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金色の月姫  作者: 藤の花
月より舞降りた鬼の姫
27/79

弐拾漆

ここを抜け出さなくちゃ。正面からは警備が厳しくて、確実に出れないし。高い塀が何処までもつづいているここを、登るしかないであろう。

 

「木をつたえば、いけるかな……?」

高らかとそびえ立つ、木々を見上げ、決心した。


―――出来る!!澪菜!頑張れ――――

自分にエールを送り奮い立たせる。足を幹にかけ、少しづつ上って行く。必死にしがみつきながら何とか登れてはいるけれど、やっぱり怖い。今にも落っこちそう。

 

怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い

下を見ちゃだめ見ちゃだめ


やっとの思いで塀の高さまで昇り上がり、飛びうつる。

塀までたどり着いたけどどうやって降りればいいんだろうか。外側は特に足をかけられそうな場所も物もない。

飛び降りるのは無理。全然考えてなかった。



いつまでもここにいると、見つかってしまうからウジウジ悩んでる暇でもない。

打ち身くらい覚悟して、飛び降りるしかないか。



「涼君はもっと辛い目にあってるかも痴れないんだ」

考えると飛べなくなる。意を決して、飛び降りた。 

ひゃぁぁぁ


「危ない!風よ、大地に吹上よ」

 

 

何処からともない声と共に、澪菜の体がフワッと浮かんだ。

「えっっ!!?」

風に包まれる様に、ゆっくりと地面に降り立つ。

 

 

「空からまさか姫君が降ってくるとは………。」

そこにいたのは春晃だった。

 

「そんな所から飛び降りたら、怪我をするだろう。馬鹿か?」

 

「、、、うぅ」

 

朧に頼まれたのか?春晃に見付かってしまったから、強制送還決定だろう。

 

 

「助けて頂いたのは、有り難いですが、私戻りませんから!!」

春晃は相変わらず淡々と無表情の間々変わらない。

「言いたい事はそれだけか?」

 

「涼君の居場所!知ってますか!!」

 

「……………。」

春晃は無言で懐から、和紙と筆を取り出し、サラサラと何かを書き上げていく。気になって尋ねるも、春晃は澪菜の方をチラッと見ると、何事もなかった様に作業を続けた。

 

うーん。何考えてるかサッパリわからない――――。

 

 

書き終えると、近くにいた鴉の足に括り付け、何か呟いていた。すると、鴉は何処かへ飛立ってしまった。

 

 

――不思議な人だ―――

と眺めていると、春晃が近寄って来た。

 

「参るぞ。」

「へぇ!!?何処に?」

 

「早くしなさい。嫌なら東宮御所に戻るがいい。」

澪菜をおいて、スタスタと行ってしまった。

 

え!!?え!!?どうしよう!!?

捕まえに来たみたいじゃないし。えぇい!一かばちかの賭だ。どうせあてもない。春晃なら教えてくれる可能性が低くとも知っている可能性は高い。春晃の後ろをひょこひょこ着いて行った。一応警戒はしながら。

 

2人は会話もなく、黙々と歩き続ける。

そして、屋敷から少し離れた所に馬が停めてあった。

 

「何をしている?ついて来る気があるのなら、早く乗りなさい。」

「え!」

 

「馬には乗った事ないのか?」

 

「はい……。」

 

「振り落とされない様、しっかりつかまっていてくれれば大丈夫だ。」

 

 

馬に乗ってしまったら、逃げるにも逃げられなくなってしまうだろう。

でも、ここまで来たら後には引けない!

なんとしても聞き出してやる、そう意気込んだ。

 

 

 

「行くわ。」

春晃に支えられ、馬に跨がった。

春晃の掛け声と共に、馬は走り出した。

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