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金色の月姫  作者: 藤の花
月より舞降りた鬼の姫
3/78

――――――

午前中の授業が終わるのは早かった。

でも、今日は調理実習があったから、最悪だった。料理は好きだけど、班別行動が苦手。だから体育も芸術も嫌いだ。

5教科が一番楽だ。授業を聞いていればいいから。


「さて、今日はどこでお弁当たべようかな?」

勿論な事、友達がいないので一人弁当。

 

最近は裏庭の藤棚の近くのベンチが澪菜のお気に入りなのだ。5月から6月前頃になると、綺麗に花が開くので今から楽しみ。

それにあまり人も来なくて、最近出来た友達の野良猫君が住み着いているからだ。

 

「ふふ。ヤッパリ藤棚で食べよう!!」

澪菜はカタカタお弁当の準備を始めた。

 

 

 

「月城さん………」

席を離れようとしたとき、澪菜は声をかけられた。顔をあげると、そこにいたのは上級生だった。


「えっと…………な……なんですか?」

見覚えのない顔になんて話たらいいのか全くわからず、オドオドしながら聞く。女の子三人組が澪菜を囲んでいた。

 

 

リボンの色で学年がわかれているから、上級生だと分かるのだ。

一年が青。二年が黄色。三年が赤。

赤だから、涼と同じ学年の子達だ。

 

「話あるんだけど、ちょっと来れる?」

直感的にヤバイと感じた。人混みがある所なら、下手な事出来ないと思いここで話を切り出させようとした。

 

 

「ここじゃ………だめ………ですか?………」

女の子達は少しヒソヒソ話し、まとまったのか、澪菜に向かって話はじめた。


「あんたさ、なんなの!?」

唐突に言われ意味がわからなかった。

 

 

「えっと………な…何がですか……?」

 

キョトンとしてる澪菜に余計苛立ったのか、人前なので抑えて話していた女の子の口調も少し強くなっていく。 

「惚ないでよ!!涼の事だよ」

 

「あ」

 

涼は学校での人気はNoを争えるほどの人気だった。

容姿端麗なのは勿論な事、人柄もよく、人望もあつく、男女問わず人気があるのだ。ファンクラブなんて、表だった物はないけれど、それに近い過激な涼信者の集まりはあった。

 

涼は誰から見てもキラキラしている。

いつも誰かしかに囲まれている。幼なじみじゃなかったら、絶対話しかけも近寄る事さえも出来ない存在なのだろうと思う。



女の子はその中の何人かだった。

「全部見てたんだよ!!朝から手なんか繋いで、ふざけんじゃねーよ」

教室中に響きわたる。周りが少しざわついた。


「いや………あれはそんなんじゃなくて………」



「じゃなくてなに!!!!」

澪菜の言葉を遮ぎる。聞く気があるのか疑問だ。

騒ぎに気付いてはいるけど、誰も助けてはくれない。

巻き込まれたくない気持ちはわかるけど、よけい人間不信になる瞬間だった。

 

 

関わりたくなく、足速にさる人。巻き込まれないよう、見なかった事にする人。「ざまあみろ」とくすくす笑う人。

澪菜はうんざりしていた。

「涼君とは幼なじみです。それだけです」

 

「幼なじみだからって、手なんか繋がないでしょ?色目使うな」


この人達は何を言えば引いてくれるのだろうか…?

否定しても怒るし………面倒だから肯定しようかとも思ったけど、このタイプは逆上すると思ってやめておいた。

 

 

はぁ……………はふ………

涼君の取り巻きにはよく絡まれるけど

今回のはしつこいな…………

 

こんなにあからさまに敵意を持たれるのも初めてだ。

何を言っても無駄だと悟り、黙っていた。

 

しかし、それがよけいに女の子達の逆鱗にふれたのだった。

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