花でも見ておいで?」と言われた。

 

「朧達は見に行かないの?」

何か内緒話しするのかと思い、じっと見ると、ふんわり微笑み返された。

「涼と、これからの道程の話しをするから、二人でみておいで。」

 

「だったら、私も聞くよ!」

「姫には、ちゃんと後で説明するよ。それとも信用ないかい?」

 

「そういう訳じゃ」

 

朧は澪菜の紙を撫でると、一つ歌いだした。

「夕映への

朱い衣を

身に纏ひ

凛とかがやく

紫陽花の君

美しい物を美しいと感じる心は素晴らしい事だよ。朱色に輝く紫陽花なんて、折角なんだから見ないと勿体ないだろう。」

 

そんな風に言われてはこれ以上何も言えず、澪菜は素直に庭に千鶴と出て行った。

 

 

「さて涼、馬の準備はしてくれたかい?」

 

「あぁ。一応、人数分三頭。まさか、もう一人来るとは思わなかったけどね。」

「慎重に進めていた割には、何も知らない奴を連れて来たのは、ちょっと不用心じゃないか?」

 

涼のツッコミに朧は困った笑いを見せた。

「姫一人だと暴走すると思ってな。千鶴だったら、歯止め役になるかと。信用は出来る人間だから大丈夫だ。」

 

確かに。普段消極的だが、感情が高ぶると、真っ直ぐにしか進めないから、予想外な行動にでる。

涼もそこは納得だった。

 

「ならいいんだけど。でも馬どうする?今からもぅ一頭準備するのか?と言っても澪菜が馬に乗れるかが問題だと思うけど?」

 

 

涼もそうだが、澪菜は馬なんて乗れないだろう。

今まで、馬に乗ったのは、小学校の遠足で、体験牧場に行き馬の背に跨いだくらいだ。あれは初めての体験で大興奮だったのを覚えてる。

しかしこれじゃ乗った内にも入らない。


「涼、お前は乗れるんだろう?」

 

「いや、俺も実は初めてなんだけど、多分大丈夫。結構器用だし。澪菜はぶきっちょだから、少し位練習しても乗れないだろう。」

 

軽く言うが涼も乗れても限度があるだろうと、朧は道を選んでいった。

 

「姫は私が乗せていくてして、だか、出来るだけなだらかな所を選ぶか。」

 

北へ続く道は沢山ある。時間を気にすると険しい山道になる。安全な緩い道を選ぶと時間が何日もかかってしまう。

話しあった結果、やっぱり、時間がないのが1番痛いので、多少無理してでも近道をする事に決まった。

戻って来た澪菜と千鶴にもこれからの道程を告げ、そして、この日は別荘で早めに就寝した。

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