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金色の月姫  作者: 藤の花
月より舞降りた鬼の姫
34/79

参拾肆

「さて、誰を遣いにだすか?」

重要な役割だから、下手に頼めない。朧はもう一仕事が残っていたから、すぐには行けず悩んでいた。

 

「私が行くよ?」

 

「姫!」

 

「自分の事だし。従者さん達も千鶴ちゃんもいるし。適当な理由付けて帰り道寄って貰うよ!」

 

「今日もいろいろあったんだから、早く休んだ方がいい。」

気遣ってくれるのは嬉しいけれど、こんな気分だからこそ何かしていたかった。

 

 

「涼君の事……気になるし………」

涼の顔を見て安心したいって言うのも、あったのだろう。

朧は察してくれて、澪菜に頼む事にした。


 

「わかった。涼と白菊によろしく言っといてくれ。従者には私から上手く話しておくよ。」

従者に頼むと、門まで見送りし、朧もまた仕事へ戻っていった。



春晃の屋敷までは、日が暮れる前には何とかついたが、予想より時間がかかってしまった。

それもそうだろう。前回は馬で、今回は牛車。

春晃の屋敷に付くと、白菊が門まで迎えに出て来ていた。

 


「お待ちしておりました。」

白菊は澪菜だけ、部屋の奥まで連れていった。

 

「こちらですね!不死の山の詳しい位置と、あと、札です。」

 

「ありがとうございます。札は?何の札ですか?」

 

「はい。春晃様が着いて行けない代わりに、式神が一度だけ召喚出来るよう、春晃様の力を封じ込めてありますので、お守りがわりにお持ち下さいネ」

 

ただの紙にしか見えないけれど、春晃がと聞くと凄いんだろうなと思う。有り難く受け取ると、時間もないので、テキパキと帰る準備を始めた。

 

「涼君はコチラでお世話になってるんですよね?」

 

「涼殿ですね!はい、呼んで来ますね!」

白菊はにぱっと笑うとパタパタと涼を呼びに行った。涼は白菊に連れられてすぐに部屋に来た。

 

「澪菜!来てたのか!」

明るい表情で目の前に立ってる。

 

「涼君!!」

 

「ん!?どうした??何かあったのか?」

 

 

涼ではないとわかってはいても、生々しい光景が頭から離れない。涼が生きていたと言う実感にやっと会えた気がした。

 

「うぅん…ちょっと怖い夢を見ただけ………。」

涼に心配かけまいと、最上級の笑顔を見せた。

涼はポンッと頭を撫でるた。

「何かあったらすぐに言えよ!」

 

「うん。」

 

「そうだ!不死の山の事何か掴んだか?」

 

「うん!春晃さんが詳しく調べてくれて。それを預かりに来たの。」

渡された物を掲げながら答えた。マジマジと二人で見たが、よくわからなかった。

 

「ふーんこれがか、、、よくわからんな!」


「字も流麗過ぎて…何書いてあるかわかんないね。」

 

「まぁアイツ朧だっけ?アイツならわかるだろう。」

苦笑いしながら顔を見合わせる。

 

 

「明日には出るのか?」

 

「わかんない。朧の都合によると思うけれど、多分行くと思うよ!」

 

今直ぐにでも、探しに出たいのは山々だけど、朧に見て貰わなければ場所はわからないし、ましてや、一人で行く事は許してはくれないだろうと思う。

「俺も付いて行くから、明日の朝そっち行けばいい?」

 

―――!!!!

 

 

「だめッッッ!!だめだめだめだめッッッ!!!!絶対だめ!!!!」

澪菜の勢いに、涼は驚いた。

 

 

「なんでだよ?」

 

「危ないよ!!!!また捕まっちゃったらどうすんの!!?」

 

「大丈夫!!同じヘマは二度もしないよ」

楽観的に涼は言うが、澪菜は怖かった。

 

 

――――もぅ―――二度とあんな光景みたくないよ――――――

 

 

澪菜が一気に暗くなる。

 

 

「はぁわかった。一緒に行くのは譲らないぞ。何処で待てばいい?」

 

「本当に!!よかった。」

澪菜はほっと一息した。

「涼君が一緒について来てくれるのは、心強いよ!朧に頼んで、ここに寄って貰うから待ってて!!」

 

「わかった。」

 

 

話しがまとまると、澪菜は帰りが遅くなってしまわない様に、牛車に乗り、東宮御所へと戻っていった。

 

 

 

「このままじゃ、兄ですらいられないかな……」

 

見送りながら、ぽつりと呟く。

澪菜が自分から行動するのが嬉しかったけど、反面、前ほど頼って来ないのが寂しかった。

 


涼はそんな複雑な気分だった。

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