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金色の月姫  作者: 藤の花
月より舞降りた鬼の姫
24/79

弐拾肆

 

―――――

 

「んーっグっっ」

澪菜は引きづられ、床下に連れ込まれていた。湿っぽくて、薄暗い。痛い、、、何処まで連れていかれるの?

これほど、されるがままだと抵抗する気力もなくなる。

 

ここまで来れば大丈夫かとつぶやき、賊は手を離した。澪菜は解放されたのだ。

 

「怪我してないか?手荒な真似してごめんな」

賊の癖に、澪菜の心配してくる。強く掴んでいた腕を優しく撫でている。

 

「ん?澪菜、俺の事わすれたのか?冷たいな」

 


この声まさか!!振り返るとそこにいたのは、懐かしい顔だった。

「りょ………涼君……!!?」

顔を近付けて、マジマジと確かめる。薄暗くて解りづらいが、この顔!違える訳もない。

あまりに澪菜が顔を近づけるから、近すぎだよ!と涼は笑った。 

 

「なななななんでここに?」

まさか涼と再会出来るなんて思いもしなかった。嬉しいよりもびっくりな衝撃に、動揺が隠し切れなかった。

 

 

「ひと月前くらい…そぅ、お前と映画に行った日、俺も一緒に川に落ちたんだよ。で、気付いたらここにいた。」

 

「あの時。」

 

「びっくりしたよ!目が覚めたら、知らない世界だし、お前はいないし。無事でよかったよ。」

涼は安堵の表情を浮かべている。

 

「町で噂聞いて、お前じゃないかって思って捜しに来たらから。本物で良かったよ!違かったらやばかったな!あはは」

 

「あははってそうだよ。涼君、賊だって騒ぎになってるんだよ!どうしよう。」

 

「そうだな。忍び込んだはいいけど、かなり騒ぎになってるな。捕まったら俺、確実殺されるよな。これ!」

あっけらかんと話すが、冗談抜きにこのまま捕まると、涼は殺されるだろう。ここに来てまだひと月位だけど、嫌というくらい実感している。

 

「それにしても、ここ凄い屋敷だな。何気に凄い服だし。」

 

「ここの主人に助けて貰ったの。」

 

「そぅか。ちょっと待って!静に」

人差し指を口元に当て、シィーっとする。澪菜を庇うように肩を抱くと、涼は床上に耳を澄ませた。



澪菜の部屋の空気が変わったのだ。

「姫は!!?姫はいづこ!!?」

 

「東宮様!お待ち下さい」

 

騒ぎを聞き付けて朧が戻って来た。張り詰めた空気が、朧の到着で、いっそう張り詰める。急いで廊下を走る、そんな足音が床下まで、響いていた。女房達が止めるのも全く聞かず、朧はカラリと御簾をまくり中に入った。

 

「あ、、、東宮様!」

部屋の中はまだ片付けておらず、几帳は倒れたままで、目の前に広がるのは無惨な光景だった。

 

「これは……!!」

朧は辺りを捜すが、澪菜の姿がなかった。

 

 

「賊はまだ捕まらないのか!!」

普段穏やかな朧が、苛立っているのが声でわかる。


 

――まずい―――

「涼君、私戻らなきゃ」

この間々だと、もっと騒ぎが酷くなる。今は屋敷で止まってるだろうけれど、最悪国中に指名手配がかかってしまう。朧の力なら出来なくはない。

 

「何言ってんだよ!殺されるぞ」

 

「私は大丈夫。涼君の事もちゃんと話すから!」

 

「だめだ。何されるかわかんないんだぞ!お前、町で何て噂されてるか知らないから」

 

「、、、知ってる。鬼でしょ」

澪菜が寂しそうな表情でいう。

 

 

「でも!!わかってくれる人もいるから。朧ここの主人も話せばわかってくれる人だから」

涼の手を引くと、歩き出しした。

床下を抜けると、薄暗い所にいたせいか、光が目に染みる。廊下にあがり、澪菜は部屋に対った。



「…………。」

澪菜は大丈夫というけれど、涼にはどうしても信じられなかった。

自分達はこの国の人間ではない。

国だけではない。時空が違うのかも知れない。

普通そんな事を言われ、「そうなんですか。」とすんなり納得する人なんてそうはいないだろう。



朧と言う人が誰だかは知らない。



ただ、何者か分からない人を匿うなんて、何か裏があるはず。そう思えて仕方なかった。

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