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金色の月姫  作者: 藤の花
月より舞降りた鬼の姫
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弐拾壱

「澪菜様始めますよ。」

カタンカタン千鶴は衣を奥からだし干し始める。澪菜も見様見真似でやってみた。伸ばしが足りないとシワが出来るからもっとピンッと伸ばして下さい!と千鶴の説明にも熱がこもる。やるからには出来るだけ完璧に近付けたいと澪菜も千鶴の説明を一生懸命聞き入った。

「こうかな?」

 

「そう!いいですよ!!」

 

「にゃあ」

 

にゃあ???千鶴と澪菜が同時に振り向くと、子猫がチョコンといた。子猫がじゃれて裾が全滅してたのだ。

「猫ちゃん歩いちゃだめだよ」澪菜は子猫を抱き上げ、目を合わせて話しかける。

 

「ふぁーくわー」

聞いてるんだかどうだか。全く反省はしていないようでのんきに欠伸をしていた。

 

「ムム!そんな顔したって可愛いけど、澪菜まけないよ!あぁでも可愛い」

気まぐれな猫の仕草にメロメロになりそうなのを必死に抑える。

 

「大丈夫ですよ!裾は直せばいいですから。でも猫ちゃん、あんまり悪戯がすぎると怒りますよ」

子猫の頭をワシャと撫でるとやさしく言い聞かせた。千鶴は裾を一つ一つ、丁寧に直していく。


「澪菜様、宮で飼うなら躾を教えなければならないですし、猫ちゃんに名前付けてあげたら如ですか?」


名前!!忘れてた――!!そうだよね!名前って大切な物だから付けてあげなきゃね!!

クリンクリンとした目で子猫が見つめる。名前をつけようとしているのが嬉しいのか、にゃおにゃお鳴きながら澪菜と千鶴をいったりきたりしながらスリスリしている。

 

「……猫丸………猫介…猫太郎……うーん千鶴ちゃんはいい名前ない?」

 

「えぇっ……ねこちゃんって言ったら……タマとかですかね?」

 

「タマ。王道だね!!タマは第三候補にしておこう」

二人で考え続け、候補はいっぱいだしたけれど、これと言った物がない。

 

「名前って、難しいね。一生物だし。」


すると、カラリと御簾をあげ朧が入って来た。

「朧!!いらっしゃい。今日は出掛けるの?」

千鶴は慌てて一歩下がり、朧を部屋に通す。千鶴は御簾の外側にまわりそこに座って待機した。


「あぁ。今日は帝の御前に上がらなくてはならないから、遅くなるよ。その前にお土産を」

朧は綺麗に包まれた和紙を取り出して澪菜に手渡した。和紙に何かが包まれているので、包みを開けると、ふんわり甘い香りが周囲に漂った。

 

「あっ!!これっこの間の金平糖!」

澪菜は一口カリッと食べると口の中に甘さが広がっていく。 

「ん!甘ーい。ありがとう、朧」

千鶴にもどうぞと渡そうとしたが、恐れ多くていただけませんと断られた。

 

「姫は今日は何をしてるんだい?」

澪菜の嬉しそうな顔を見て、朧もフンワリと笑う。


「千鶴ちゃんと日干ししながら、猫ちゃんの名前考えてたんだけど…………」

 

「にゃー」

勢いよく朧に子猫は飛びついた。 

「ほぅ。黒猫元気になった様だね。

月映える

宵闇の空

輝ける

姫守りしの

黒き武士かな

(黒い毛並みが姫と並ぶと、月を囲う宵闇の様だ。

その姿が、まるで、かぐや姫を守る武人にも見える。) 

しっかり姫を守ってくれよ。」

 

子猫はわかったと言わんばかりににゃーと鳴くので、朧も上機嫌になった。任せたよといいながら朧は子猫の頭をくしゅくしゅ撫でる。

子猫も懐いたみたいで、朧の手に擦り寄る。そして膝の上に登るとのびのび寝だした。

 

 

「!!!!いい名前思いついた!」

突然澪菜が閃いた様だ。

「朧の歌きいたら!これだっと思って。」

 

「ほぅ!何だい?」


茄子なす

 

「え!?澪菜様なぜ茄子ですか?」

こらえきれず、千鶴は突っ込んだ。


「黒い黒い歌うから!茄子色だなこの子と思って。、、、変かな?」

 

「まさかあの歌でそうくるとは思わなかっただけです。」

千鶴はそれ以上何もいわない。朧は子猫を撫でながらニコニコ微笑んでる。2人の反応は否定はしていないが、あえて何も言わないだけじゃないのかと自信がなくなってきた。気になりすぎて、ふり向き朧にも茄子って変じゃないか尋ねた。 


「茄子美味しいしよいだろう。黒猫も気に入ってる見たいだ。」

 

 

茄子と呼ぶと「にゃーゴロゴロゴロ」喉を鳴らしながら答えた。相変わらず朧の膝から離れずに。どうやら本当に気に入ったみたいだ。


子猫の名前は「茄子」に決定した。

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